【屋根屋の本音】屋根カバー工法で後悔しないために。盛岡の屋根専門店が、よく聞かれる不安に全部答えます

こんにちは。盛岡市で屋根工事を専門にしている瀧澤屋根工業です。
8月に「その屋根、あと何回塗りますか?」というコラムを書きました。
3回塗り続けるか、1回の工事で30年先まで見すえるか、という話です。
あのコラムのあと、こんなご相談が増えました。
「カバー工法にしようと思う。でも、どこに頼んでも同じなんですか?」
同じではありません。
カバー工法は、工事が終わると、仕事のほとんどが新しい屋根材の下に隠れてしまう工事です。だからこそ、見えなくなる部分で差が出ます。
今回は、カバー工法の工事を順番に追いかけながら、
- それぞれの工程で、屋根屋が何をしているのか
- どこで仕上がりに差が出るのか
- お客様の側で、どうやって確かめればいいのか
まず結論から書きます
- カバー工法の出来は、完成後に見えなくなる「下地・防水シート・板金の納まり」で決まります
- 雨漏りが起きやすいのは、屋根の真ん中ではなく、軒先・壁際・谷・棟などの「端と継ぎ目」です
- 見積書に材料の名前が書いてあるか、工事中の写真をもらえるかで、かなりのことが分かります
- 盛岡・岩手では、雪止めと軒先の納まりまで計画に入れておくことが大切です
カバー工法を、もう一度おさらい
カバー工法は、今の屋根を剥がさずに、その上から防水シートと新しい屋根材をかぶせる工事です。
- 剥がさないので、工期が短い(一般的な住宅で1週間前後が目安です)
- 古い屋根材の撤去・処分がほとんどいらないので、費用とごみが減る
- 住みながら工事ができて、音やほこりも少ない
カバー工法の仕組みや、できない屋根、よく聞かれる不安については、9月のコラム「屋根カバー工法で後悔しないために。盛岡の屋根専門店が、よく聞かれる不安に全部答えます」で詳しく書きました。
今回は、その先の「工事の中身」の話です。
工程ごとに、差が出るところ
1. 現地調査:屋根に上がって、踏んで確かめる
カバー工法は、今の屋根を土台にする工事です。土台の野地板(屋根材の下の板)が腐っていたら、上に何をかぶせても長持ちしません。
ここは、ドローンや写真だけでは分かりません。
私は屋根に上がって、歩いて、ぶかぶか沈むところがないかを足で確かめます。
もうひとつ、今は法律で決まっている手順があります。
- 屋根の改修工事では、石綿(アスベスト)が含まれているかの事前調査が必要です
- 2023年10月からは、講習を修了した人が調査することが義務になりました
- 請負金額が100万円以上(税込)の改修工事は、調査結果を労働基準監督署などに報告する必要があります
※出典:厚生労働省「石綿総合情報ポータルサイト」
コロニアル屋根のアスベストについては、10月のコラム「コロニアル屋根のアスベスト、『入っている・いない』は製造年でわかります」にまとめました。
2. 棟板金・古い雪止めを外して、下地を見る
カバー工法でも、屋根のてっぺんの棟板金や、古い雪止めは外します。
外したところで、棟の下の木(貫板)が腐っていないか、釘が浮いていないかを確認します。
ここを見ずに上からかぶせると、傷んだ木が中に閉じ込められたままになります。
3. 防水シート(ルーフィング):いちばん大事で、いちばん見えなくなるところ
雨を最後に止めているのは、屋根材ではなく、その下の防水シートです。
カバー工法は、この防水シートを新しく一枚足す工事でもあります。
差が出るのは、
- どの品番の防水シートを使うか(当社は、ゴムなどを混ぜて耐久性を高めた「改質アスファルトルーフィング」を使っています)
- シート同士の重ね幅が足りているか
- 壁際や棟で、シートを立ち上げているか
4. 軒先・ケラバの水切り:雪国では、ここが雨漏りの入口になる
軒先(屋根のいちばん下の端)とケラバ(屋根の横の端)には、水を切る板金を付けます。
盛岡で特に気をつけているのが、軒先です。
冬は、屋根の雪が解けた水が軒先で凍り、氷の土手ができます。せき止められた水が屋根の内側に回り込むのが「すが漏れ」です。
軒先の板金の納め方と、防水シートの重ね方で、すが漏れの起きやすさが変わります。
雨どいとの位置関係も、このときに合わせておきます。
5. 本体の屋根材:勾配に合った材料を、正しく留める
屋根材は、屋根の勾配(傾き)に合ったものを選ぶのが大前提です。
勾配がゆるい屋根に、ゆるい勾配に対応していない材料を使うと、雨水がうまく流れません。
留め付けも大事です。メーカーが決めている位置と本数で、下地にしっかり効かせて留めているか。ここが甘いと、強い風の日に屋根材が飛ばされる原因になります。
6. 壁際・谷・天窓まわり:雨漏りの多くは「継ぎ目」から
屋根の雨漏りで、私が何度も現場で見てきたのは、屋根の真ん中ではなく、継ぎ目からの雨漏りです。
- 2階の壁と1階の屋根がぶつかる「壁際」
- 屋根と屋根が谷のように合わさる「谷」
- 天窓や煙突のまわり
ここは、既製品の板金だけでは納まらないことが多く、現場で板金を加工して納めます。職人の腕がいちばん出るところです。
7. 棟と換気
最後に棟板金を付け直します。
棟の下の木(貫板)には、腐りにくい樹脂製の材料もあります。屋根裏の湿気を逃がす「棟換気」を付けるかどうかも、このときに決めます。
8. 雪止め:盛岡では、工事の計画に最初から入れる
金属屋根は表面がなめらかで、雪が滑りやすい屋根です。
カバー工法で屋根が新しくなると、それまでより雪が落ちやすくなることがあります。
雪止めは、屋根材を葺きながら取り付けるのがいちばんきれいに納まります。あとから付けるより、最初から計画に入れておくのがおすすめです。
雪止めの考え方は、10月のコラム「雪止めが付いているのに、雪が落ちる家があります」に書きました。
現場で見てきた実例
うちのホームページの施工事例から、見えなくなる部分を3つ紹介します。
盛岡市・トタン屋根にガルバリウム鋼板の横葺き(2024年2月)
- 防水シートは、標準仕様の田島ルーフィング「PカラーEX」(改質アスファルトルーフィング)
- シートの重ねは縦100mm・横200mm、雨水が集まる谷は3層張り
- 軒先とケラバの木(一寸角)が傷んでいたので交換。屋根が風で剥がれるときは、たいていこの端からです
- 本体は太くて頭の大きいビス(4.2×50mm)で留め、屋根本体の工事は4日でした
上の防水シートの写真は、この現場のものです。
盛岡市・コロニアルにオークリッジ(2023年3月)
- 寄棟の屋根で、面積は約128㎡。新しい屋根材の重さは全部で約1.7トンでした。瓦屋根なら約6トンになるので、かなり軽く済みます
- 屋根材1枚につき釘4本。古いコロニアルを貫通しきれなかった釘の跡には、専用のセメントを塗っています
- 1階の壁際には雨押えの板金を付けて、雨が入らないように納めました
矢巾町・コロニアルにタフロン30(2026年4月)
- 防水シートは、寒さで硬くなりにくいタジマ「ライナールーフラムダ」
- 屋根材は、錆に強いステンレスビス(45mm)で、下地まで一発で効かせて留めています
- 雪止めと雨どいも、同時に新しくしました
どれも、完成した屋根を見ただけでは分からない部分です。
お客様の側で、確かめられること
見えなくなる部分を、お客様が屋根に上がって確かめるのは危険です。
そのかわり、次の2つで、かなりのことが分かります。
見積書に、材料の名前が書いてあるか
「屋根カバー工事 一式」だけの見積書では、何を使うのか分かりません。
- 屋根材の商品名
- 防水シート(ルーフィング)の商品名
- 軒先・ケラバ・壁際・谷・棟の板金(役物)
- 棟換気・雪止めの有無と数
- 足場、石綿の事前調査
このあたりが項目ごとに書いてあれば、比べることができます。
工事中の写真を、工程ごとにもらえるか
「防水シートを張ったところ」「壁際の板金を納めたところ」など、隠れる前の写真を残してもらえるか、契約の前に聞いてみてください。
当社のホームページの施工事例でも、防水シートを張ったところなど、工事の途中の写真をそのまま載せています。
もうひとつ、確認申請の話
2025年4月から、建築基準法の見直しで、木造2階建てなどの大規模なリフォームに確認申請が必要になりました。
国土交通省の通知では、「大規模の修繕・模様替」に当たらない屋根の改修は、確認申請は不要とされています。一般的なカバー工法は、これに当たらないことがほとんどです。
ただし、改修後の建物が構造的に安全であることが明らかでない場合は、壁量計算などで確かめる必要があるとも書かれています。
※出典:国土交通省住宅局建築指導課長「屋根及び外壁の改修に係る設計・施工上の留意事項について」(国住指第356号、令和6年2月8日)
下地を大きく取り替える工事になる場合は、確認申請が必要になることもあります。現地調査のときに、あわせてご説明します。
まとめ
- カバー工法は、完成すると仕事のほとんどが見えなくなる工事
- 差が出るのは、下地の確認・防水シート・軒先や壁際の板金・雪止めの計画
- 雨漏りの多くは、屋根の「端と継ぎ目」から起きる
- 見積書の材料名と、工程ごとの写真で、お客様の側でも確かめられる
- 石綿の事前調査は、どの改修工事でも法律で必要
同じ「カバー工法」という名前でも、中身は業者によって違います。
気になる見積書をお持ちの方は、そのままお見せいただければ、どこを見ればいいかをお伝えします。
当社では現地調査・ご相談は無料で対応しております。気になることがありましたら、お気軽にご相談ください。
瀧澤屋根工業 代表のタキサワでした。
参考資料
- 厚生労働省「石綿総合情報ポータルサイト」 https://www.ishiwata.mhlw.go.jp/
- 国土交通省「屋根及び外壁の改修に係る設計・施工上の留意事項について」(国住指第356号) https://www.mlit.go.jp/common/001723279.pdf
- 国土交通省「2025年4月から、大規模なリフォームの建築確認手続きが変わります」 https://www.mlit.go.jp/common/001765901.pdf




