庭の桜
講談社文芸文庫。稲葉真弓。
20年筆者と一緒にいた猫が年老いてしまった頃の自伝的小説である。
最初で最後の猫だったと思われ、20年も一緒にいたら、それはそうかと思う。
男と暮らしていた武蔵野で出会った子猫と住むためにマンションを探し、筆者は住むところが見つからずほとんど半狂乱になりながら小さい分譲マンションを購入して猫と暮らし出す。猫が行方不明になり、茫然自失とした私。自分で排泄もできなくなった猫のお腹を押してあげる私。猫の棺桶代わりの箱を探す私。
死が近づいた猫を、伊勢志摩の方の小屋につれて行く私。
どの話も猫に対する深い愛情で満ちている。
読んだ後は、きっと、家にいる猫や犬をもっともっとかわいがろうと思う一冊。
文学読みの人には、稲葉真弓、お勧めです(絶版となった本もあるが)。


