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山形清掃衛生協同組合が3年間で3700万円の申告漏れ

2014年1月7日

テーマ:脱税を斬る

コラムカテゴリ:法律関連

山形清掃衛生協同組合が3年間で3700万円の申告漏れを指摘されていたというニュースです。
Wikipediaには協同組合とは「共通する目的のために個人あるいは中小企業者等が集まり、組合員となって事業体を設立して共同で所有し、民主的な管理運営を行なっていく非営利の相互扶助組織。連帯経済の主要な担い手である」とあります。
すなわち清掃衛生組合ということは、し尿収集運搬業務や市浄化センター運転管理業務などを行う事業者が集まって清掃事業の事業協同組合を作っているということですね。清掃組合で検索をかけると結構色々出てきます。HPとしてかなりちゃんと作っている清掃組合もありますね。ちゃんと組合員まで掲載していたり。でもこの山形清掃影響同組合のHPはありませんでした。
まず、法人税法上の協同組合の取扱いについてですが、まず法人税法2条の定義により協同組合は協同組合等と定義し、法人税法4条において内国法人として法人税の納税義務を定めています。そして法人税法5条により全所得について課税されることになり、その税率は法人税法66条により軽減税率であるとされています。
さて、この申告漏れのスキームについてですが、記事にある通り「同組合によると、10~12年度に組合員企業10社の代表者に対して、給与に当たる『委員手当』とは別に『特別委員手当』を支払い、経費としていた」とのこと。この支払について組合は「事務所移転構想の検討会議など組合運営に関わる業務への対価として、慣例的に支払っていた」と主張していますが、国税当局には定款、規約に特別委員の規定はなく、手当の支出根拠なども定めていなかったため、「別委員手当として支出された金銭に相応する労務の提供が認められない」として給与ではないとされました。この部分、記事では「経費の計上を否認」とありますが、経費の計上が否認されたわけではないんですよね。その支払が労働に基づいてされた支出ではないから給与ではないとされただけなんですよね。ではなんなのかといえば、組合が組合企業10社の代表者などにお金をあげた、すなわち贈与したと認定したんですよね。すなわち対価性がないと。法人の贈与はいわゆる寄附金なんですよね。したがって、給与として処理していた支出が寄附金であると認定されただけで、経費の計上が否認されたわけではありません。
そうなると次は法人税法上の寄附金の扱いについてになりますが、まず法人税法上寄附金とは何かについては法人税法37条7項において「寄附金の額は、寄附金、拠出金、見舞金その他いずれの名義をもつてするかを問わず、内国法人が金銭その他の資産又は経済的な利益の贈与又は無償の供与(広告宣伝及び見本品の費用その他これらに類する費用並びに交際費、接待費及び福利厚生費とされるべきものを除く。次項において同じ。) をした場合における当該金銭の額若しくは金銭以外の資産のその贈与の時における価額又は当該経済的な利益のその供与の時における価額によるものとする」としています。したがって、この組合が支払った金員は労働の対価ではなく利益の無償の供与だから寄附金なんですよね。
そして法人税法37条1項で「内国法人が各事業年度において支出した寄附金の額(次項の規定の適用を受ける寄附金の額を除く。) の合計額のうち、その内国法人の当該事業年度終了の時の資本金等の額又は当該事業年度の所得の金額を基礎として政令で定めるところにより計算した金額を超える部分の金額は、当該内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない」としています。計算内容は複雑なので割愛しますが、一定の計算をしそれを上回った部分については損金の額に算入しないという規定になっています。この計算をすると、多くの中小企業などは寄附金は損金にならなくなってしまうんですよね。
この組合も法人税法37条の寄附金の損金不算入の計算により損金不算入の部分が否認されたということになります。
この記事ではわからないことがあって、実は、法人からの贈与、すなわち寄附金は受け取った個人は一時所得になるんですよね。この個人への一時所得の課税が行われたのかどうなのか・・・。当然、されるべきだと思うんですが。

参考リンク:http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140101-00000004-yamagata-l06

この記事を書いたプロ

久乗哲

経営改善・金融交渉を支援するプロ

久乗哲(税理士法人りたっくす)

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