破産を強制される「債権者破産」
自己破産や任意売却を行う前提として、債務者の方が支払い不能にあるかどうかという条件があります。
しかしながら、支払い不能とはどんな状態なのか・・・。
着る物、食べるもの、病院に行くのも我慢しなければならい状態のことを言うのか・・・。
実は、自身が支払い不能状態になっているかを判別することが出来ずに想い悩んでいる方が多くいらっしゃいます。
支払い不能とは・・・?
実は特に決まった条件はなく、ケースバイケースで判断されます。
しかし、皆さんに知っておいて頂きたいことがあります。
それは、自己破産における支払不能と任意売却における支払い不能は実は考え方が異なるのです。
今日はその違いについてお話ししたいと思います。
◆まず自己破産における支払い不能とは・・・
自己破産は債務者が裁判所に申し出を行うことで、初めて手続きが開始されます。
しかし、手続きが開始されたからといって必ず借金が免責されるものではなく、裁判所が支払い不能であることを認めなければできません。
では、裁判所が認める支払い不能条件とは何か・・・。
実はこれも明確な基準はないのです。
債務者の職業・収入・資産状況・社会的地位などそれぞれ異なる為、返済できるだけの能力(年齢・性別・信用・労力・職業)もそれぞれ異なります。
ですので、裁判所はそういった状況を踏まえて、客観的に判断し債務者の自己破産の必要性を判断します。
しかし、あえて裁判所がみる大まかな基準について述べると次のようなことです。
・返済時に借金を返済できない状態が続いている
・今ある借金を3年から5年で返済することができない
・債務額が収入の1.5倍以上である
といったことです。(これが該当するからといって支払い不能という訳ではありません。)
いずれにしても、自己破産における「支払い不能」は裁判所の判断に委ねられるといことです。
◆任意売却における「支払い不能」とは
任意売却における支払い不能と自己破産における支払不能との決定的な違いは裁判所の関与です。
任意売却はあくまで任意で行う売却手段ですので、基本的には裁判所はそこには関与しません。
ですので、支払い不能かどうかの判断は債務者自身の判断に委ねられるということになります。
そうすると、債務者の方は自身が支払い不能であるかどうかを考えなければならいのですが、自身が支払い不能であると思えばそうなのです。
今、食べる物、着る物、生活を送るうえ最低限必要な事を、自身や家族はどれだけ犠牲にされていますか?
今の生活を今後何十年も続けていくことに不安を感じませんか?
そういったレベルで、今、住宅ローンの支払いが出来るのか、出来ないのかを考えればいいのです。
仮に自己破産手続きにおける支払い不能の条件に満たしていなたくとも、罰せられることはありません。
また、極端なお話しですが支払いが可能であっても任意売却を検討することは可能ですし、悪いことでもありません。
たまにそれは詐欺じゃないかと言われる方がいるのですが、詐欺というのは最初から支払う意志がない場合のことで、これまで住宅ローンを支払い続けていたのなら詐欺にはなりません。
また、銀行も返済が止まれば競売という手段で処分する権利を有しているわけですから、返済を止めることが詐害行為(不法行為)になることもありません。
いずれにしても、任意売却における支払不能とは、裁判所や債権者が判断するものではなく、自身で判断できるということなのです。
任意売却をすることに罪悪感を感じ、躊躇される方もおられますが、任意売却をしたからといって必ず自己破産しなければならないものではありませんし、任意売却後に残る住宅ローンについては、その方の支払える範囲内支払っていけるというメリットがあります。
そういった意味でも、今の支払いが厳しいかどうかという目先の生活状況を考えるだけでなく、将来的にその返済が厳しくなる恐れがあるという場合でも任意売却することも可能なのです。
以上、『支払い不能とはどんな状態なのか・・・?「自己破産」or「任意売却」』のお話しでした。