任意売却にかかる諸費用は用意する必要なし!
自己破産と自宅の任意売却の二つをご希望される方から、それらどちらを先に行えばいいのか・・・?というご質問をいただくことがあります。
結論的には、どちらを先に行っても構いません。
しかし、どうせ行うなら、良いかたちのフィニッシュポーズで解決を図りたいものです。
実は、自己破産と任意売却の順番は、そのフィニッシュポーズの良し悪しに関係し、任意売却を先に行う方が良いと考えるのが一般的になっています。
しかし、任意売却を先に行うことで生じるリスクもあるこも知っておかなければなりません。
そこで、任意売却を先にする場合のメリットとデメリットについてご説明したいと思います。
<任意売却をしてから自己破産を行うメリットとデメリット>
メリット
1.任意売却の成功率があがる
自己破産は単なる手続きですので、成功も失敗もありません。
しかし、任意売却は誰が行うか、どういった利害関係人が存在するか、これらによって成功率は大きく変わります。
自宅という財産(マイナスでもプラスでも)がある状態で先に自己破産手続きをとると、破産管財人という裁判所が指定する弁護士が関係者の一人として加わります。
その破産管財人は債務者の代理人となり不動産購入者を探す訳ですが、多くの弁護士事務所では販売活動を弁護士が行わず、事務局に丸投げされます。
資格を持たない事務員による事務的な販売活動が行われるだけ、積極的な販売活動が行われないのが実態です。
例えば、日頃出入りする数社程度の不動産会社にFAXを送るだけといったものです。
管財人が行う任意売却活動の多くは、「販売活動を行いました」という既成事実をつくっているだけで、不動産会社からみれば極めて頼りない販売活動になってしまいます。
破産管財人の目的はあくまで「自己破産」のみで、そこには債務者の「任意売却と自己破産」の二つの目的を達成させる強い姿勢は見受けられません。
そういったことから、管財事件となると、任意売却の成功率は低くなってしまうのです。
2.債務者主導の任意売却で進めることが可能になる
自己破産を先にすることで、管財人がついてしまいます。
上記でもお話したように管財人が行う任意売却の販売活動はどうしても頼りないものになってしまいます。
任意売却には「住み続ける」、「引越費用の確保」といった手法があるのですが、これらはほとんど提案されません。
ただ高く売るということだけに着目され、そこには債務者の要望や都合は考慮されません。
管財人は債務者の代理人とされながらも、実はどちらかといいうと債権者側にたって任意売却を進める傾向になってしまうのです。
そういったことから、管財人のいない環境で任意売却を行えば、債務者主導の任意売却で事を進めることができるようになります。
3.金銭的負担が軽減する
自己破産には同時廃止事件(財産がない状態の手続き)と管財事件(財産がある状態の手続き)がありますが、管財事件は同時廃止事件に比べ手続きに時間もかかりますし、なによりも債務者の費用負担が大きくなります。
弁護士報酬に加えて、管財人への報酬も発生しますので、管財事件は50万円~100万円ほどの金銭負担が発生します。
一方、財産がない状態の手続きの同時廃止事件では管財人の設置はないため、20万円~50万円程度で済みます。
任意売却後の破産手続きは同時廃止事件になりますので、その分、金銭的負担が軽減さるということです。
また、よくあることですが、管財人が任意売却を行うと、債務者はすぐに引っ越ししてくださいと言われます。
空き家の方が売れやすいという考えから、管財人そう言うのですが、空き家でなくても売却することは十分に可能です。
まだ購入者が決まっていない段階で先に引っ越しをすれば、無駄に家賃や引越費用が発生することになります。
そういった意味でも管財人がつかない環境、すなわち任意売却を先に行うことで、債務者の金銭的負担を軽減させることに繋がるのです。
デメリット
1.任意売却を行う業者選定を慎重に行わなければならない
任意売却を先に行えば基本的には管財人はつきません。
ある意味、任意売却を先に行うということは、裁判所の監視下にはない環境で任意売却を行えるということでもあります。
そのため不正やミスが発生しやすい環境とも言えます。
例えば、売却価格が適正なものでなく、他の債権者に損害を被らせるような不正不動産取引です。
もしこれが発覚すれば、債務者は自己破産をすることも出来なくなりますし、不法行為として罰せられる場合もあります。
自己破産手続きをすれば最終的には裁判所のチェックが必ず入りますので、先に任意売却を行う場合は絶対に不正やミスがあってはならいのです。
任意売却で行われる不正の多くは、債務者が主導して行うというよりも、不動産会社が利益の為に主導して行われることが多く、債務者の全く分らないところでで不正が行われていることがあるのです。
そのため先に任意売却を行う場合、業者選定は慎重に行わなわなければなりません。
また、単に不動産売却の仕方、任意売却の仕方を知っているだけの会社に任意売却を依頼することは極めて危険です。
法律の知識をもち、信頼できる任意売却業者を探す作業が必要になってくるということです。
2.任意売却を先に行っても管財事件となる場合もある。
任意売却で不正をにおわせる取引があると裁判所が認識すれば、いくら財産が無い状態であっても、管財事件として取り扱われことがあります。
そうすると、費用という面で、金銭的負担が生じるということになるのです。
結論
任意売却を先に行えば、管財事件とならず、成功率の向上、債務者の意向が効きやすい、金銭的負担が小さくなるというメリットがあります。
しかし、その前提には、任意売却を行う会社が法律の知識をもった信頼できる会社でなければならないということです。
以上、「自己破産と任意売却どっちを先にするの・・・?」のお話しでした。
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