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不動産所有者が認知症などで自ら意思判断ができない場合、後見人を設置し裁判所の許可もらって不動産を売却することになります。
しかし、後見人を設置するといってもそう簡単なことではなく、一定の手続きと時間、そしてお金が必要になります。
まず申し立てに際して資料づくりから始まります。
医師の診断書、財産状況がわかる資料、相続相関図などを作成します。
そして、後見人を身内の中から候補者としてあげる場合は、その方の財産状況、収入状況、健康状態などの資料も揃えなければなりません。
こういった資料作りが出来て初めて後見人の申し立てとなります。
申し立てがなされると、今度は裁判所がそれをチェックし後見人の設置が相応しいかどうかなどを審査します。一般的には2ケ月~3ケ月もあれば後見人は設置されますが、権利関係が複雑であったり、資料の提出が遅ければ、3ケ月以上もの時間を要してしまうこともよくあります。
そして、お金です。
こういった手続きは主に弁護士や司法書士が行うのですが、安くても10万円以上の費用が必要になるのです。
しかしながら、時間的制約のある任意売却において、後見人を設置しなければならいような場合、現実的にそれができるものなのか・・・。
結論的には、「出来る場合と出来ない場合がある」という答えになってしまいます。
出来ない場合とはどんな時か・・・。
任意売却の中でも特に時間的制限を受けてしまうのは、競売の申し立てがなされてしまった場合です。
一旦競売の申し立てがなされると余程のことがない限り止めることはできません。
ですので、3ケ月から4ケ月の間に任意売却を完了させなければならず、当然、後見人についてもその間に設置を完了させておかなければなりません。
ですので、競売が申し立てされてしまうと、非常にタイトなスケジュールとなり、任意売却の販売活動に十分な時間があてられず、失敗に終わるケースもあるのです。
任意売却をすることが目的で始まった後見人の申し立てが、後見人の設置だけで終わってしまい、結局その申し立て費用だけが発生してしまう可能もあるのです。
一方、競売の申し立てがなされる前であれば、比較的時間はあります。
短くても9ケ月以上の猶予があるため、後見人の申し立てに要する時間と任意売却活動を行う時間を十分につくることができます。
そうなると、必然的に任意売却の成功率も高くなるということです。
ですので、後見人が必要な任意売却は、早め早めの相談が成功の鍵を握るということを知っておいてください。
以上、「後見人をつけて任意売却はできるのか」のお話しでした。
<参考>