中学校部活動の地域連携や地域クラブ活動についての学校の評価について

吉田洋一

吉田洋一

テーマ:子どもたちへのエール

 前回、「中学校部活動の地域連携や地域クラブ活動に移行しても、学習指導要領に基づく部活動を今後とも学校は評価しなければならない」を解説しました。
 これを掲載しましたのは、子どもたちの進路に関わる重要なことだからです。
 学校の部活動が生徒全員が加入するものでなくなったからとか自分の学校に部活動がなくなったからとか休日に顧問が付かなくてよくなったから、今後の部活動は学校の学習指導要領に基づかないものと勝手に思い込み又は決め詰めていらっしゃる方が多数見受けられるということです。
 何か勘違いされているようです。大半は「部活動におけるスポーツ推薦(文化部であれば成績優秀推薦)」がなくなったので、評価しなくてもいいと認識や理解しているようです。大きな間違いです。

 現在の部活動は、現行の中学校学習指導要領の総則にその意義や留意点が規定されています。
 今後、学校の運動部活動に代わり、地域においてスポーツ活動や文化活動に参加していく生徒が増えていくことが想定される中、こうした運動部活動の地域移行の進捗状況等を踏まえながら、中学校学習指導要領の総則の部活動に係る規定についても適切なタイミングで検討・見直しを行っていく必要があるとし、前回の通達が各都道府県教育委員会等に発せられました。

 中学校学習指導要領の総則に基づく適切な運動部活動の運営について、平成 20 年に改訂された中学校学習指導要領の総則において、部活動の意義や留意すべき事項が初めて設けられ、「生徒の自主的、自発的な参加により行われる部活動については、スポーツや文化及び科学等に親しませ、学習意欲の向上や責任感、連帯感の涵養等に資するものであり、学校教育の一環として、教育課程との関連が図られるよう留意することとされ、その際、地域や学校の実態に応じ、地域の人々の協力、社会教育施設や社会教育関係団体等の各種団体との連携などの運営上の工夫を行うようにすること」と規定されました。
 これは、「幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善について」(中央教育審議会答申・平成20 年1月)によれば、「生徒の自発的・自主的な活動として行われている部活動について、学校教育活動の一環としてこれまで中学校教育において果たしてきた意義や役割を踏まえ、教育課程に関連する事項として、学習指導要領に記述することが必要である」との理由から設けられたものです。平成29年の改訂においては、平成20年改訂での規定に「持続可能な運営体制が整えられるようにするものとする」旨が追記されました。
 つまり、現在においても、中学校部活動は学習指導要領に基づいて評価されているのです。

 先ほどの勘違いされている校長先生等は、何を評価するのかが理解できていないようです。
 もう一度、平成 20 年に改訂された中学校学習指導要領の総則における部活動の意義や留意すべき事項について記述します。
 学校の部活動は、「生徒の学習意欲の向上や責任感、連帯感の涵養等に資するものであり、学校教育の一環として、教育課程との関連が図られるよう留意すること」であり、その際に「地域や学校の実態に応じ、地域の人々の協力、社会教育施設や社会教育関係団体等の各種団体との連携などの運営上の工夫を行うようにすること」と規定されました。
 この規定に「スポーツ推薦」に必要な「上位の成績」とか「競技力の向上」が入っていますでしょうか?入っていませんね。
 つまり、学校の部活動を「スポーツ推薦」に必要な「上位の成績」とか「競技力の向上」で行っている学校ほど誤った認識や理解に陥るのです。

 今後の中学校部活動の地域連携や地域クラブ活動においても、学校における評価は、「生徒の学習意欲の向上や責任感、連帯感の涵養等に資するものであり、学校教育の一環として、教育課程との関連が図られるよう留意すること」。次にこれを「地域や学校の実態に応じ、地域の人々の協力、社会教育施設や社会教育関係団体等の各種団体との連携などの運営上の工夫を行うようにすること」です。

 ここで今後の生徒の中学校部活動の地域連携や地域クラブ活動を評価するのは、学校のみになるのかですが実はそうではありません。
 生徒の中学校部活動の地域連携や地域クラブ活動について、今後は地域で参加する生徒の情報収集を地域の人々の協力者、社会教育施設や社会教育関係団体等の各種団体から行うことになります。
 その情報を生徒の学校の担当者へ提供することになります。
 つまり、地域連携や地域クラブ活動の受託者は、「生徒の学習意欲の向上や責任感、連帯感の涵養等に資するものであり、学校教育の一環として、教育課程との関連が図られるよう留意すること」を評価できる者でなければならないということです。
 単に、スポーツ団体等が「勝たせた」「指導者の言うことを聞いた」「スポーツをする子どもが増えた」「お金がたくさん入る」等ではないのです。
 また、評価は第三者が行うことであり、生徒の親が評価するものではありません。そのようなスポーツ団体等は受託できないのです。
 つまり、資質や責任などが伴う団体等でなければならないのです。

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吉田洋一
専門家

吉田洋一(心身発達の心理士)

一般社団法人JSTC

子どもがテニスを通じて、身体の動かし方や潜在的な能力を引き出し、運動の基礎づくりをサポート。さらに子どもが主体的に取り組む大会を企画開催し、その中で対話的な深い学びを習得し、自律性を高める指導を行う。

吉田洋一プロはIBC岩手放送が厳正なる審査をした登録専門家です

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