【屋根屋の本音】雪止めが付いているのに、雪が落ちる家があります。初雪の前に確認したい4つのこと
こんにちは。盛岡市で屋根工事を専門にしている瀧澤屋根工業です。
10月も下旬に入り、朝晩がぐっと冷えてきました。
盛岡の初雪は、平年で11月9日ごろ。あと3週間ほどで、雪のシーズンが始まります。
今回は、屋根に積もる「雪の重さ」の話です。
- 雪は、種類によってどれくらい重さが違うのか
- 30坪の家の屋根には、何トンの雪が載るのか
- その重さが、屋根や家のまわりに何を起こすのか
- 雪が降る前にやっておきたいこと
を、気象庁・消防庁・国土交通省などの公的な資料をもとに整理します。
目次
まず結論から書きます
- 屋根100㎡に雪が10cm積もると、約2トン。軽自動車2台分です
- 盛岡の平年の最深積雪は36cm。屋根の上には約7トンの雪が載る計算になります
- 同じ深さでも、締まった雪や春先の雪は、新雪の何倍も重くなります
- 重い雪が屋根から一気に落ちると、カーポートや隣の家、人に被害が出ます
- 雪止めの取り付けは、屋根に雪が積もる前しかできません
順番に説明します。
雪の重さは「雪の種類」で大きく変わります
雪は、降ったばかりのときがいちばん軽く、日がたつほど重くなります。
自分の重さで締まって、すき間がなくなっていくからです。春先になると、水を含んでさらに重くなります。
1㎥(1m×1m×1m)あたりの重さは、おおよそ次のとおりです。
| 雪の種類 | 1㎥あたりの重さ | 30cm積もった場合(1㎡あたり) |
|---|---|---|
| 新雪(降って3〜4日ほど) | 30〜150kg | 9〜45kg |
| しまり雪(自分の重さで締まった雪) | 150〜500kg | 45〜150kg |
| ざらめ雪(春先の水を含んだ雪) | 300〜500kg | 90〜150kg |
※出典:新潟県「空き家の屋根雪管理に心掛けましょう」(内閣府「雪国におけるバリアフリー対策の推進による安全で快適な都市生活の実現に関するモデル調査」より)
同じ30cmでも、新雪とざらめ雪では、重さが最大で10倍ほど違います。
「見た目は同じくらいの雪なのに、なぜか重い」というのは、この違いです。
建築基準法では「1cmで1㎡あたり約2kg」
建物を設計するときに使う雪の重さの目安が、建築基準法(施行令第86条)で決められています。
- 積雪1cmごとに、1㎡あたり20ニュートン(約2kg)以上
これを屋根100㎡に当てはめると、
- 積雪10cm → 約2トン
- 積雪36cm(盛岡の平年の最深積雪)→ 約7トン
- 積雪76cm(2005年12月の盛岡)→ 約16トン
になります。
2005年12月は、盛岡でも雪の多い冬でした。このときは屋根の上に、軽自動車16台分の雪が載っていたことになります。
※盛岡の積雪の数値:気象庁「過去の気象データ」盛岡(平年値1991〜2020年、2005年12月の月最深積雪)
30坪の家に、新雪が50cm積もったら?
