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矢田倫基

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矢田倫基(やたともき) / 不動産コンサルタント

烏丸リアルマネジメント株式会社

コラム

給料の差し押さえについて

2016年2月14日 公開 / 2016年9月1日更新

テーマ:給与等の差押えについて

コラムカテゴリ:お金・保険

前回、給料の差し押さえについてお話ししましたが、今日はもう少し詳しく説明します。

給料の差し押さえは、支払請求の訴訟に勝ち、判決が確定しなければ、債権者は債務者の給料を差し押さえることはできません。

しかし、税金滞納による役所の差し押さえになると、裁判所へ一定の手続きを踏まずして、すぐに差し押さえができるので、突然の出来事のように思われるかもしれません。

そして、給料の差し押さえは全額を差し押さえることはできません。
日常的な生活費として使う部分については差し押さえが禁止されているからです。

差し押さえる額は、給料の手取り額が基準となり、その手取り額の4分の3の金額と33万円とを比べて、どちらか少ないほうが差し押さえ禁止の限度額になります。

給料が手取り40万円の場合は、その4分の1、つまり10万円が差し押さえられることになります。

給料の差し押さえ

手取り額とは、所得税や社会保険料などの法定控除額を控除したものになります。

例えば、基本給25万円の場合
①通勤手当;1万5000円
②残業手当:2万円
③住宅手当:2万円
④源泉税・社会保険料等(法定控除額):5万円

この場合、給料の差し押さえの基準となる手取り額とは・・・

25万円+②+③-④=25万円+2万円+2万円―5万円=24万円
(②通勤手当は加算されません)

44万円を超えないので、24万円の4分の1、6万円が差し押さえされます。

*法定控除額とは、源泉税(所得税)、住民税、社会保険料(健康保険、厚生年金、雇用保険など)を言います。
その他、労働組合費や共済費、生命保険、積立金、財形貯蓄などは含まれません。

ところで、給料の差し押さえがあってから、自己破産の申立てをする場合、免責の申立てがあったとみなされます。
その後、同時廃止が決定されると、それまで債務者(破産者)が受けていた差し押さえは中止され、免責が確定すると中止していた差し押さえ手続きは効力を失います。
また、免責が確定するまでの間は新たな差し押さえも禁止されているので、給料を差し押さえられることはなくなります。

また、給料の差し押さえは債権者が債務者の勤務先を知っていなければできません。
お金を借りていた時と同じ勤務先であれば、債権者は勤務先を知っていることになる為、差し押さえを逃れることは難しいでしょう。

しかし、途中で転職などして、勤務先を役所や債権者に伝えていなければ、差し押さえされるリスクは非常に少なくなります。

次に、給料ではなく年金受給の場合はどうなるのか・・・。
年金証書と年金が振り込まれる銀行通帳を担保にお金を貸す貸金業者がいます。
これらの業者は、借主が借金を返済できないとき、年金の受給日になると担保として借主の年金をとってしまいます。
しかし、このような行為は違法ですし、そもそも年金は差し押さえできない財産です。
(例外的に年金福祉事業団などが公的年金を担保に融資することは法律で認められています)
この他、恩給も含め、教員の共済組合、国民年金、農業者年金、雇用保険なども差し押さえはできません。

ところが・・・
こういった公的年金を銀行振り込みで貰っている場合は注意が必要です。
一度、銀行口座に入ってしまうと、預金財産とみられ、差し押さえされる場合があります。
そういった場合は、直接、年金事務所へ行ってお金を受け取るなどした方がいいかと思います。

以上、「給料の差し押さえについて」のお話しでした。

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