【屋根屋の本音】屋根カバー工法で後悔しないために。盛岡の屋根専門店が、よく聞かれる不安に全部答えます

こんにちは。盛岡市で屋根工事を専門にしている瀧澤屋根工業です。
10月も終わりに近づき、岩手山の頂上が白くなってきました。盛岡の初雪は平年で11月9日ごろ。この時期は「冬の前に屋根を見てほしい」というご相談が一気に増えます。
その中で、ここ数年とくに目立つのが、築30〜40年、昭和の終わりから平成のはじめ(1986〜1996年ごろ)に建てられたハウスメーカーの家の、コロニアル屋根のご相談です。セキスイハウス、ダイワハウス、ミサワホーム。私の実感では、この3社の家からのご相談がとても多いのです。
そこで今回から3回にわけて、「コロニアル屋根の劣化によるカバー工法」をシリーズで書いていきます。第1回はセキスイハウスの家。築30〜40年のコロニアル屋根に、なぜ塗装ではなくカバー工法をおすすめすることが多いのか、その理由をまとめます。
最初にひとつ、はっきりさせておきます。メーカーの家が悪いという話ではありません。当時は多くの住宅で化粧スレート(コロニアル)が標準的に使われていました。その屋根が、30〜40年たって同じ時期に寿命を迎えている。それだけのことです。
先に結論から書きます
- 築30〜40年のスレートは、形が残っていても、下のルーフィング(屋根材の下に敷く防水シート)が寿命を迎えていることが多い
- 塗装はスレートの表面をきれいにする工事で、ルーフィングには触れない
- 2004年ごろまでのスレートは石綿(アスベスト)を含むものが多く、剥がすより「かぶせる」ほうが理にかなう場合がある
- だから、この年代の屋根には塗装よりカバー工法をおすすめすることが多い
- ただし、野地板(屋根の下地の板)が傷んでいればカバーはできず、葺き替えになる
「必ずカバー工法」とは言いません。屋根に上がって確かめたうえで、どれが合うかを決めます。
なぜ塗装では解決しないのか(仕組み)
雨を止めているのはスレートではありません
意外に思われるかもしれませんが、屋根で雨を最後に止めているのは、表に見えているスレートではありません。その下に敷いてあるルーフィングです。
スレートは2〜3枚が重なるように葺かれています。だから1枚割れても、すぐには雨漏りになりません。すき間から入った雨水を、ルーフィングが受け止めて軒先へ流している。これが屋根の本当の仕組みです。
ルーフィングには寿命があります
ルーフィングの寿命は、一般に20〜30年といわれます。築30〜40年の家で、新築時のルーフィングがそのまま残っていれば、すでに寿命を過ぎている計算です。
スレートを少しめくると、ルーフィングが硬くなってひび割れていたり、釘穴のまわりが破れていたりします。表のスレートはまだ形を保っているのに、下は傷みきっている。この年代の屋根では、何度も現場で見てきた光景です。
塗装はルーフィングに触れない
塗装は、スレートの表面に塗膜をつくる工事です。色が戻り、表面の防水性も一時的に上がります。ただ、その下のルーフィングには一切触れません。
その結果起きるのが「きれいな屋根から雨が漏る」という状態です。塗装して数年で雨漏りのご相談をいただくことがあります。原因をたどると、寿命を迎えたルーフィングだった。そういうことが少なくありません。
塗ったほうがいい屋根は確かにあります。築年数が浅く、ルーフィングがまだ元気で、スレート自体も塗装に向く製品なら、塗装は良い選択です。ただ、築30〜40年の屋根では、塗装だけでは根本の問題が残ることが多いのです。
石綿入りのスレートは「剥がさない」選択が向く
2004年ごろまでに作られた化粧スレートには、石綿を含むものが多くありました。含まれているかどうかは製造年と製品で判断します。改修工事の前には、石綿の事前調査が法律で義務づけられています。
石綿入りの古いスレートは、割れにくく比較的丈夫です。一方で、撤去するとなると飛散防止の手間と処分が必要になります。
カバー工法は、既存のスレートを剥がさず、その上に新しいルーフィングと軽い金属屋根材(ガルバリウム鋼板など)をかぶせる工事です。石綿を含むスレートを壊さずに、屋根の防水を新しくできる。これが、この年代の屋根にカバー工法が向く大きな理由のひとつです。
石綿と製造年の関係は、以前のコラム『コロニアル屋根のアスベスト、製造年でわかる』で詳しく書きました。
岩手・盛岡ならではの事情
盛岡や滝沢、矢巾あたりの屋根は、冬に厳しい条件にさらされます。
