子育てには「心地よい刺激と楽しい運動」を40
子どもの心身の発達に「心地よい刺激と楽しい運動」をどう加えていただけるかという視点で子育てを考えてみましょう。
その答えは一つではなく、皆様方なりにあります。
子育てに迷ったときは、その子育てが「心地よい刺激と楽しい運動」に適応しているかどうか考えてみましょう。
運動で留意していただきたいのは、子どもという個を中心にまたたいせつにする運動だけが「脳の可塑性」を促進させます。団体やチーム運動には効果はありません。
その子なりにできる運動が「心地よい刺激と楽しい運動」なのです。
また、「その子の内側の体験の世界」の子どもさんには、いろいろな特性があります。
わが子が発達障害であるかどうかということではなく、また、それが何だかんだではなく、わが子を理解し、「心地よい刺激と楽しい運動」を加えてあげることが重要なのです。
この子育ては、胎児から始まります。
それは、その子に「楽しく心地よい刺激と運動」を与えることなのです。
胎児や乳児、幼児(3歳児まで)は「心地よい刺激」です。
幼児(4歳以上)からは「楽しい運動」です。4歳以上の幼児には「心地良い刺激」は並行して内在します。
これが、私の研究における、育児方法であり、「子どもの心身の発達」及び「子どもの心身の伸びしろ値の向上」です。
この取り組みは、すべて最新の脳科学の研究成果を基にするものです。
また、テニス指導においても同様です。よって、テニス指導においては、他のスポーツ指導者とはすべて異なるものです。
また、この画期的な指導法は「脳を育てること」につながるものです。
2回目の「心地よい刺激と楽しい運動」を解説します。
そして「楽しく、心地よい」身体運動と刺激が「脳をつくる」を解説します。
また、この脳をつくることが「子育て」になります。
どれもこれも、その子のみの子育てにつながります。
またその子の特性を理解しながら、子育てにつなげていくのです。
以前に、発達障害とは「何らかの精神発達のおくれをもち、それが生きにくさをもたらしている」と定義され、これが、脳の機能障害によるものとされ、簡単に説明しました。
人間の行動は脳がもたらします。子どもについても、心身の発達を促進させるためには、脳を育てることになります。脳の神経回路は環境刺激により変化します。子育て、保育、教育、そして私の研究である「心地よい、楽しい運動」が、子どもの脳を育てることになります。これについては、後日説明します。
脳が育つ条件としての一つ目は、神経伝達物質の分泌量を適量確保することにあります。神経伝達物質は、基本的には、神経細胞(ニューロン)が細胞体の核にある遺伝子の命令によって生産されるものですが、精神的環境や食生活によっても大きく左右されるのです。それゆえ、赤ちゃんの頃から、例えば精神的環境からいえば、スキンシップによりセロトニン量を増やすこと、楽しい雰囲気によりドーパミン量を増やすことなのです。このことはシナプス(細胞体や神経終末の樹状突起が、他の神経細胞(ニューロン)や組織に接する部分のわずかな隙間)にこうした神経伝達物質が伝えられるネットワークを作ります。
脳が育つ条件の二つ目は、神経細胞(ニューロン)と神経細胞(ニューロン)の接点であるシナプスを増やすことです。神経細胞(ニューロン)は、脳全体で約1,000億個、大脳新皮質だけで140億個あるといわれています。乳幼児から20歳頃までは、この数はあまり変わらず、20歳頃過ぎると一日10万個程度は消滅するということです。
幼児に比べ大人の方がより複雑な行動ができるのは、神経細胞(ニューロン)の数の問題ではなく、神経細胞(ニューロン)間のシナプスが増えていくことにあります。このシナプスが増えていくことを、脳のネットワークを作るといいます。
生後、神経細胞(ニューロン)の数は変わりませんが、生後2~8カ月の間に、シナプスの数が急増します。例えば、新生児の大脳皮質のシナプス数は、成人の約2倍です。乳幼児の神経回路は、あらゆる感覚情報と記憶に関して可塑性が非常に高く、出生後の様々な経験から脳が目覚ましい発達を遂げます。
また、乳幼児期に急増したシナプスは、10歳くらいまでに減少し、以後は一定の数になります。この間に、よく使用されて強化されたシナプスだけが残され、それ以外は余剰のシナプスとして「刈り込み」が行われます。どのシナプスが残るかは、それぞれ個人の経験によるのです。
ここで注意してほしいのは、2つの神経細胞(ニューロン)が出会っても、必ずシナプスを作るわけではないということです。神経細胞(ニューロン)の軸索や樹状突起が伸びたときに、ターゲットになる神経細胞(ニューロン)が出す神経栄養因子ニューロトロフィン(タンパク質の一種)がなければ、誘導してもらえず、シナプスは形成されません。形成されない場合には、軸索や樹状突起を伸ばした方の神経細胞(ニューロン)は消滅します。ニューロトフィンには、神経成長因子(NGF)や線維芽細胞増殖因子(FGF)、脳由来神経栄養因子(BDNF)などがあります。この神経栄養因子は、後日説明する「心地よい、楽しい運動」で生成されることがわかりました。
以上、発達障害のケアには、脳を育てることが必要であることを説明しました。そして、早期にケアすること、つまり早期に「脳の神経回路を変化させる」ことが、ケアにつながるということをご理解ください。
「脳を育てること」が「子育て」ですので、皆様ももう一度、最新の脳科学における「運動と脳」の新常識をご理解ください。
前に解説していることを再度述べるかもしれませんが、子育ての皆様が「子どもの脳のことを理解しながら、「子育て」をこれからもお願いいたします。
ご注意申し上げますが、脳というと大人の皆様方は「知識脳」つまり「暗記脳」と早合点しますが、「知識脳」ではありません。
お分かりにならないとは思いますが、子育てに積極的に使うのは「運動脳」です。
「運動脳」は小脳です。小脳から脳内をネットワークするのです。
もう一つ大事なのは、勝ち負けだけの「知識脳」を使うのではなく、「自分の伸びしろ値」を上げる「運動脳」を使うことなのです。
子育てにとても重要なことを述べました。
子育ての支援をもう一度掲載します。
次の「子育て」を読んで、皆様方であれば、どのような「心地よい刺激」や「楽しい運動」を子どもへ提供していただけるのでしょうか?
正解は1つではありません。皆さんでしたら、わが子にどのようにアプローチしてくれるのでしょうか?
「心地よい刺激」は、養育者が積極的にかかわることが重要です。
「楽しい運動」は、この子には何が「楽しい運動」なのか見つけてあげることが重要です。
とても大事な、たいせつな「あなた自身のわが子への子育て」が始まっています。
次回に続きます。



