大規模修繕工事における防水材供給不足について

小堀將三

小堀將三

テーマ:大規模修繕工事

 令和8年4月10日に第1回が開催された「中東情勢に関する国土交通省幹部会議」の第5回目が6月2日に開催されており、その際の配布資料では、ナフサ由来の化学製品の需給見通しは、国内でのナフサ精製の継続及び代替調達により従来の85%まで回復し、川中の製品輸入も大幅に進み、4月の川中在庫活用を0.1ヶ月分に抑えられたことにより、ナフサ由来の石油製品は年度を越えても供給継続が可能となる見込みだそうです。また日本塗料工業会によりますと、出荷の前年同月比が3月は塗料が111%、シンナーが115%、4月は塗料が115%(シンナーは6/12公表予定)で、 5月以降も引き続き平年並み以上の供給を継続できるとのことです。
 しかし、マンションの大規模修繕工事の現場におきましては、深刻な実情が浮かび上がっています。日本経済新聞社によりますと、マンション計画修繕施工協会(東京・港)が会員企業を対象にアンケートを実施した結果、「建設資材の納期遅延などで工期が遅れた」または「今後遅れる可能性がある」と答えた企業は回答87社中51社で全体の約60%、工期に影響があるマンションは594件に上ったそうです。現場では、やはりシンナー不足が否めません。その原因は、ナフサ由来の化学製品は日本全体としての必要量は足りてはいますが、依然として、塗料・シンナー等の供給の偏り・流通の目詰まりが生じていることです。
 これについて「中東情勢に関する国土交通省幹部会議」では、これらの原料となるトルエン等について、シンナー・塗料メーカーからの要請に応じて、最大で例年の1.8倍の大幅な供給拡大を実施することで、国内の平時の需要を大幅に上回る塗料・シンナーが今後大量に供給されることが見込まれ、地方も含めた工務店等に塗料・シンナーが行き渡るように対策を練るとのことです。

日本経済新聞記事
 マンション大規模修繕、遅延が6割 ナフサ由来の防水材など高騰

 大規模修繕工事の現場では、防水材の価格高騰や納期遅延により現場の工程調整に影響が出てきており、工事会社が工事請負金額の見直しを迫られ管理組合に打診するも、合意が得られないケースもあるということです。
 大規模修繕工事実施中の管理組合様にとって防水材供給不足問題は頭を抱えるようなお話ですが、今後の中東情勢の情報を収集し、また国土交通省の動きを注視して、工事会社とよく話し合われてご対応いただければと思いますし、国には、一刻も早く「供給の偏り」・「流通の目詰まり」を解消していただきたいと思います。

 ※資料は国土交通省の資料から引用して掲載

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小堀將三
専門家

小堀將三(マンション管理士)

マンション管理士事務所JU 高知オフィス

第三者の立場に立って絶えず公平な判断を下し、管理組合様と管理会社の良好な関係ができるよう、両者をつなぐ役目となることを目指します。大規模修繕工事、管理規約の見直しなど、様々なお悩みに寄り添います。

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