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仙台市内のホテルが1億2000万円の所得隠しというニュースです

2014年1月7日

テーマ:脱税を斬る

コラムカテゴリ:法律関連

仙台市内のホテルが1億2000万円の所得隠しというニュースです。
所得隠しがあったホテルは震災後の復興に向けて被災地に多く入ってきた建築業者などにより、ほぼ満室状態だったとのこと。
当然、売上げは大きく増えたんですよね。普通に納税しておけばいいモノを。
この脱税のスキームは2つの要素から成り立っています。
1つは売上げに対する隠ぺいですね。これはわかりやすいスキームですね。売上げを隠してしまうというモノです。こんなものは簡単にばれてしまいます。だって、調査官がこのホテルにいってみればわかること。反面調査でもわかりやすいですからね。これは映画「マルサの女」なんかでも調査されるシーンがありますね。喫茶店に行ってお店のお客さんを観察して推定売上額を推計するというシーン。
そしてもう1つは経費に対する仮装ですね。従業員の人件費を派遣を受けたと仮装したモノ。これも典型的な仮装の例ですね。実態はこのホテルが雇用しているんですが、別法人で雇って、そこから派遣をしているというように仮装する。雇用であっても派遣であっても、ホテル側からすれば経費は経費。だから法人税には影響を及ぼしません。では、なんの脱税かといえば、消費税と源泉所得税。
消費税法では雇用に対する給料は不課税としています。これは雇用契約に基づく労働の対価であり、「事業」として行う資産の譲渡等の対価に当たらないからです。一方、別の会社へ業務を委託して人の派遣を受ける場合には、請負契約に基づくため「事業」として行う資産の譲渡等の対価に当たるため、消費税の対象となることになります。すなわちホテル側からすると控除対象の消費税となり、納める消費税を減らすことができるんです。
このスキームを使って実際の雇用なのに、別会社を経由して請負に仮装して消費税の控除を受けた。当然、請負契約と仮装しているので、その給与に対応する源泉所得税も納めていなかったということですね。
非常にわかりやすい脱税スキームで、こんなことでばれないと思う方が甘すぎますね。
脱税は殺人よりも難しい犯罪です。だって脱税は最初から申告することにより、私が犯人ですと名乗り出て、さまざまなところに指紋を残しているんだから。税金は基本的には経済的は背景があります。すなわち取引の相手があること。調べられればばれるんですよね。
こんな甘い脱税をすることによって、重加算税などの罰金も納めなければならなくなる。ムダな罰金です。ちゃんとした節税をして、ちゃんとした納税をする。これが企業が強くなる一番の方法なんですけどね。

参考リンク:http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20131227-00000543-san-soci

この記事を書いたプロ

久乗哲

経営改善・金融交渉を支援するプロ

久乗哲(税理士法人りたっくす)

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