子どもの「不安な気持」の早期発見 ピアノの先生に出来ること
子どもたちの成長において最も大切なのは、
彼ら自身が「自分の力を発揮したい」と感じる瞬間です。
この感覚が育まれることが、最終的に力強い学びにつながります。
私たち指導者は、その「きっかけ」を作り、
子どもが自信を持って進んでいけるようサポートする役割を担っています。
これからお話しするのは、そんな指導の軸を確立するための考え方と実践法です。
1. 「自分で決める」力を育てる
音楽のレッスンで、特に大切にしたいのは、
子どもが「自分で決める」機会を持つことです。
例えば、合唱の伴奏を任された中学生がいます。
この生徒は、発表会と合唱が二週間違いで行われるという状況で、
途中定期テストも入り、練習において一度休みも入ります。
お母さんからは、合唱曲、弾きやすい曲を選んでもらうので
欲しいとのリクエストが来ましたが、
私は考えてみました。
「その子自身は、どの曲をどんなふうに弾きたいと思っているのだろう？」
選んだ曲はクラスみんなで決めたもの。
重要なのは、子ども自身がその選択に自ら関与し、
自分がどう参加したいかイメージをさせたことです。
どう？これでやれる！
このプロセスが、彼らにとっての
「自分で決める力」を育む第一歩となります。
これができると、
子どもは次の挑戦にも前向きに取り組むことができるのです。
2. 挑戦する力を引き出す「自信の芽を育む」アプローチ
この生徒のケースを続けますが、
練習を始めた時には思いのほか進展が見られました。
テスト講習会で休んでいた二週間があったにもかかわらず、
発表会の曲の進捗が遅れ気味だったものの、
合唱の伴奏曲はしっかりと弾き込んでいました。
なぜなら、彼には「自分はこうありたい、やればできる」
という自信が自然と芽生えていたからです。
指導者としては、この自信を育むことが何よりも大切です。
小さな頃から成功体験を通じて「できる」と実感させ、
次の課題にも自信を持って取り組めるようサポートします。
大切なのは、失敗を恐れず挑戦し続ける姿勢を
子どもに伝えること。
そしてできた結果のフィードバックが重要。
この「挑戦する力」を伸ばすためには、
まずは小さな成功を重ねることが不可欠です。
3. 子どもの力を最大限に引き出す「聞きだす力」
指導において、私たちが最も注力すべきは
「聞きだす力」だと感じています。
子どもたちは、何かを伝えたいという気持ちを持っていますが、
その気持ちを上手く言葉にできないこともあります。
そんな時、私たち指導者がどれだけ
「聞く力」を持っているかが重要です。
この生徒の場合も、
発表会の曲についてお母さんが最初に
言ったリクエストをきっかけに、
私たちはその子自身の思いを聞き出しました。
実際、どんな曲を弾きたいのか、
どうしてその曲が選びたいのかを理解し、
その気持ちを大切にすることで、
子どもは次第に自信を深めていきました。
「聞きだす力」は、子どもが自分を
表現する手助けをするだけでなく、
指導者がその子の最も強い部分を
引き出すための鍵となります。
この力を発揮することで、
子どもはもっと自分の力を発揮できるようになり、
その結果としてレッスンがより充実したものとなります。
まとめ
子どもが力を最大限に発揮するためには、
「自分で決める力」「挑戦する力」「聞きだす力」を
育むことが必要です。
私たち指導者は、子どもの自信を引き出し、
必要な時にそっとサポートしながら、
彼らが自身の力を信じられるよう導いていきます。
指導の軸を確立し、
子ども一人ひとりの成長を支えていくことこそ、
私たちの役割なのです。
