手のひらを胸に当てる! ―― 心音聴覚から心音触覚へ ――

十六歳から六十年ほど、人生を探求してきました。
でも、この世がいつ始まり、いつ終わるのか。
何のために存在しているのか。
結局のところ、さっぱりわかりませんでした。
私は衣食住のために働き、収入を得て、
それなりに満足して生きてきました。
もちろん、いろんな浮き沈みはありました。
けれど今から思えば、
それらは海面に立つ波のようなものだった気がします。
海中に潜れば静かで、
その奥では海流が悠々と流れていました。
今の私なりの結論は、
この世は「不思議態」だ
ということです。
死んだとしても、
また別の様相の不思議態が待っているような気がしています。
その世界のイメージをAIに描いてもらいました。
画像を見た瞬間、
「ああ、こんな世界なのかもしれないな」
と思いました。
いずれにしても、
この世は不完全で、
矛盾に満ちていて、
それでいて美しく、
心愉しい不思議態と言うほかありません。
ああ、そうそう。
探求の末に、一つだけ確かなものを見つけました。
それは、自身の心臓の響きです。
私たちの心臓は、
昼夜を問わず一日に十万回ほど拍動しています。
その心音に耳を澄ませていると、
不思議と「自尊」の気分に浸れます。
そして、自分と同じように、
他の人の胸の中でも心臓が響いていると気づくと、
自然に「他尊」の気持ちも湧いてきます。
すると、
人と人とが響き合いながら生きていることを感じられるのです。
そのおかげで、
私は今、
なかなか、ええ人生やなぁと思えています。
不思議態さん、
ほんまにおおきにですわ。


