自己破産~「同時廃止」と「管財事件」 債務者の負担のちがい~
任意売却が終了しても、借金問題が全て解決するわけではありません。
残った住宅ローンについては、その方の支払い可能な額でまた返済が開始される訳でですが、それでも生活再建が困難であれば、法的な手続きをとった方がいい場合もあります。
今日は、法的手続きの一つ自己破産についてのメリット・デメリットについてお話ししたいと思います。
実は、自己破産のことについてどんなものなのか知らない方が非常に多く、知らないがために自己破産する決断できないという場合があります。
破産というと、何かマイナスのイメージがつきまといます。
確かに、他人に知られてると体裁が悪いですし、職業の制限などをうけるマイナス面もあります。
しかし、破産手続開始決定を受けることで債権者からの催告、取り立てから解放される訳ですし、さらに免責の申し立てをすることで、借金の帳消しという解決へ向かってのステップを踏み出すことができ、新しい生活へのきっかけがつかめるメリットがあります。
マイナス面は免責されるまでのことで、免責が確定すれば、全て以前の状態に戻ることができます。
どんな資格制限があるのか
破産手続開始決定を受けてから免責決定をうけるまでの間、公法上の資格制限と私法上の資格制限があります。
公法上の資格制限とは、「士業」のことです。
弁護士、司法書士、税理士、弁理士、行政書士、宅地建物取引士などの職にある人は、破産手続開始決定を得て免責決定が出るまでの期間は資格が失われてしまいます。
一方、私法上の資格制限は後見人、保佐人、遺言執行者になることができないという制限です。
また、合名会社や合資会社の社員は退社しなければならず、株式会社の取締役、監査役も退任しなければなりません。
あと、居住地を晴れて転居したり、海外旅行など長期の旅行をする場合は裁判所の許可が必要になってきます。
日々の生活はどうなるの
現在の破産制度では前述のような制限を受けますが、生活上困るような制限はほとんどありません。
例えば、破産しても家賃を滞納なく支払っていれば家を出ていかされることはありませんし、選挙権や被選挙権もなくなりません。
また破産した事実を戸籍に記載されることもありません。
市町村役場には「破産者名簿」と呼ばれる帳簿があるのですが、これには記載されてしまいます。
しかし、この破産者名簿は第三者が見ることはできませんし、免責を受ければその名簿から抹消されます。
そして、「官報」という国の広報誌にのると言われますが、これを読んでいる人などほとんどいませんので、これによって破産したことが知られることはないでしょう。
ただ、信用情報期間に破産したことの情報が登録されてしまいます。
信用情報機関とは金融機関や貸金業者、信販会社などがお金を融資する判断材料とな情報を収集している機関なのですが、ここに登録されると5年から7年の間、新たにお金をかりたり、カードをつくることが出来なくなります。
しかし、これも情報公開されるものではないので、これによって破産の事実が知れ渡ることはありません。
以上、『任意売却後の自己破産 「メリットとデメリット」』のお話しでした。