液状化現象に転ばぬ先の杖を!
フェイスブックとの連携に手間取った事もあり、更新が遅くなっており申し訳ありません。
今年の弊社の年間のテーマは 「早い・上手い・安心の追及」 です。
行動指標が 「上手い・早い・安心」 だったので単に順番が変わっただけですが
いろいろな意味で今年は 「早い」 に拘っていきたいと思っております。
今年のコラムも見て頂いた方にとって有益になる情報を厳選して
お届けしたいと考えておりますので、今後ともよろしくお願いします。
今年初のコラムは液状化裁判に関する話題を!
既にご存知の方も多い事と思われますが、
去年10月に東日本大震災での浦安地区液状化被害による
4件の集団訴訟の第一審の判決が相次ぎました。
が、その判決は、いずれも住民側の敗訴となるものでした。
今回はその判例の一つの内容ついて触れてみたいと思います。
この裁判の主な争点としては、
①違法性の有無
②予見の可能性の有無
③結果回避義務違反の有無
④説明義務違反の有無
⑤不法行為の除斥期間
⑥瑕疵担保責任の有無
でしたが、その全てについて否定されました。
判決理由の主な内容は (以下、筆者による要約)
「東日本大震災は日本観測史上最大規模かつ継続時間が長期にわたる特殊な地震であった。」
とした上で
「建設・分譲当時には今回の様な長時間の振動による液状化被害は予見できなかった。
予見できなかったのだから、結果回避義務違反については成立しない。」
「1987年の千葉県東方沖地震の際に、この団地において被害がなかったのは
剛強な鉄筋コンクリート製のベタ基礎を採用していたからなので、
当時の知見としては不十分なものであるとは言えない。
従って、説明義務違反についても成立しない。」
ついては、「その不法行為については成立しない。」 という大変厳しいものでした。
また、⑤、⑥についても 「その期間は消滅している。」 としました。
ですが判決を不服とし控訴されている事から、しばらくは注視が必要でしょう。
ここで注目したいのは、「知見できなかった」 と言う事です。
確かに今までの液状化判定は、地盤の固さと揺れの大きさとに主眼が置かれており
揺れの長さを考慮に入れる判定方法とはなっていません。
しかし、東日本大震災を既に経験した私たちは 「知見を得た者」 になったと言えます。
今後、建築する建物については、同等程度の地震では逃れられなくなる可能性もあると言えます。
車の運転と同様に 「大丈夫だろう」 は事故のもとです。「かもしれない」 に注目し、
目の前の物件を、現時点で考えられる最大限の理論、技術で対応する事。
また、きちんとお施主様に伝える事が重要であると、再度、考えさせられる裁判となりました。
2015年4月からの住宅性能表示制度の見直しにより、
「液状化に関する情報提供」 の項目が任意ながら追加されました。
これは、「東日本大震災を踏まえ専門家の相談や流通時の判断材料として
活用できるよう液状化に関する情報提供を行う。」 とされ、
「把握されている情報を、評価書に参考情報として記載する。」 とあります。
これは、広域的な地盤情報、個別の地盤情報、当該住宅の基礎の情報を開示と共に、
情報提供していこうという取組です。
軟弱地盤上の地震被害では、建物の倒壊が起こる周波数があり、キラーパルス等と言われますが
液状化を起こした場合には、建物が揺れずに沈下を起こします。
従って、人身被害がない事が多く、住宅レベルでは今まで軽視されていた傾向が強いです。
今後の判例と合わせて、住宅地盤の評価が大きく変わっていく可能性があると考えられます。
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各エリアMAPを地図上で確認でき、レポートとしてプリントする事も可能です。
地域の地盤情報として、大まかな目安とする事ができるでしょう。