小さな会社の“M&Aリテラシー”──情報の読み方を変えよう

平岡誠司

平岡誠司

テーマ:経営のモヤモヤをワクワクに(しごと編)

「M&A」と聞くと、どこか遠い世界の話に聞こえるかもしれません。けれども実際のところ、いま多くの小さな会社が、“売る・買う”以前に「自分の会社をどう見せるか」「何を整えるか」で迷っています。この迷いを解くカギは、"数字を“読む力”にあります。今日は、M&Aを特別な出来事ではなく、“日々の経営の延長線”として考えるためのお話です。

「数字」は経営者の言葉そのもの


売上、粗利、在庫、借入残高――数字は冷たい記号ではなく、社長がこれまで積み重ねてきた“行動の記録”です。だから、数字を読むことは自分を見つめること。そして、買い手や後継者にとっては「あなたの会社を理解する唯一の言語」になります。つまり、M&Aの準備とは“資料を作ること”ではなく、“自分の経営を語れる状態にすること”なのです。

「数字を読む」と“希望”が見えてくる


毎月の試算表を開くと、落ち込むこともあるでしょう。しかし、そこに書かれた赤字の裏には「改善の芽」が必ずあります。たとえば、在庫が多いなら「売れる商品とそうでない商品を区別する」チャンス。粗利が下がっているなら「値上げか仕入れの見直し」を考えるきっかけ。数字を“結果”ではなく“会話の入口”として見ると、そこから経営が動き始めます。

「整える」と、会社が語り出す


数字を読み始めると、会社の声が聞こえてきます。
「この商品は本当はもっと評価されたい」
「この取引先との関係を見直してほしい」

そんな“数字の声”を拾い上げるのが、再生や事業承継の第一歩です。私はそのプロセスをビジネスストレングスコーチング(BSC)で体系化しています。経営者と一緒に試算表・資金繰り・在庫を毎月モニタリングし、“どの数字に力を入れるべきか”を一緒に考える。会社を整えるとは、数字を通して会社と対話することなのです。

M&Aリテラシーとは、“選択肢を恐れない力”


M&Aを“誰かに決められる出来事”だと感じる経営者は多いものです。けれども本来、M&Aは「選択肢の一つ」であって、整った会社は“自分で選べる”立場に立てます。数字を読む力をつけることは、経営の主導権を取り戻すこと。それが“リテラシー”の本当の意味だと思います。

まとめ


数字を読むことは、経営を前に進める力になります。そしてその力があれば、M&Aも事業承継も、「怖い話」ではなく「次に進むための道」として見えてきます。平岡商店では、毎月の試算表や資金繰りを使いながら、経営者が自分の会社を“語れる状態”に整えるお手伝いをしています。
M&Aの資料づくりの前に、「数字を読む練習」から始めてみませんか。

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Mybestpro Members

平岡誠司
専門家

平岡誠司(小規模事業者向け経営支援家)

株式会社平岡商店

経営者の実践経験を活かし、経理の見える化・日繰り・在庫管理を軸に、家族経営の経営管理の仕組みづくりを実行支援します。現場の気づきを経営判断につなげ、“らしさ”をいかした経営を一緒に育てていきます。

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