- 凍結と融解の繰り返し(凍害)で、塗膜はカタログの年数より早く傷みやすい
- 塗装ができるのは気温5℃を超え、湿度85%未満のとき。盛岡では実質4月下旬〜10月
- 軒先にできた氷が水をせき止め、屋根の内側に回す「すが漏れ」が起きやすい
- 屋根に雪が載っている期間が長く、ルーフィングの傷みが雨漏りに直結しやすい
すが漏れは、屋根の納まりと断熱の問題なので、塗装では直りません。カバー工法なら、新しいルーフィングを敷くときに軒先まわりの防水を見直せます。雪止めの付け直しも同時にできます。
岩手で屋根を長持ちさせるには、表面より「下」をどうするかが大事だと思っています。
現場でよくあるケース
当社によくご相談いただく、典型的なパターンをいくつか紹介します。
ケース1:築30年代・コロニアル屋根
「色あせてきたので塗装を」というご相談でした。屋根に上がると、スレートの割れは数枚だけ。ところが一部をめくると、ルーフィングが硬化して破れ、野地板にうっすらシミが出始めていました。事前調査で石綿の含有も確認。お客様と相談し、カバー工法を選ばれました。住みながら、1週間ほどの工事でした。
ケース2:築30年代・コロニアル屋根
10年ほど前に一度塗装をされた屋根です。2階の天井にシミが出て、ご相談をいただきました。塗膜はまだきれいでしたが、棟の下と谷まわりのルーフィングが傷み、雨水が回っていました。野地板の傷みは一部にとどまっていたので、その部分を補修してからカバー工法で仕上げています。
ケース3:築30年代・コロニアル屋根
こちらは調べた結果、カバー工法をお断りしたケースです。雨漏りが長く続いていたようで、野地板が広い範囲でたわんでいました。この状態で上からかぶせても、下地が持ちません。石綿の対策をとったうえで、葺き替えをご提案しました。カバー工法は万能ではありません。
よくある質問
Q. 見た目はまだきれいです。それでもカバー工法が必要ですか?
見た目だけでは判断できません。大事なのはルーフィングと野地板の状態です。屋根に上がって確かめてから、塗装・カバー・葺き替えのどれが合うかをお伝えします。
Q. 屋根が二重になって、重くなりませんか?
重さは少し増えます。ただ、かぶせるのは軽い金属屋根材なので、影響は小さいのが一般的です。気になる場合は、建物の図面も見ながらご説明します。
Q. 工事中は家にいられますか?
はい。既存の屋根を剥がさないので、住みながら工事ができます。一般的な住宅で1週間前後が目安です。
Q. 点検で塗装をすすめられました。どう考えればいいですか?
その屋根の状態によります。塗装が合う屋根もあります。ルーフィングの状態まで見たうえでの判断を、セカンドオピニオンとしてお伝えすることはできます。どれを選ぶかは、お客様が決めることです。
ここだけは気をつけてほしいこと
- 屋根に上がらず、地上や写真だけで「カバーで大丈夫」と決める業者には注意
- 石綿の事前調査をきちんと行うか確認する(2023年10月からは有資格者による調査が必要)
- 野地板の傷みを確かめずにかぶせると、数年後に下から傷んでくることがある
- メーカーの保証や点検制度に入っている場合は、他社で工事をしたときの扱いを先にメーカーへ確認しておく
- 冬に入ると屋根工事は天候に左右される。急ぎでなければ、調査だけ先に済ませておくのも手
当社はドローンだけに頼らず、職人が屋根に上がって目と手で確かめます。瓦も板金も扱う屋根工事の専門店なので、塗装・カバー・葺き替えのどれかに偏らずにお話しできます。
まとめ
- 築30〜40年のコロニアル屋根は、ルーフィングが寿命を迎えていることが多い
- 塗装は表面の工事で、ルーフィングの問題は解決しない
- 2004年ごろまでの石綿入りスレートは、剥がさずかぶせるカバー工法が向くことが多い
- 野地板が傷んでいれば葺き替え。判断は屋根に上がってから
- メーカーの家が悪いのではなく、当時の標準的な屋根材が一斉に寿命を迎えている
次回は、ダイワハウスの家を例に、カバー工法で直すときに確認しておきたいことを書きます。
コロニアル屋根の修理については、こちらのページでもご紹介しています。
https://www.takisawaroof.com/コロニアル
当社では現地調査・ご相談は無料で対応しております。LINEで屋根の写真を送っていただければ、最短即日でお返事します。お電話は 019-656-8345 です。気になることがありましたら、お気軽にご相談ください。
瀧澤屋根工業 代表のタキサワでした。


