データが盗まれるとは?
他の企業から設計開発を受託する場合や、他社と共同で設計開発を進める場合には、**必ずと言ってよいほど「知的所有権(知的財産権)の帰属」**が問題になります。
設計そのものに目が向きがちですが、将来の事業展開を左右する重要なテーマであり、開発を始める前に十分検討しておかなければなりません。
■ 開発費の負担と知的所有権は密接に関係する
特に、顧客専用の製品を新たに開発するケースでは、設計開発費を誰が負担するかという問題が、知的所有権の帰属と深く関係してきます。
製造数量が未定の場合は、開発費を製品価格へ上乗せして回収することが難しくなります。予定していた数量より少ない製作数になれば、開発費を回収できないリスクがあるためです。
そのため、開発費は依頼元である顧客企業が負担する契約となるケースが少なくありません。
■ 開発費を受け取ることで失うもの
しかし、ここには見落とされがちな落とし穴があります。
一般的には、開発費を負担した側が、その成果に関する知的所有権を取得する契約になることが多いためです。
その結果、自社の技術者が苦労して生み出した技術であっても、自社では自由に利用したり、他の製品へ転用したりできなくなる場合があります。
これは特許を取得するような高度な技術だけではありません。
設計手法や構造、ノウハウなど、開発の過程で生み出された技術も契約内容によっては知的所有権の対象となり、自社で自由に使えなくなることがあります。
■ 知的所有権を確保するという選択肢
もちろん、設計開発を受注する段階で交渉し、知的所有権を自社に残す、あるいは共有とする契約にすることも可能です。
ただし、その場合には、開発費の多くを自社で負担することが前提となるケースが一般的です。
また、顧客が開発費を一部負担した場合でも、
• 他製品への転用には事前承認が必要
• 利用範囲が契約で制限される
• 他社への展開が認められない
といった条件が付くことも珍しくありません。
■ 将来を見据えた判断が重要
設計開発費をどちらが負担するかは、単なる費用負担の問題ではありません。
目先の利益だけで判断すると、将来大きな価値を持つ技術を自社の資産として活用できなくなる可能性があります。
一方で、自社負担を増やせば知的所有権を確保しやすくなる反面、開発リスクも自社が負うことになります。
設計開発では、開発費・知的所有権・将来の事業展開の三つを一体で考えることが重要です。
契約を締結する前に、「この技術を将来どのように活用したいのか」を十分に検討したうえで、開発費の負担や知的所有権の帰属を決めることが、後悔しない設計開発につながると考えています。
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※ 次回は、「秘密保持契約(NDA)」について取り上げる予定です。(内容は変更となる場合があります。)


