「練習させない」関わりが、子どもの可能性を最大限に引き出す。音育コーチが伝える「カラフルさん」への向き合い方

三上緑

三上緑

テーマ:子どもの“やる気”と“関係性”を育てるピアノ指導法|音いろはメソッドコラム

私は、音育コーチとして「音いろはメソッド」を土台に活動しています。
私が向き合っているのは、「カラフルさん」と呼んでいる子どもたちです。

彼らは、少しの苦手さはあっても、周りの環境や関わり方をほんの少し微調整するだけで、他のお子さんよりも素晴らしい力を発揮する可能性を秘めています。
HSC(ひといちばい敏感な子)のように、非常に繊細な感覚を持っていることも少なくありません。

日々、こうした特別な才能を持つお子さんと保護者の方に向き合う中で、よくいただくお悩みがあります。 「練習をさせないと、やっぱり上達しませんよね?」



「やらなければならない」瞬間に、やる気は消える


子どもがピアノに向かわなくなる理由は、能力の欠如ではありません。多くの場合、周囲との**「関わり方のズレ」**にあります。

「宿題だからやりなさい」

「今日は何分弾いたの?」

これらの言葉は、大人の責任感から出るものです。しかし、子どもがそれを「管理されている」「評価されている」と受け取った瞬間、音楽は自由な「探究」ではなく、義務的な「作業」へと変わってしまいます。

特に、感受性が高く、深く考える力を持つ子ほど、この空気の変化に敏感です。やる気がないように見えて、実は「やらされることで、やる意味が見えなくなっている」だけというケースが非常に多いのです。




大切なのは「管理」ではなく「環境を整える」こと



「練習をさせない」と言うと、「放任(ほったらかし)でいいの?」
と不安に思うかもしれません。ですが、私が提案したいのは放任ではなく
「環境を整える」という能動的な関わりです。

例えば、お子さんに本を読ませたいとき。
「毎日〇ページ読みなさい」とノルマを課さなくても、こんな工夫をしませんか?

目につく場所に本を置いておく

「この挿絵、素敵だね」と声をかける

面白そうなシーンを一緒にめくってみる

ピアノもこれと同じです。
「今日はどんな音を見つけたの?」
「この楽譜の絵、どんな感じがする?」

そうやって、レッスンの記憶を一緒に楽しくたどるだけで、
子どもの中に音楽の臨場感が戻ります。
すると、指示を待たずに自分から楽器を鳴らし始める。
これは、子どもが本来持っている自然な反応です。


子どもは「なぜ始めたか」をちゃんと覚えている



子どもがピアノを始めたいと思った動機は、ピュアで力強いものです。

・「あの曲を弾いてみたい」

・「キラキラした音が好き」

・「お友達みたいにかっこよく弾きたい」

ところが、上達を急ぐあまり「基礎が先」
「順番通りに」と、本人の「好き」を後回しにしてしまうと、
内側の火は簡単に消えてしまいます。

私はレッスンでまず、
「ピアノって、どんなイメージで弾きに来たの?」と問いかけます。
本人の原動力(ワクワク)を軸にレッスンを組み立てると、
支援が必要と言われてきた子ほど、驚くほどの集中力を発揮し、
自分から学び始めます。

やる気は、外から注入するものではなく、
本人の中にある熱源を「思い出させてあげる」ものなのです。



まとめ:練習の強制を手放すと、子どもの可能性が動き出す


子どもが伸びやかに育つご家庭には、ある共通した視点があります。

・無理に「させよう」とコントロールしない

・時間や回数で「管理」しすぎない

・その子の見ている世界(興味)を面白がる

「練習させない」という選択は、決して上達を諦めることではありません。
むしろ、子どもが自分で考え、選び、深めていく力を信じて守り抜くという
、一歩進んだ関わり方です。


もし今、「この子の力は、もっと違う形で花開くはずだ」と感じているなら。
必要なのはさらなる努力ではなく、
関わり方の視点を少しだけ変えることかもしれません。


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三上緑
専門家

三上緑(音楽教育家)

一般社団法人カラフルエデュ協会

音楽教育家として「カラフルさん」を肯定。児童心理学と境界線リフレーミングを軸に母・指導者の判断力を整えます。二人の息子を私立小から大学へ導いた経験と音楽指導から子の才能を社会へ繋ぐ未来設計をサポート。

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