金融経済教育と労務管理の共通点 【第3部】企業が見直すべき労務管理のポイント

こんにちは、マネジスタ湘南社労士事務所です。
「副業・兼業時代の人材戦略」最終部、対策と法改正の動きについてお話します。
はじめに
第2回では、労働時間通算の複雑さと実務上の課題を整理しました。
最終回では、企業が取るべき対策と、2027年法改正の動きについてお伝えします。
管理モデルの仕組みとメリット・デメリット
厚生労働省は、通算計算を簡素化する手法として「管理モデル」を提示しています。
あらかじめ労働時間の上限を設定することで、日々の通算計算を不要とする仕組みです。
管理モデルの仕組み
| 特徴 | 内容 |
|---|---|
| 仕組み | 労働開始前に、自社と副業先のそれぞれで労働時間上限をあらかじめ設定 |
| 運用の利点 | 上限内で働かせる限り、他社の労働時間の日々の把握・管理は不要 |
| 割増賃金計算 | 自社で設定した上限時間に基づいて、自社分の割増賃金を支払い |
管理モデルのメリット、デメリット
| 項目 | メリット | デメリット(留意点) |
|---|---|---|
| 事務負担 | 他社の実労働時間を日々把握・通算は不要 | 労働者を介して副業先と「上限設定」の合意が必要 |
| コンプライアンス | 事前に上限(100時間未満等)を決めるため、超過リスクを押さえやすい | 設定上限を超えると、原則的な複雑な管理に逆戻り |
| 割増賃金の算定 | 自社内だけで計算が完結、コスト予測が容易に | 副業先(後契約)の多くは、自社の全労働時間を「法定外」として合意が必要 |
管理モデルにより管理は簡便となりますが、導入のためには依然ハードルがあります。
企業が取るべき対策
副業・兼業制度の導入に向けた対策を整理します。
1.就業規則の整備:原則容認としつつ、機密漏洩や競業、制限事由を明記
2.賃金制度の整備:優秀な人材確保と従業員の納得感の両面を考えて賃金制度を再設計
3.届出制の徹底: 副業先、業務内容、所定労働時間などを事前に届け出る仕組み作り
4. 対外発信: 自社の副業許容方針をHP等で公表、採用ブランディングに活用
(参考)2027年法改正の方向性
割増賃金の通算については、2027年4月を目処に廃止が検討されています。
実現すれば、「各企業が自社の労働時間のみで割増計算」となり、実務負担は大きく軽減される見込みです。
但し、健康確保措置としての時間管理義務は継続される方向です。
まとめ
副業・兼業に関する法制度は、現時点では大きく変わっていません。
しかし、社会の価値観と人材市場は確実に変化しています。
副業・兼業を認めることは、
・人材不足への対応
・優秀な人材の確保
・企業価値の向上
・社外ネットワークの獲得
といった経営上のメリットにつながる可能性があります。
「法改正が確定してから動く」のではなく、将来の制度変化を見据え、段階的に体制整備を進めることが重要になると思います。
副業・兼業を“リスク”として捉えるのではなく、“人的資本の拡張の機会”としてどう活かすか
今こそ、その検討を始めるタイミングかもしれません。
マネジスタ湘南社労士事務所では人事、労務に関する相談を承ります。
お困りごとがございましたらお気軽にご相談ください。



