中学校の部活動が変わる~神戸市の例
前回、「中学校部活動の地域連携や地域クラブ活動についての学校の評価について」を解説しました。
これを掲載しましたのは、これも子どもたちの進路に関わる重要なことだからです。
多くの学校の校長先生方等は、学校の部活動が高校入試に必要がなくなったと誤解しているようです。何か勘違いされているようです。
多くの誤解は「部活動で優秀な成績を上げた生徒のスポーツ推薦(文化活動では優秀な成績の推薦)」がなくなったので評価しなくてもいいというものです。
部活動は優秀な成績を上げるため、つまり「勝つため、勝たなければならない」ものなのでしょうか?これを最も推進してきた学校ほど陥りやすい誤解です。
では、今後の高校入試における中学校の「部活動の地域連携や地域クラブ活動」の評価はどのようになるのでようか。
令和4年12月27日文科省は各都道府県教育委員会等に「学校部活動及び新たな地域クラブ活動の在り方等に関する総合的なガイドライン」の策定及び学校部活動の地域連携・地域移行に関する関連制度の運用について」を通達した。
「高校入試について」を次に原文のまま記載します。
3 高等学校入学者選抜における学校部活動・地域クラブ活動の取扱い
中学校の部活動について地域連携・地域クラブ活動への移行を進めていく際に、高等学校入学者選抜において学校部活動・地域クラブ活動をどのように取り扱うかについては、これまでと同様、各高等学校及びその設置者において判断いただくべきものであるが、今後、中学校の教師が調査書に、学校部活動・地域クラブ活動について 記載する場合には、生徒の日々の地域クラブ活動に関する活動状況等について、校外の指導者との間で共有する情報等を基に記載することが考えられること。
なお、高等学校入学者選抜における学校部活動・地域クラブ活動の取扱いについては、運動部活動・文化部活動の地域移行に関する検討会議の提言の内容も踏まえ、今後の選抜の在り方に関する検討の際、以下の①及び②や、中学校の教師の負担軽減にも留意いただきたいこと。
① 学校部活動・地域クラブ活動の評価方法の明確化について
学校部活動については、高等学校入学者選抜における取扱いが明らかでないことによって、生徒や保護者による学校部活動への過度な期待や、本人の意思に反した形での加入・継続等の状況を招いているとの指摘があること。こうしたことを避けるため、学校部活動・地域クラブ活動等の諸活動の評価の有無、評価に用いる場合の方法や評価の観点等については、入学者選抜実施要領や各高等学校のホームページ等において分かりやすく示すように努めていただきたいこと。また、学校部活動・地域クラブ活動は、あくまでも、生徒の自主的・自発的な 学校内外の諸活動の一つであり、学校部活動・地域クラブ活動に参加していないことや、途中で退部したこと、他の活動に移ったこと等のみをもって高等学校入 学者選抜において不利に取り扱うことは適切でないと考えられること。
② 学校部活動・地域クラブ活動に係る調査書への記載内容について
調査書の学習成績以外の記録については、生徒の個性を多面的に捉えたり、生徒の長所などを積極的に評価したりするために活用されるものであることから、学校部活動・地域クラブ活動の成果について調査書に記載する際には、単に活動歴や大会成績のみを記述するだけではなく、活動からうかがうことのできる生徒の長所、個性や意欲、能力に言及するなど、記載を工夫することが望ましいと考えられること。なお、こうした生徒の長所等については、調査書に限らず、生徒による自己評価資料や、面接や小論文などの方法を用い、入試全体を通じて多面的に評価していくことも考えられること。
調査書へのその他の具体的な例示ですが、前回示した「生徒の学習意欲の向上や責任感、連帯感の涵養等に資するもの」などが挙げられます。
また、前々回「中学校部活動改革に伴う学習指導要領解説の一部改訂について」で述べましたが、次の二点について、学校の対応があることについて述べます。
改訂の概要の(1)③において、学校は、地域で実施されているスポーツ・文化芸術活動の内容等を生徒・保護者に周知すること。とあります。
次に、改訂の概要の(2)において、学校の部活動は任意なのだとありますが、後段に「生徒の自主的・自発的な参加」とあります。これは何かといいますと三つの例を申し上げますと、一つ目は学校の部活動では「テニス部」であるが地域クラブ活動でも「テニス活動」であること、二つ目は学校の部活動では「テニス部」であるが地域クラブ活動では「演劇活動」であること、三つ目は学校の部活動には入っていないが地域クラブ活動では「テニス活動」であるということです。
以上二点を説明しましたが、学校は、地域クラブ活動の内容等の周知義務とその生徒の把握等の対応と評価をしなければならないのです。
次に、改訂の概要の(3)を読みますと、従来、学校の部活動に馴染まなかったレクリエーション志向的なものやボランティア的なものや郷土の歴史・芸能など多様なニーズの地域クラブ活動が挙げられます。
これらについても、学校は、地域クラブ活動の内容等の周知義務とその中で活動している生徒の把握し対応をし、評価しなければなりません。
つまり学校は、この全てについて学習指導要領に基づき対応することになります。
簡単に説明しますと、学校から部活動がなくなったからといって、評価しなくていいのではありません。
部活動改革における「地域連携や地域クラブ活動」においても学校の評価には変わりはないのです。
部活動改革以前よりもきめ細やかな生徒への評価が顕著になっていきます。



