運動ができないとだめなのか
元ラグビー日本代表で、現在は、神戸親和女子大学教授である
平尾剛氏の著書である。
現代は、スポーツ界では、勝利至上主義や商業主義、過度な競争主義がはびこっており
勝利、お金やランキングといった分かりやすい目的を掲げ
それに向けてシンプルな方法で解決を図る考え方を
著書では「筋トレ主義」と呼んでいる。
そして、こういった目に見える分かりやすい目的を
シンプルな方法で解決することは、スポーツ界のみならず
社会全体に広がっているのではないか。
そのことに警鐘を鳴らすのが本書である。
平尾氏は、スポーツの技術や力量が向上するのは
コツやカンといった感覚世界が切り開けたときに得られるものであって
筋トレさえしていればよい、といった単純なものではない
と指摘する。
そして、技術や力量が向上するためには
しなやかな身体や全身が協調して動くことが不可欠であり
筋トレのような、局所的な、スポーツの動きとは切り離された単純運動をすることは
むしろ弊害である、と述べる。
(以上は、書籍を読んだ僕の理解するところであり、平尾氏の言そのままではない。)
平尾氏は、書籍の中で、筋トレをして体重を増強した結果
パフォーマンスが落ちた、という経験を紹介しているが
僕も似たような経験をしている。
僕は、身長が167cmとアメフトをやるにはかなり小柄であったため
身長180cm、体重100kgとかもあるボールキャリアーをタックルするのには
とにかく筋肉を付けて、体重を増やさなあかん、と考え
大学4回生になる冬場から春先にかけて、体重を81kgまで増やしたことがあった。
その間は、比叡山に1か月間毎日登ったほか、筋トレばかりして過ごし
間食も含めて1日7食くらい食べたので、順調に体重は増えていった。
そしていざ、春の試合を迎えたのだが
身体が全く思うように動かないのである。
平尾氏が指摘しているように
アメフトの動きを無視した筋トレと無理な体重増強であったためである。
今こうして振り返って書いていると、「そりゃそうやろ」と思うのだが
京大アメフト部には、とにかく食べて体重を増やせ
筋トレやって筋肉付けろ、怪我をしにくい身体を作ってからグラウンドに出ろ
という文化が少なくとも当時はあった。
受験勉強で怠けきった身体のままアメフトをすれば、大きな怪我をしかねないため
それ自体はもっともなのだと思う。
僕の身体が動かなくなったのは、平尾氏のいう「筋トレ思考」に陥り
感覚世界を等閑にしたためだろう。
そんなわけで、本書に書かれていることは
僕の実感としても、とてもよく理解できるものであった。
しかし、出来るだけイメージしやすい事象を例に挙げて説明されてはいたが
書かれている内容は、少々難解なように思えた。
そのため、すいすいと読んでいける、というよりは、じっくり考え、時には戻って読む
といった感じで読み進めていった。
そのあたり、読む人によって賛否が分かれるところのように思うが
内容としては、僕は全面的に賛同できるものであったし、社会一般に広まって欲しい考えだ
という印象である。
弁護士になりたての頃は、まだ鍛えた筋肉が残っていて
アメフトをやっていたと知った方には「脳みそまで筋肉です」などと言っていたが
その後、10数年の時を経て、有りし日の筋肉はどこかへ失われ
筋肉筋肉いうような身体ではなくなったことも、多分に影響しているとは思うのだが。
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弁護士西村友彦(にしむらともひこ)
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