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関太郎(せきたろう) / 土地家屋調査士

関 太郎 土地家屋調査士事務所

コラム

地上権999年の土地問題について

2021年10月21日 公開 / 2023年5月26日更新

テーマ:登記

コラムカテゴリ:住宅・建物

土地家屋調査士の関太郎です。



所有権のない土地について相談を請けました。
どういう事?

横浜の土地でたまに見受けられる事例です。
明治時代に横浜に、多くの外国人が居住しました。
しかし外国人が土地を所有する事は
明治時代には認められていませんでした。
便宜的な処置として、所有権の登記の代わりに
地上権の登記がなされており
所有権の欄は空欄となったままです。
地上権の設定期間は999年となっています。

地上権を取得した外国人が土地を売却する時は、
地上権の移転登記をしています。
登記簿を見ると、所有権の甲区欄が空欄となっていて
乙区欄に地上権の登記がなされており、
大正時代から現代に至るまで、地上権者(事実上の所有者)の移転の
経歴を確認することができます。

今回はそのような土地の地上権者の方のご相談です。
上述のように事実上の所有者として土地を利用しています。
土地が広いので地上権を分割して売却したいというものです。

まず私が疑問に思ったのは
この場合の所有権は誰なのか?という事です。
率直に、「国」の所有と考えられないか?と思いました。
「国」の所有であれば、土地を買受けて
所有権とすることが出来ます。

関東財務局の担当部署に確認をしたところ、
このような事例が少なからず見受けられていることを
承知しているものの
「国」の所有ではないという内部通知がされているそうです。

次に法務局に登記相談をしてみました。
債権者代位による分筆の一例として
地上権者が土地所有者に代位して分筆するという事例が
登記研究にあったので聞いてみました。

法務局からの回答は
土地所有者を特定できない以上
誰に対して代位するのかが分からないので
分筆登記は認められないという回答でした。

登記官は登記制度を厳格に運用することで
制度の真実性を確保しなければいけないので
こういった回答にならざるを得ない事は理解できます。

しかし・・・
今回のケースは、単一の特殊な事例ではありません。
不動産登記法の黎明期において
外国人に対する地上権の登記が確立されていなかったが故に
生じたと思われる事例で、
横浜の特定の地域で広範囲に見受けられます。

制度が不完全であるが故というのは仕方ないと思いますが
おそらく沢山の方が困っていると思います。
どうすればいいんだ!と叫びたくなります。
地上権者の方々においては、切実な問題です。
なぜならば、売ろうと思っても売ることが出来ません。
金融機関の担保評価の問題に直面するからです。

どうしても納得がいかなくて
色々調べた結果、国を相手に訴訟した事件を見つけたのですが
更に驚愕の事実を知らされることになりました。
がっくり・・・
興味のある方はこちらをどうぞ

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