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むちうちと鍼灸治療

水沼国男

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テーマ:首の痛み

むちうちとは

 交通事故後、よく耳にする「むちうち」ですが、正式には、「外傷性頸部症候群」あるいは「頚椎捻挫」と言われます。大きな衝撃を受けた後、レントゲン上で骨に異常がなく、原因不明の頭痛、肩凝り、めまい、手足のしびれ、耳鳴りと言った「不定愁訴」の症状をまとめて、むちうちと呼ばれています。

むちうちのメカニズム

 むちうちになるメカニズムは、人の頭は、およそ体重の1/10の重さがあり、大人ですと約5〜7㎏を頚椎と周囲の筋肉で支えていることになります。そこに大きな衝撃を受けると頚椎がむちを振るったようにS字上に動くことで、首や肩に負担をかけることによって筋肉、靱帯、頚椎、神経、血管などが損傷し引き起こされます。また、衝突の方向や程度によっても症状が変わります。
 むちうちは、主な原因は交通事故ですが、転倒や階段からの転落、スポーツによっても起こります。

むちうちの症状

 症状は、事故にあった直後、あるいは当日はそれほど症状がなく、翌日から数日経過してから様々な症状が現れてくることがあります。
主な症状は、頭痛、頚部痛、頸部の運動障害ですが、関連して肩凝り、手足のしびれ、めまい、耳鳴り、食欲不振など様々です。
また、自律神経系の症状や首や背中の違和感や筋の緊張や頸部損傷によっては、めまい、耳鳴り、全身倦怠感等の症状も現れます。これらの症状は、周期的に現れ数年から数十数年におよぶこともあります。

応急手当

 ①事故によって手足が動かせない、手がしびれる、触れた感じが鈍いなどの症状がある場合は、安静にし動かさず救急車を呼びましょう。軽度の場合でも出来るだけ安静にし、医療機関の受診を行ってください。
受傷具合にもよりますが、頚椎カラーなどの処置が一般的だと思います。
 ②患部(首など)を冷やす
 安静にする事が一番重要ですが、その次には患部を冷やすことが重要です。患部は、炎症を起こし熱を持つため炎症を押さえるため「氷水」で冷やすことが重要です。出来るだけ、氷水です。湿布は、患部は冷やせません。
 ③数週間経過後の対処 
 状態に差はありますが、2〜3週間すると痛みなどの症状は落ち着いてくると思います。その後は、痛みの緩和、頸部、肩、背中等の筋緊張の緩和のため治療が必要です。それを行うことで自律神経障害の予防にも効果があります。また、医師などの指導に従って、適切なストレッチ等を行う事もいいでしょう。これまでの痛みのために全身のバランスが崩れている場合もあり、全身のバランスを整えていく事も大切になります。

鍼灸治療

 むちうちの鍼灸治療は、NIH:国立衛生研究所(アメリカ)の発表で、鍼灸治療の各種疾患に対する効果とその科学的根拠、西洋医学の代替治療としての効果についいて有効であると発表されました。

 鍼灸治療では、受傷部位だけ出なく全身を治療することで、自律神経系の症状(頭痛、めまい、耳鳴り、食欲不振、全身倦怠感、全身の冷えなど)にも効果が期待できます。また、痛みのために庇ったような姿勢を取っていると全身のバランスが崩れます、頸部、肩から背中、腰部の疼痛の緩和や筋緊張の緩和などをする事でも全身のバランスを整えるのに効果あります。

また、鍼灸治療は気血を整える事によっても症状の改善が認められます。

 むちうちは、治療できる疾患です。治療は、早ければ早い方が良いと思います。
早めに適切な治療を行って下さい。

むちうち以外で鍼灸治療は、どのような疾患(症状)に効果があるの?

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水沼国男
専門家

水沼国男(はり師)

美山いずみ鍼灸院

大学で30年、研究・臨床・教育に携わり、高齢者福祉施設でも20年以上鍼灸に携わる。オーダーメイド・セルフケア・予防を重視し、健康維持・増進を支援。訪問鍼灸による地域のかかりつけ医のような鍼灸師を目指す

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