子育てには「心地よい刺激と楽しい運動」を110
子育てとは、「その子の内側の体験の世界」に「楽しく心地よい刺激と運動」を加えることです。
この子育て論を訪問の皆様方へ周知したく、コラムへ掲載しております。
「その子の内側の体験の世界」の子どもさんには、いろいろな特性があります。
発達障害であるかどうかということではなく、また、それが何だかんだではなく、その子を理解してあげることが重要なのです。
そのかかわりは胎児から始まります。
前回のコラムをもう一度掲載します。
「その子の内側の体験の世界」のキーワードは、「その子を知る」「その子にはたらきかける」「その子を見守る」でした。
その子の特性を理解し、その子が社会に積極的にかかわることをサポートするという意味です。
その子の特性つまり「その子の内側の体験の世界」を理解し、その子が社会に積極的にかかわることが子育てですと解説しました。
では、それはどういうことなのかを皆様方が知りたがっていることなのでしょう。
それは、その子に「楽しく心地よい刺激と運動」を与えることなのです。
胎児や乳児、幼児(3歳児まで)は「心地よい刺激」です。幼児(4歳以上)以上は「楽しい運動」です。4歳以上の幼児には「心地良い刺激」は並行して内在します。
これが、私の研究における、育児方法であり、「子どもの心身の発達」及び「子どもの心身の伸びしろ値の向上」です。
この取り組みは、すべて脳科学を基にするものです。
また、テニス指導においても同様です。よって、テニス指導においては、他のスポーツ指導者とはすべて異なるものです。
また、この画期的な指導法は「脳を育てること」につながるものです。
「楽しく、心地よい」身体運動と刺激が、脳をつくるは、別にしてコラム掲載しています。
また、脳をつくることが「子育て」ですと、別にしてコラム掲載しています。
どれもこれも、子育てにつながり、またその子の特性を理解しながら、社会へとつなげていけるのです。
「脳を育てること」が「子育て」ですので、皆様ももう一度、最新の脳科学における「運動と脳」の新常識をご理解ください。
前に解説していることを再度述べるかもしれませんが、子育ての皆様が「子どもの脳のことを理解しながら、「子育て」をこれからもお願いいたします。
ご注意申し上げますが、脳というと大人の皆様方は「知識脳」つまり「暗記脳」と早合点しますが、「知識脳」ではありません。
お分かりにならないとは思うますが、子育てに積極的に使うのは「運動脳」です。
もう一つ大事なのは、勝ち負けだけの「運動脳」を使うのではなく、「自分の伸びしろ値」を上げる「運動脳」を使うことです。
子育てにとても重要なことを述べました。
皆様方であれば、どのような「心地よい刺激」や「楽しい運動」を子どもへ提供していただけるのでしょうか?
「心地よい刺激」は、養育者が積極的にかかわることが重要です。
「楽しい運動」は、この子には何が「楽しい運動」なのか見つけてあげることが重要です。
前回は「脳を育てる」を再掲し、皆様方へ「子育て」のご理解を促しました。
今回のコラムは「楽しく、身体を動かす」です。
これも、「子育て」にとてもたいせつなものです。
「運動脳」の解説41
神経細胞(ニューロン)の維持と成長に関わる神経栄養因子2
今回は、前回の続きをご紹介します。
前回、脳の神経栄養因子BDNFはシナプスの近くの貯蔵庫に蓄えられ、血流が盛んになると放出されます。その際に、体内の多くのホルモンが招集され、そのプロセスの手助けをします。ホルモンは、インスリン様成長因子、血管内皮成長因子、線維芽細胞成長因子などです。と説明しました。
インスリン様成長因子は、活動中の筋肉がさらに多くの燃料を必要とするときに放出されるホルモンです。グルコース(ブドウ糖)は筋肉にとって主要なものですし、脳にとってはこれが唯一のエネルギー源であり、インスリン様成長因子はインスリンと協力して、グルコースを細胞まで運んでいます。脳のエネルギー源であるインスリン様成長因子は、学習に関連するはたらきをしています。運動(※ここでいう「運動」は、楽しく、心地よい運動という意です。)している間に、BDNFは脳のインスリン様成長因子の摂取量を増やし、そのインスリン様成長因子は神経細胞(ニューロン)を活性化して、信号を送る神経伝達物質のセロトニンやグルタミン酸を盛んに作らせています。また、インスリン様成長因子はBDNF受容体の生成を促し、神経細胞(ニューロン)の結びつきを強くして記憶を確実なものにしています。BDNFは特に長期記憶にとってたいせつなものです。
これは、人間の進化の過程からみると、理にかなっているものです。私たち人間の営みは、食物を探し、手に入れ、蓄えるためでした。そのために必要な学習能力を身につけてきたのです。学ぶためには燃料が必要であり、燃料源を見つけるには学ぶ必要があります。身体から出される様々な因子のおかげで、このプロセスは保たれ、人間は適応し、生き残ってこられました。
新しい細胞に燃料を送るには、新しい血管が必要です。運動中に筋肉が収縮したときなど、細胞内で酸素が不足すると血管内皮成長因子が身体でも脳でも毛細血管を作り始めます。血管内皮成長因子が神経細胞(ニューロン)新生に欠かせないのは、血液や脳関門の透過性を起こしているからではないかと言われています。運動をすると血管内皮成長因子が関門をこじ開けて、他の因子が脳に入ってこられるようにしているようです。
身体から脳へ送り込まれるもう一つの重要な因子は、線維芽細胞成長因子で、これもインスリン様成長因子や血管内皮成長因子のように運動中に増加し、神経細胞(ニューロン)新生に必要なものです。線維芽細胞成長因子は体内では組織の成長を助け、脳では神経細胞(ニューロン)の長期増強にとってたいせつなはたらきをします。
人間は元来、身体を動かすようにできています。そうすることで脳も動かしているのです。
学習と記憶の能力は、祖先たちが食料を見つけるときに頼った運動機能とともに進化してきました。脳にしてみれば、身体が動かないのであれば、学習をする必要は全くなかったということになります。
次回に続きます。



