シルバー世代の『読み聞かせ』のメリット

篠田啓彦

篠田啓彦

テーマ:コース/授業スタイル

こんにちは。

国語専門オンライン学習塾 啓理学舎の篠田啓彦です。

今回は、「シルバー世代の『読み聞かせ』のメリット」についてお話をさせていただきます。

高齢者に『読み聞かせ』をする利点は、子どもの場合とはまた少し違って、「脳」「心」「人間関係」「人生回想」の四つに大きな効果があることです。


しかも近年は、音読や『読み聞かせ』が高齢者の認知機能維持に役立つことを示す研究もかなり出ています。

特に、声に出して言葉を聞く活動は前頭葉を刺激し、注意力・会話力・意欲の改善が見られたという報告があります。

シルバーコース


⑴ 脳を刺激し、認知機能の低下をゆるやかにする


『読み聞かせ』では高齢者は、
  「耳で聞く」
  「内容を理解する」
  「情景を想像する」
  「登場人物の感情を追う」
  「言葉を記憶する」
という複数の脳活動を同時に行います。

これは単なる「聞き流し」ではなく、注意・記憶・理解・想像の総合運動です。

研究では、『読み聞かせ』は、読書や音読のような知的刺激は高齢期の認知低下を遅らせる可能性が高いとされ、特に、認知症予防・軽度認知障害の維持に有効と考えられます。


⑵ 会話力・言語感覚が保たれる


高齢になると、
  「会話量の減少」
  「語彙想起の低下」
  「人とのやりとりの減少」
が起こりやすくなります。

『読み聞かせ』をすると、
  「この話おもしろいね」

  「昔こういうことがあった」

  「この言葉懐かしい」
と、自然に言葉が出やすくなります。

共有読書グループでは、参加者の発話量・交流・参加意欲が増えたという報告があります。

※「共有読書グループ」とは、一人で黙って読む読書ではなく、複数人が同じ本・あるいは関連する本を読み、その内容や感想、気づきを共有しながら読みを深めていく集まりのこと。

つまり、『読み聞かせ』は、受け身の活動に見えて、実は会話の呼び水になります。


⑶ 孤独感・不安感をやわらげる


高齢者にとって非常に大きいのがこれです。

『読み聞かせ』は単に「本を聞く」ことではなく、誰かの声を聞く時間、誰かと同じ物語を共有する時間になります。

人は年齢を重ねるほど、
  「一人でいる時間」
  「不安」
  「気力の低下」
が増えやすいですが、穏やかな声で物語を聞くことは安心感を生みます。

最近の研究でも、読書習慣は孤独感の緩和やストレス軽減と関係が深いと指摘されています。

「話し相手が来てくれた」という心理的効果が非常に大きいのです。


⑷ 昔の記憶が呼び起こされる(回想効果)


高齢者は新しい記憶より、昔の記憶が鮮明なことが多いです。

昔話、童話、古典、唱歌、昭和の文章などを読むと、
  「幼少期」
  「青春時代」
  「子育て時代」
  「戦後の生活」
などの記憶が自然によみがえります。

これにより
  「そういえば…」

  「昔、母が読んでくれた」

  「この話知っている」
と回想が始まります。

これは、高齢者ケアでいう「回想法」に近く、精神安定・自己肯定感の維持に役立ちます

※回想法とは、高齢者に過去を語ってもらうことで、「私は生きてきた」という実感と誇りを取り戻してもらうケア。


⑸ 感情が動き、表情が明るくなる


高齢者施設では日常が単調になりやすく、
  「無表情」
  「無気力」
  「無関心」
が起こりがちです。

ところが物語には
  「笑い」
  「驚き」
  「共感」
  「涙」
  「懐かしさ」
があります。

つまり、『読み聞かせ』は感情の体操になり、感情が動くと脳も活性化し、生活への反応も増えます


⑹ 聞く力(集中力)が鍛えられる


テレビは映像が流れ続ける受動的刺激ですが、『読み聞かせ』は耳から言葉だけが入るため、「聞いて頭の中で映像化する」必要があります。

これはかなり高度な集中です。

最近の研究でも、『読み聞かせ』は注意の持続や意味把握の改善に役立つと示されています。


⑺ 人との信頼関係が深まる


『読み聞かせ』をする人と高齢者の間に、
  「声のぬくもり」
  「同じ時間を共有する安心」
  「反応を受け止めてもらう喜び」
が生まれます。

『読み聞かせ』は介護者・家族・教師・ボランティアとの関係づくりに非常に有効です。

「ただ話しかける」よりも、一冊の本を間に置くことで自然に心が開くのです。


⑻ 生きる意欲につながる


定期的に読み聞かせがあると、
  「今日は何を読んでくれるのだろう」
 
 「次も聞きたい」
という楽しみができます。

高齢期には「予定」や「待つ楽しみ」が生活の張りになります。

『読み聞かせ』は、静かな娯楽であり、生きるリズムづくりにもなるのです。

高齢者には次のようなものが非常に向いています。
  「昔話」
  「民話」
  「童話」
  「唱歌や詩」
  「名文(声に響きのある文章)」
  「古典」
  「昭和の随筆」
  「ユーモアのある短編」
  「郷土の話」

ポイントは、「難しい内容」より「耳に心地よい文章」です。

高齢者への『読み聞かせ』は、教育というよりも 「尊厳の回復」 に近い面があります。

年を取ると、
  「教えられる」
  「世話される」
  「指示される」
ことが増えます。

しかし、『読み聞かせ』の時間だけは、「一人の人生の先輩として、共に物語を味わう時間」になります。

これが深い癒やしになります。

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篠田啓彦
専門家

篠田啓彦(塾講師)

国語専門オンライン学習塾 啓理学舎

保護者の方にお子さまとの接し方等をアドバイスさせていただくとともに、国語が苦手なお子さまでも特別な学習方法で真の「国語力」が身につき、さらに各教科の成績向上、中学・高校合格へ導いている。

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