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水沼国男

東洋医学の知識を伝えてより健康に導く鍼灸のプロ

水沼国男(みずぬまくにお) / はり師

美山いずみ鍼灸院

コラム

肘の外側が痛い時の鍼灸治療 

2017年11月18日 公開 / 2021年3月11日更新

テーマ:肘の痛み

コラムカテゴリ:医療・病院

コラムキーワード: 鍼灸治療東洋医学

肘の痛みを起こす疾患

 肘の痛みを起こす代表的な疾患は、上腕骨外側上顆炎(テニス肘)、上腕骨内側上顆炎(野球肘・ゴルフ肘)、変形性肘関節症、肘部管症候群、関節リウマチなどがあります。

肘の痛みの原因

 肘関節は、上腕骨、橈骨、尺骨の骨と筋や靱帯で構成される関節です。肘を曲げたり(屈曲)伸ばしたり(伸展)、手掌を内側に返したり(回内)、外側に返したり(回外)する動きをする関節です。また、肩からくる筋の腱が付着します。その為、肘が痛い時は、肩等にも影響するときがあります。
 肘の痛みは、テニス、野球などのスポーツを繰り返し行うことや家事などの動作を繰り返し行うことによって、肘関節に付着する筋などが炎症を起こし、痛みを発症します。

肘の内側と外側、どちらがより痛くなる?

 肘の内側と外側で痛くなる頻度は、外側が痛くなることが多くみられます。その要因の一つに、筋の強さがあります。手首を手の甲側に曲げる筋(伸筋)は、手首を手掌側に曲げる筋(屈筋)と比べると弱いため、過度のストレスや繰り返しの運動によって引き起こされます。

上腕骨外側上顆炎ってどんな症状がある?

 
 上腕骨外側上顆炎は、テニスプレイヤーに多く発症することから“テニス肘”と呼ばれますが、
他のスポーツや日常生活動作、労働でも発症します。主に、30代から50代の女性に多く発症し、運動時の痛みが主な症状で、それ以外に圧痛、握力の低下が起こります。
上腕骨外側上顆炎では、手を使った運動時(肘関節伸展、前腕回内、手関節背屈(伸展))に
“肘の外側”に痛みが生じます。
具体的な動作としては以下の様な動作時に痛みが起こります。
・雑巾を絞る時、
・重たい物を持ち上げる時、
・ドアのノブを回す時、
・引きだしを開く時、
・アイロンをかける時、
・パソコンのキーボードを打つ時、
・テニス(バックハンドストロークを打つ時)
 これらは、上腕骨外側上顆(肘を深く曲げて出来るシワの外側の先端と肘頭を結んだ線の真ん中辺り)に、手関節や手指を動かす伸筋群(手首を手の甲側に曲げる筋)の腱の炎症や変性によって起こります。主に短橈側手根伸筋腱が障害されやすいと言われています。

診断方法

レントゲンやエコーなどでも診断します。外来などで簡単にできる方法として疼痛を誘発する試験で診断を行います。3つの検査が一般に用いられています。
いずれの検査でも肘外側から前腕にかけての痛みが誘発されたら、上腕骨外側上顆炎と診断します。

1. Thomsenテスト:患者さんに肘を伸ばした状態で、検者の力に抵抗して手首(手関節)を手の甲側に曲げてもらう。
2. Chairテスト  :患者さんに肘を伸ばした状態で、手で椅子を持ち上げてもらう。
3. 中指伸展テスト :患者さんに肘を伸ばした状態で、検者が患者さんの中指を上から押さえるのに対して中指を手の甲側にあげてもらう。

上腕骨外側上顆炎の病院などの治療

保存療法が中心に行われ、多くが6ヶ月以内に軽快します。
保存療法:上肢を安静にする。テニスバンド(エルボーバンド)の装着、日常生活の指導などを行います。

テニスバンド(エルボーバンド)の装着

上腕骨外側上顆炎の保存療法の一つにテニスバンド(エルボーバンド)の装着があります。
これは、伸筋群の筋腹を圧迫することにより、伸筋群の腱の付着部にかかる負担を(牽引力)
を軽減し、疼痛緩和を図る目的で行います。
装着場所としては、上腕骨外側上顆(肘を深く曲げて出来るシワの外側の先端と肘頭を結んだ線の
真ん中辺り)から2~3横指手首側になるようにバンドを装着して、伸筋群の筋腹を圧迫します。

日常生活の指導

患部の上肢を安静にすることが、一番です。しかし、家事や仕事などではなかなか休めないので、仕事が終わったら冷やすことが良いと思います。また、痛みが起こる動作は避けるようにしましょう。痛みの起こりにくい肢位、手掌を上にする(前腕回外位)手関節掌屈(屈曲)(手首を手掌に曲げる)ようにすると痛みが起こりにくいです。
例えば、重たい物を持つ際には、手掌を上に向けて持つようにする。雑巾を絞る際は、シンクの底に押し付けて水を着るようにすると痛みが起こりずらいです。

鍼灸治療

鍼灸治療では、対象の筋肉の緊張が強い時は、筋の緊張緩和、また、肘の回りの筋の消炎鎮痛や筋緊張の緩和を目的に治療を行います。それ以外に痛みなどによって肩などその他部位にも治療を行います。

 最近では、痛みを軽減させ作業ができるようにシール鍼(円皮鍼)をする事もあります。このシール鍼は、フィギュアスケートの羽生結弦選手が使用していたのでご存じかもしれません。シール鍼をして競技することも可能なためその他の競技でも使われているようです。日常生活の中でも使用して痛みの軽減を図ることができます。

 また、セルフケアとして間接灸(せんねん灸)などの灸を指導しています。


 肘の痛み以外で鍼灸治療は、どのような疾患(症状)に効果があるの?

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