思春期の入り始め 子育てで心がざわっとする時

三上緑

三上緑

テーマ:個性に合わせた子育てプランニング

心穏やかに子育てを楽しみたいと、誰もが思っているはず。
しかし、時に心がざわつく事がありますね。実は、ピアノ教室で感じる事の一つに4年生あたりの子育てママの表情が厳しくなると感じる時があります。もちろん、全員が‥というわけではありませんが。あるケースから、ママの気持ちの整理、先生の対応の注意について考えたいと思います。






どうしたらカッとせず、子供と冷静に会話ができるのですか?


ピアノ教室に通うお子さんのママから、時々このように言われます。
ここに気をつけて練習したら?
弾いて行った方がいいと思うわよ。
もうすぐ発表会でしょう!頑張らないと。

このような声かけをしてくださるお母様に、感謝していますが、このために険悪なムードになりそのまま教室に来た!という様な事も、しばしば。

玄関で表情が硬いから、なんとなくわかります。
『何かあったのね』

そこから、レッスンが始まるわけでかなり劣勢な状態のスタートになります。


「さあ、始めよう」といっても、バックを待ったままフラフラ歩いたり、一向にピアノに向かわない事も多いです。
そんな時、何を提案しても「やだ」「無理」「無視」となります。ママがいる前でもそのような態度になれば、またまた上乗せして叱られちゃったり。

「どうしたの?」と聞いても、事の確信を話す子は少なく余計にこじれると私は経験上知っています。

ですから、全く関係のない話からスタートします。そこには、先ほどの「態度が最悪」「聞かない」「やらないといったではないか!」という様なことは。なかった事にして。

すると、4年生くらいなら多少先生に対する罪悪感があるらしく、話に乗ってきてくれるのです。次第に胸の支えが取れた頃、腹立たしく思った事についての確信に踏み込んでも、なぜそう感じたのか、心の一端を話してくれるのです。

そこまで来れば、必要なら引っかかっていた問題をクリアにし、せっかくのレッスンの時間なのだから、何か得て帰りませんか?という誘いに応じてくれるでしょう。さほど問題なく、笑顔でレッスンを終了できます。


その一連の流れを黙って見ていたママから、「あんなにひどい態度をとったのに、なぜそんなに冷静な対応が取れるのですか?」と言われるのです。



親の立場で考えると



確かに、客観的になれるのは教室の生徒さんだからという事もあると思います。しかし、ママの葛藤、もう一人の私は同じ気持ちです。私も二人の子育てをしていますので。冷静に考え、伝えることが出来ないと、問題は大きくなるばかりだと経験済みです。感情的になってしまってから、自分をリセットして子供と向き合い反省したことが幾度もありました。

ママと子供は、すごく近い存在です。失敗の後始末は親がする状況が多いですし、将来の事を考えたらこれを見逃したらいけないと、親としての責任感がピリピリとします。

赤ちゃんの時は、ママがいなければ死んでしまう存在だったのに、今の目の前の子は人格を持ったママとは別の生き物なのです。

この「別の人格なのだ」と知らしめられた時、私は感情がふっと穏やかになりました。

・今すぐやって、ほっとした夜を過ごした方が良いと考える人。
・今興味のある事にとことん時間を使い、「あと30分しかない!」と夜爆速で処理した方がパフォーマンスが出る人。
・物を大切に扱い、長く手元に開きたい人
・あっという間に使い倒してしまい、物に執着しない人
・要領よく沢山できる人
・一つずつ丁寧にしたい人

あげたら沢山ありますね。これがよそのお子さんなら、「すごいわね」と言える。でも我が子だと、「普通そうしないでしょ!」と一言言いたくなるわけです。


そこで、ママと子供は別人格。”この方が良い”という価値観はさまざまなのだと考えると心のざわつきが減るのです。


そして、そういった気持ちで見守ると、「ママならどうする?」と子どもから耳を傾けてくれるようになるものです。しかしそれもあくまでママの考えであり、それを聞いてどうするかは子どもの自由なのです。

そうしてみたいから、ママ!力を貸してもらえない?

こんな関係になれればベストですね。





指導者としての対応は



今日のこの時間に来てくれた、その目的はなんだろうと考えると、私はピアノ教室なのでピアノが弾けたらいいねという事なのです。ですから、「先生に対してその態度は何?」というより、ピアノやりますか?やりませんか?という事に近づけていけば良いのです。


子どもの心にズケズケと土足で踏み込んではいけません。知られたくない事だってあるでしょう。ママとの揉め事も、ほんの小さなタイミングのずれだったり、うっすら考えていた事を「ほら!言ったでしょ」とばかりに言われると、素直になれなかったという程度だったり。気分が悪いけれど、その事を説明するほどでもないという場合も多いものです。

なので、気分が良くない今の状態から「何ならやれるのか」という相談をする事がスタートだと思います。

その場の流れで、酷いことを言われて先生が腹立たしいのなら、「先生はあなたの今の言葉で傷ついています」と生徒に言う事にしています。

その様に、その生徒が今どうであれ、お行儀や責任感といった難しい問題はちょっと横に置き、今の気分で出来ることはなんだろうと話し合うスタイルなら、感情が激しく揺れることは少なくなるものです。



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三上緑
専門家

三上緑(音楽教育家)

一般社団法人カラフルエデュ協会

繊細な子どもたちのやる気、才能を引き出す独自のコーチング「音いろはメソッド」「未来プランニング」を伝えている。勉強会や個別相談なども実施し、子どもの導き方支援・理想実現サポートを行う。

三上緑プロは朝日新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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