2040年の就業構造推計  【第1部】「コストカット」から「成長」へ~中小企業が着手すべき財務・労務のDXシフト

江崎充豊

江崎充豊

テーマ:経営


 こんにちは、マネジスタ湘南社労士事務所です。
2026年1月に経済産業省が「2040年の就業構造推計」を公表しました。
今回は、そのレポートに関する内容を3部構成で取り上げます。
 第1部はレポートの概要、第2部は就業構造の内容と課題、第3部は対策についてお話しします。

はじめに:「成長型経済」への転換、名目GDP1,000兆円へ

 日本経済は今、過去30年にわたる「コストカット型」の停滞から、賃上げと投資が牽引する「成長型」へと転換する岐路に立っています。
 その具体的な道筋を示したのが、2026年1月に経済産業省が発表した「2040年の就業構造推計」です。
 第1部では、この推計の概要と、政府が描く未来の姿について解説します。

推計の概要

 政府は2025年5月に開催された「第6回経済財政諮問会議」を元に、2026年1月に経済産業省と経済産業研究所(RIETI)が共同で取りまとめた「2040年の産業構造・就業構造推計」を公表しました。
 この推計は、人口減少という深刻な供給制約下にあっても、適切な官民投資と産業構造の転換によって日本が豊かさを維持し、2040年度までに名目GDP1,000兆円規模(新機軸ケース:975兆円)を目指すための具体的なロードマップです。

「新機軸ケース」と「ベースケース」の比較

 この推計では、官民が連携して攻めの姿勢を貫く「新機軸ケース」と、現状維持の「ベースケース」が対比されています。
 両者の差は、2040年時点で実に出口の見えない停滞か、力強い成長かという差が極端になっています。

項目新機軸ケース(目標)ベースケース(現状維持)
名目GDP規模約975兆円約600兆円
名目成長率年率 約3%停滞が続く
官民投資額2040年度に約200兆円横ばい

成長を牽引する3つの産業ドライバー

 新機軸ケースでは、以下の3業種の将来像について触れています。

製造業X(エックス)
GX(グリーントランスフォーメーション)やフロンティア技術で差別化し、DXによるサービス化を融合。
単なるモノ作りを超えた高付加価値化により、雇用拡大と賃上げを実現。

情報通信・専門サービス業
他産業のデジタル化需要を一身に受け、新たな付加価値を創出。他産業を上回る賃上げの原動力に。

アドバンスト・エッセンシャルサービス業
観光や流通など、生活に不可欠な分野で徹底した省力化投資を行い、生産性を劇的に向上。中間層の所得を支える受け皿に。

第1部のまとめ

 2040年の日本が名目GDP1,000兆円を達成するための条件は、年間200兆円規模の投資と、春季労使交渉5%相当の継続的な賃上げです。しかし、この華やかな数字の裏には、中小企業の経営に大きく影響する「労働需給の歪み」という大きな壁が立ちはだかっています。
 第2部では、この推計が中小企業の労務と財務にどのような影響を与えるかを考察します。

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江崎充豊
専門家

江崎充豊(社会保険労務士)

マネジスタ湘南社労士事務所

現役銀行員としての財務分析力、社労士としての労務知識を融合させ企業を支援。資金調達や事業計画、人事労務体制整備からデジタルツール導入まで、経営者が本業に集中できる環境作りをアシストする。

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