耐久性が高い家づくり~構造・間取り・気候がポイント
人体・動物への害が恐い農薬系
前項で、シロアリ対策の重要性について記述しました。
今回は、薬剤処理(防蟻剤)について詳しく説明します。
防蟻剤と一言でいっても、その種類は薬剤の種類によって沢山あります。
一般的に使用されている、農薬系と分類されているものは、
ピレスロイド系、ネオニコチノイド等の農薬成分です。
アレスリン、イミダクロプリド、シプロコナゾール、フェニルビラゾールなどが含まれます。
これらの作用は、神経毒性作用(揮発・蒸発した薬剤がシロアリの神経を破壊し、死に至る。)です。
強い殺虫効果がある為、農薬として使用されてきましたが、人間・動物に対しての害があります。
毒性の強いクロルデン、クロルピリホス等の使用は禁止されましたが、未だに人体に対する毒性がなくなったわけではありません。
デメリットとしては
①シックハウス症候群の恐れ
②分解・揮発するため、効果が短い(最長5年間)
③床下の空気を室内に循環させる工法では、毒性のため使用できません。
人体・動物にも安心はホウ素系防蟻剤の特徴
ホウ素系とは、ホウ酸、ほう砂、DOTが主成分の防蟻剤です。
作用は食毒性(シロアリが食べたり、舐めたりすると死に至る。)です。
ここで、注目したいのが、人間や動物が食べたり、舐めても安心なことです。
何故かというと、ホウ素は、腎臓の浄化作用で短期間に排せつされます。
ほ乳類にとっての急性毒性は食塩と同程度。 身近な所ではコンタクトの保存液や目薬などにもホウ酸が配合されていたり、
キャビアの防腐剤としても用いられたりしています。
シロアリなどの昆虫は腎臓を持たないため、細胞レベルでエネルギー代謝できなくなって餓死することが分かっています。
特徴としては
①揮発・蒸発しないため、部屋の空気を汚さず、作業者にも安全
②効果が半永久的に持続
③塗布面から木部内部に浸透するため、表面をかじられたり舐められても、性能が持続。
(かじったシロアリは死にます)
注意点は、水に溶解するため、大量の水に接すると、徐々に溶脱すること。
設計段階・施工段階で、きちんと水への対策しておくことが重要です。
世界水準から遅れた日本の防蟻剤
農薬メーカーが防蟻業界の主導権を握ってきた日本では、ホウ素系の認知が進んでいません。
しかし、欧米諸国では、土台や柱など、通常雨が当たらない部位は、ホウ素系が一般的に使用されています。
外壁の壁内部など、再施工できない箇所は、新築時に分解されない無機物で処理するべきです。
家族が長く健康で安心に暮らせる家、防蟻剤から見直してみませんか?