受け継ぐだけじゃない、広げていくという選択 【継ぐ人のための経営ノート⑧最終回】
政府の2025年補正予算では、中小企業への支援が大幅に拡充されました。成長投資・省力化設備・デジタル化・AI導入…。後継ぎにとっては「動くなら今なのでは?」と感じる場面も増えます。しかし、実は“追い風のいま”こそ、一度立ち止まり、足元を見ることがもっとも大事です。今回はその理由からお話しします。
国は“攻めの中小企業支援”に舵を切った
- 成長加速化補助金
- 設備・省力化投資支援
- デジタル化・AI導入支援
- 賃上げ促進支援
- 事業再構築・承継支援
こうした支援は、
「中小企業にもっと伸びてほしい」
というメッセージにほかなりません。
後継ぎであれば、
「うちもそろそろ動かないと遅れてしまう」
という焦りが出るのも当然です。
焦って動くほど、実は失敗のリスクが高まる
補助金やDX支援の情報が増えると、
「システムを変えよう」「新しい仕組みを取り入れよう」
という気持ちが自然に出てきます。
しかし、家族経営の現場は
“人の感覚と経験でつながっている”ため、
大きな変化が起きると混乱しやすい特徴があります。
たとえば、
- 口頭指示
- 手書きメモ
- ベテランの段取り
- 家族同士の暗黙の分担
- 月末の“気合いで乗り切る”文化
これらの上に会社が成り立っています。
この状態で新システムを導入すると、
- 段取りが崩れる
- 情報の渡し方が変わり混乱
- 操作の“自己流”が増える
- 結果、紙やExcelに戻る
ということが起きやすくなります。
だからこそ「変える前に、見つめなおす」ことが必要
補助金が増えた“いま”こそ、
あわてて変えるのではなく、
現場がどんな流れで動いているかを知ることが重要です。
次回は、
「なぜ家族経営はDXが難しいのか?」
現場特有の構造を深堀りしていきます。