よく聞かれるので、計算してみます。
30坪の家の屋根を、真上から見た面積で約100㎡とします。
- 雪の量:100㎡ × 0.5m = 50㎥
- 新雪(30〜150kg/㎥)なら → 約1.5〜7.5トン
- 建築基準法の目安(1cmあたり約2kg/㎡)なら → 約10トン
軽自動車が、およそ10台載っている計算です。
しかも新雪は、降り積もるうちに締まって重くなっていきます。「まだ新雪だから軽い」とは言えません。
その重さが、屋根に起こすこと
重い雪は、屋根そのものにも負担をかけます。現場でよく見るのは、次のような傷みです。
- 雪止め・雨どいの変形:ずり落ちようとする雪の力で、金具や雨どいが曲がります
- 野地板(屋根材の下の板)のたわみ:下地が沈んで、屋根材の割れやズレにつながります
- すが漏れ(雨漏り):解けた水が軒先の氷にせき止められて、屋根の内側に回り込みます
- 最悪の場合は倒壊:古い建物や傷んだ屋根は、想定より少ない雪で耐えられなくなることがあります
春になって雪が消えてから、「雨どいが外れていた」「軒先が下がっていた」と気づくお宅も少なくありません。
屋根から落ちる雪は、もっと怖い
屋根に載っている雪が怖いのは、重さだけではありません。
その重い雪が、一気に滑り落ちることです。
金属屋根は表面がつるつるしているので、雪が滑りやすい屋根です。
晴れて暖かい日には、屋根の上の雪がまとめて落ちてきます。
実際に、次のような被害を何度も見てきました。
- カーポートの屋根が割れた、骨組みが曲がった
- エアコンの室外機や給湯器がつぶれた
- 隣の家の敷地やフェンス、車に雪が落ちた
- 玄関前に雪の塊が落ちて、通れなくなった
落雪で他人にケガをさせたり、物を壊したりすると、建物の持ち主が損害賠償を求められることもあります(民法第717条)。
ご近所との関係にも関わるので、毎年気をもんでいる方も多いと思います。
人への被害も出ています。消防庁によると、令和6年11月〜令和7年4月の雪による全国の死者は68人。そのうち13人は落雪による事故でした。
「屋根の雪下ろし等、除雪作業中」の死者は51人で、そのうち44人が65歳以上の方です。
※出典:消防庁『令和7年版 消防白書』、消防庁「今冬の雪による被害状況等(令和6年11月1日〜令和7年4月30日)」
国土交通省の「雪下ろし安全10箇条」でも、死亡事故の約8割は65歳以上の方で、事故の原因で最も多いのは屋根からの転落とされています。
雪止めで落雪を防ぐことは、雪下ろしで屋根に上がる回数を減らすことにもつながります。
雪止めは「雪が降る前」しか付けられません
ここが、いちばんお伝えしたいことです。
屋根に雪が積もってしまうと、雪止めは取り付けできません。
雪止めは、屋根材に金具を固定して取り付けます。雪が積もった屋根では、固定する位置が見えません。足元も滑るので、安全に作業ができないからです。
なので、私はこうお伝えしています。
- 今シーズンの落雪対策は、10月中旬〜11月初旬のご相談が安心です
- 工事は、多くの場合1日で終わります
- 雪止めが付いているお宅も、金具の曲がり・外れ・数が足りているかを、雪の前に一度確認しておくと安心です
雪止めが付いているのに雪が落ちるお宅の話は、前回のコラム「雪止めが付いているのに、雪が落ちる家があります。初雪の前に確認したい4つのこと」で詳しく書きました。気になる方は読んでみてください。
まとめ
- 雪の重さは種類で変わる。新雪は1㎥あたり30〜150kg、ざらめ雪は300〜500kg
- 建築基準法の目安は、積雪1cmごとに1㎡あたり約2kg
- 屋根100㎡なら、盛岡の平年の最深積雪36cmで約7トン、30坪の家に50cm積もれば約10トン
- 重い雪は、雨どい・雪止めの変形、すが漏れ、最悪は倒壊につながる
- 屋根から一気に落ちる雪は、カーポートや隣家、人への被害につながる
- 雪止めは、雪が降る前しか取り付けできない
盛岡の初雪まで、あと3週間ほどです。
安全のために、雪が降る前に、雪止めの取り付けや点検を早めにご検討ください。
「うちの屋根に雪止めが必要か分からない」という方は、屋根の写真を送っていただくだけでも、だいたいの見当はおつけできます。
当社では現地調査・ご相談は無料で対応しております。気になることがありましたら、お気軽にご相談ください。
瀧澤屋根工業 代表のタキサワでした。
参考資料
- 気象庁「過去の気象データ」盛岡(平年値 1991〜2020年)
- 新潟県「空き家の屋根雪管理に心掛けましょう」 https://www.pref.niigata.lg.jp/uploaded/attachment/48620.pdf
- 消防庁『令和7年版 消防白書』 https://www.fdma.go.jp/publication/hakusho/r7/chapter1/section8/para2/69347.html
- 国土交通省「雪下ろし安全10箇条」 https://www.mlit.go.jp/kokudoseisaku/chisei/kokudoseisaku_chisei_tk_000139.html
- 建築基準法施行令 第86条(積雪荷重)


