伝統建築が作られなくなった理由-建築基準法の基はアメリカの法律
こんにちは、谷野設計 谷野です。
先日、高松市のサンメッセでナイスタウン出版社のイエプロ主催のイベント
「マイホームフェア」に参加した時の事です。
多くの設計事務所やハウスメーカーと共に、出展しました。
弊社は、「築40年以上の古民家再生・改修 専門店」として出展しました。
沢山のご相談者の中で、「どこで相談しても、建て替えを薦められる。」と仰る方の多かったのが印象的です。
建物をなんとか残したいという方からすれば、残酷ですね。
では、なぜ古民家を解体して、新築する方を勧められるのか?
前回のコラムで書いた法律上の問題に加え、職人さんの技術力の低下?にあると思います。
長年の経験的にお話しすると。
親方棟梁の元で修行して技術を含め様々な事を覚えて一人前となり独立が許され、棟梁と見なされました。
それにより、地域に根差した特色ある建物を建てる技術が伝えられていました。
しかし、高度成長期の建設ラッシュや機械化による木材加工技術の発展また、各種建材の充実により、今では組み立てる「工法」の工事が主となりました。
最近では、工場で作ったものを現場で組み立てるだけ、という会社もありますね。
ただそれがため、以前のような技術力を持たなくても、家が建てられるようになりました。
この過程が、悪い事とは思いませんので、誤解はしないでください。
必然的に時代の流れにより、技術は進化するものですからね。
建築では、墨付け(柱や梁の手加工のためにする墨で行う線引)が、若い大工さんの中で出来なくなりました。
今はその墨付けから木材加工まで、プレカット工場で機械で行います。
ただ、それでも全て出来るわけでなく、古民家などに使われるような丸太材は別途大工棟梁が行うようですから、人の技術には敵わないという事でしょうか。
古民家の再生やリフォームは、「構法」ですから伝承された知識や技術が必要になりますので、棟梁始め各職人さんたちは、それなりの技量が求められます。
それがために、古民家などの古い木造の構造に詳しく、専門の知識がないと建替えが難しいため、現存の家を解体して新築する方法を勧める会社が多い現状があります。
これまで受け継いできた大切な家を、建築会社の都合で解体してしまうのは、嘆かわしいことです。
住まう方が大切に受け継ぎ、次世代にも残していけるようお手伝いするのが私の仕事だと思っています。
そして、同じ思いを持った職人さんたちと一緒に工事ができるのは、設計士として非常に楽しいです。
次回は、木材について書いてみます。
「築40年以上の古民家再生、リフォーム専門店」
有限会社 谷野設計
担当者:谷野 行範(タニノ ユキノリ)
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