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穂盛正明

高知の地盤を知り尽くした地盤調査・補強工事のプロ

穂盛正明(ほもりまさあき)

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コラム

2016年 熊本地震 住宅地の地盤被害①

災害

2016年8月2日 / 2018年12月6日更新

2016年4月の熊本地震から100日

この度の熊本地震により、甚大な被害やたくさんの尊い命が失われました。
改めまして、被災された皆さま及びご家族の方々に心よりお見舞い申し上げます。
先日被災から100日経過しましたが、仮設住居もまだまだ不足しているようで
避難所生活を強いられている被災者の皆さまにも、お見舞い申し上げます。

現在、継続的に行っている地盤講習会は、去年の地盤偽装などを問題視して始めたものです。
その講習会の内容で、地盤改良工法の監理内容にはあまり関係ないのですが、
最初からガケ条例や斜面災害擁壁のチェック方法などについてはカリキュラムに入れてありました。
これは過去の地震や豪雨などによる災害の際には、必ず大きな被害を出しているからです。
やはり今回の熊本地震も、宅地地盤に大変甚大な被害を及ぼしています。

最大震度7クラスが、一連の地震活動において2回観測されたのは初めてのことらしく、
7月末までの集計では、震度6強:2回、6弱:3回、5強:4回 5弱:8回となっています。
また、有感地震に至っては1900回を超えた(8月2日時点)事も特徴的な地震といえます。
気象庁地震火山部資料:http://www.data.jma.go.jp/svd/eqev/data/2016_04_14_kumamoto/yoshin.pdf
建物の剛性についての議論は、建物のプロにお任せするとして、
大災害がある度に、私たち住宅地盤に関わる人間としては、
自分たちの仕事が命に関わる事があることを再認識させられます。
どこまで踏み込んでいいものか?工期も予算もある仕事ですから非常に悩ましい限りです。

熊本からの沈下修正の問い合わせ

さて、6月6~7日にかけて沈下修正のご相談もあったことから、熊本の視察に行って来ました。
今回の地震では、津波や原発事故がなかった事から建物や地盤の被害がそのまま残されています。
直下型地震ということもあり、被害が大きい地域と少ない地域の差が大変大きかった事が印象的でした。
被災状況の写真については、このページのギャラリーにも写真をUPしておりますのでご覧ください。
http://mbp-kochi.com/gworks/gallery/18/
また、FacebookでもUPしております。
https://www.facebook.com/gworks.co.jp/

熊本城
屋根瓦と石垣の被害が大きく取り上げられました。
熊本城Facebook:https://www.facebook.com/KumamotoCastle/

予想通りですが、かなり広い範囲で立ち入り禁止になっていました。

上の写真で、左の石塔の上4段が回ってしまっているのがお分かりになるでしょうか?
仮に大きさが1メートル角の石とすると、最低でも10トン以上はあると推測されます。
今回の地震のエネルギーの大きさが、よく表れているのではないでしょうか?

個人的には、外部からの城の見学にも見学料を寄付としていただいて、
熊本城の災害復旧の一助として役立てたらいいのではないかと思っています。
少額ですが寄付もしてきましたが、調べてみると一口城主制度なるものもあるようです。
http://wakuwaku-kumamoto.com/castle/support
何れにせよ、熊本県民のシンボルとして早く立派な姿を取り戻して欲しいものです。

西原村から南阿蘇村

西原村
沈下修正の問い合わせがあった西原村へと向かいます。
山間部に入ると建物の倒壊が目に付くようになりました。
やはり壁量や筋交いなどが少ないからでしょうか?
納屋のような開口部が大きな建物は、ほぼ壊滅といってもいいくらいです。
あちこちの道路がひび割れや崩落により通行止めになっており、
行く先々で道路情報を教えていただきながらどうにかたどり着く事ができました。

現場は、分譲時には「森の中の・・・」「別荘地のような・・・」などのキャッチフレーズが
謳われていたであろう雰囲気がのこる山間にある小さな谷埋め盛土の造成地です。
しかし、現在では斜面の崩壊と側方流動により、無残な姿になってしまっています。
道路には大きな地割れが多数できたので、住民の皆さんが協力して補修されたそうです。
団地内の建物は、右に左に傾いており、特に谷側の被害が大きいのが特徴です。

数mも高低差がある盛土の土留めが大型のコンクリートブロックで施工されていたようですが、
大きく滑落し崩壊しています。見える範囲には裏込めコンクリートさえ無いようです。

これではとても盛土の荷重と家の重量を受け止める事はできません。
この様な無対策の斜面の事を 「丸腰」 と呼んでいますが、
文字通り武器も持っていない「無対策」の状態では、当然勝ち目はありません。
不幸中の幸いと言って良いものかどうか分かりませんが、
このお宅には単管を使った地盤補強が施工されていたようで
「家の滑落・倒壊」 という最悪のシナリオは回避できています。

しかし、当然立ち入りは危険である事には変わりがありません。
この家の方は引っ越しを余儀なくされたようです。

一方、斜面自体になにも対策していない住宅はこの様な状態になっていました。

ここも当然住む事はできません。

ご依頼のあった方との沈下修正の打ち合わせも終わったので、これからの梅雨時期に備えて、
雨水や排水の流路の確保や斜面の保護の方法について一通り説明させていただきました。

ビルダー様やお施主様、また一部の地域では、地盤補強は無駄なお金と考える風潮があります。
地盤補強の無い家に比べて、地盤補強がある家の方が被災の程度が少ないというのは、
阪神大震災以降、近年のどの災害を見ても統計として出ています。
液状化現象では、効果があまり見られなかった物件が一部あるのも事実ですし、
いろいろな想定外の災害が起きる時代なので、絶対完璧という事はできませんが、
地盤補強は 【丸腰】 ではなく、もしもの時に 【粘り腰】 で減災に貢献できるのではないでしょうか。

南阿蘇村は「2016年 熊本地震から ②」へ続きます。

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