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矢田倫基

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矢田倫基(やたともき) / 不動産コンサルタント

烏丸リアルマネジメント株式会社

コラム

離婚における財産分与は任意売却で「オーバーローン編」

2016年1月23日 公開 / 2016年9月1日更新

テーマ:離婚

コラムカテゴリ:お金・保険

コラムキーワード: 任意売却財産分与

離婚における財産分与は任意売却で「オーバーローン編」

先日、こんなご質問がありました。
離婚をする夫から住宅ローンの残債務も共有の財産なんだから折半して欲しいと言われ、私は支払わなければならないのか・・・?というものです。

というのも、自宅は不動産の価値よりも住宅ローン残債務の方が多い、いわゆるオーバーローン状態。
自宅を売却したくてもそれが出来ず、ご主人さんは今後の返済も独り身になれば生活が厳しくなるという背景があるようです。

まず、財産分与の典型的な考え方についてご説明します。

例えば2,000万円の価値のあるマンションがあるとしましょう。
そのうち1,300万円の住宅ローンが残っている場合、2,000万円(+財産)から住宅ローン残債務(-財産)1,300万円を差し引いた700万円が財産分与の対象となります。
財産分与の考え方は、プラス財産からマイナス財産を差し引き、余ったお金を二人で分けるというものです。

しかし、今回のご相談者のように、オーバーローン状態になるとどうなるのか・・・。
例えば、
2,000万円の価値のあるマンションに2500万円の住宅ローンが残っている場合、プラス財産からマイナス財産を差し引くと-500万円になってしまいます。
これを折半すると、-250万円ずつの負担となってしまいます。

財産分与における従来の実務的な考え方では、マイナスとなった債務を他方に引き受けさせるということはありません。
ですので、ご相談者の奥様はローンを負担しなければならないということはないのです。

不動産以外に他プラスの財産があれば、それらと相殺しながら調整をはかるのですが、それでもなおマイナス財産となってしまうなら、借入をした名義人(債務者)が負担しなければならないということです。

また、債権者(銀行)としてもお金を貸したのは奥様ではなくご主人さんな訳ですから、奥様へ請求することはありません。
離婚は夫婦お二人の問題ということで、離婚をしたからといって銀行は債務を分けることはしないのです。

ところが、これらの考え方は外部的な考え方です。
外部があれば内部があります。

問題は内部的な考え方をした場合に、奥様は注意が必要になるのです。

内部的な考え方とは、奥様は銀行(外部)からの請求を受けないものの、離婚は当人同士の問題で、ご主人さんは奥様に請求できる権利があるという考え方です。
従来の離婚における財産分与の考え方では、このようなことはほとんどありません。
しかし、時代の変化とともに法律の考え方も変わってきており、夫婦二人の間において、ご主人さんは債務者ではない奥様にもお金を請求できるという審判例や裁判例もでてきているのです。

奥様はご主人さんから絶対にお金を請求されることがないとまでは言えないということも知っておいてください。

しかしながら、今回自宅を売りたくても売ることが出来ないということが原因にあります。
そういった意味でも、自宅を任意売却すれば借金は最小限に済みますし、残った債務の毎月の支払いについてもご主人さんは大幅に返済計画が見直されます。
これにより、奥様はご主人さんから請求されるリスクも少なくなりますし、もし請求されても最小限の負担で済むことにも繋がります。

離婚における不動産売却、とくにオーバーローン状態になっている方は、任意売却という方法で財産分与することも考えてみてはどうでしょうか。

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