子育てには「心地よい刺激と楽しい運動」を109
子育てとは、「その子の内側の体験の世界」に「楽しく心地よい刺激と運動」を加えることです。
この子育て論を訪問の皆様方へ周知したく、コラムへ掲載しております。
「その子の内側の体験の世界」の子どもさんには、いろいろな特性があります。
発達障害であるかどうかということではなく、また、それが何だかんだではなく、その子を理解してあげることが重要なのです。
そのかかわりは胎児から始まります。
前回のコラムをもう一度掲載します。
「その子の内側の体験の世界」のキーワードは、「その子を知る」「その子にはたらきかける」「その子を見守る」でした。
その子の特性を理解し、その子が社会に積極的にかかわることをサポートするという意味です。
その子の特性つまり「その子の内側の体験の世界」を理解し、その子が社会に積極的にかかわることが子育てですと解説しました。
では、それはどういうことなのかを皆様方が知りたがっていることなのでしょう。
それは、その子に「楽しく心地よい刺激と運動」を与えることなのです。
胎児や乳児、幼児(3歳児まで)は「心地よい刺激」です。幼児(4歳以上)以上は「楽しい運動」です。4歳以上の幼児には「心地良い刺激」は並行して内在します。
これが、私の研究における、育児方法であり、「子どもの心身の発達」及び「子どもの心身の伸びしろ値の向上」です。
この取り組みは、すべて脳科学を基にするものです。
また、テニス指導においても同様です。よって、テニス指導においては、他のスポーツ指導者とはすべて異なるものです。
また、この画期的な指導法は「脳を育てること」につながるものです。
「楽しく、心地よい」身体運動と刺激が、脳をつくるは、別にしてコラム掲載しています。
また、脳をつくることが「子育て」ですと、別にしてコラム掲載しています。
どれもこれも、子育てにつながり、またその子の特性を理解しながら、社会へとつなげていけるのです。
「脳を育てること」が「子育て」ですので、皆様ももう一度、最新の脳科学における「運動と脳」の新常識をご理解ください。
前に解説していることを再度述べるかもしれませんが、子育ての皆様が「子どもの脳のことを理解しながら、「子育て」をこれからもお願いいたします。
ご注意申し上げますが、脳というと大人の皆様方は「知識脳」つまり「暗記脳」と早合点しますが、「知識脳」ではありません。
お分かりにならないとは思うますが、子育てに積極的に使うのは「運動脳」です。
もう一つ大事なのは、勝ち負けだけの「運動脳」を使うのではなく、「自分の伸びしろ値」を上げる「運動脳」を使うことです。
子育てにとても重要なことを述べました。
皆様方であれば、どのような「心地よい刺激」や「楽しい運動」を子どもへ提供していただけるのでしょうか?
「心地よい刺激」は、養育者が積極的にかかわることが重要です。
「楽しい運動」は、この子には何が「楽しい運動」なのか見つけてあげることが重要です。
前回は「脳を育てる」を再掲し、皆様方へ「子育て」のご理解を促しました。
今回のコラムは「楽しく、身体を動かす」です。
これも、「子育て」にとてもたいせつなものです。
「運動脳」の解説43
アストロサイト
前回、グリア細胞について述べました。グリア細胞はニューロンとは異なり、電気的な活動がないとみられていましたが、最近の研究では、健康な脳機能の維持や脳の情報処理に重要な働きをしていることが明らかになってきました。
その中で注目するのが、アストロサイトです。アストロサイトについて、数回コラムに掲載していきたいと思います。
アストロサイトは、脳の中の老廃物を除去したり、脳内環境を以一定に保ったりする役割が主ですが、最新の研究では、脳の情報処理にも積極的に関与している可能性があることがわかってきました。
アストロサイトとシナプスのつながりから説明します。
学習や記憶には、神経細胞(ニューロン)のつなぎ目のシナプスの伝達率が重要な役割を果たしています。シナプスの伝達効率は一定ではなく、やりとりされる神経伝達物質の放出量が増えたり、受け取れる量が変わったり、物理的にシナプス自体が大きくなったり、と柔軟に変化することで記憶や学習の効率を高めています。そのシナプスの柔軟性に影響を与えているのが、アストロサイトが放出する独自の伝達物質「グリア伝達物質」です。
アストロサイトが神経細胞(ニューロン)からの信号を受け取るだけでなく、自らも伝達物質を放出し、脳の情報伝達に関与しているのです。
1つのアストロサイトが、数百万ものシナプスとコンタクトしていることや1mmにも及ぶ長い突起をもつものもあることから、アストロサイトは遠く離れた細胞同士を接続し、情報を統合しているのではないかと考えられています。
アストロサイトは、脳にエネルギーを供給しています。脳にとってのエネルギーは、ブロウ糖(グルコース)です。そのほとんどは、神経細胞(ニューロン)の電気的な活動に使われるのですが、神経細胞(ニューロン)は血管と直接コンタクトしていないので、エネルギーを摂ることができません。そこで、血管を取り巻いているアストロサイトが、グルコースを取り込み、神経細胞(ニューロン)が使えるようにしてから与えています。
さらに神経細胞(ニューロン)は、その活動に伴って老廃物を放出しますが、それをアストロサイトが吸収したり、洗い流したりすることで脳内環境を一定に保っています。また、シナプスの情報伝達に用いられている主要な神経伝達物質の一つにアミノ酸の一種のグルタミン酸があります。アストロサイトは、役目を終えたグルタミン酸を速やかに回収してリサイクルしています。
このように、アストロサイトはシナプスの情報伝達に深く関与しています。また、最新の脳の研究から、アストロサイトの機能不全が、神経発達症(発達障害)や精神疾患の症状を発していることがわかりました。
次回に続きます。



