「その子の内側の体験の世界」に「楽しく心地よい刺激と運動」を加える41

吉田洋一

吉田洋一

テーマ:子育てとは

子育てとは、「その子の内側の体験の世界」に「楽しく心地よい刺激と運動」を加えることです。
 この子育て論を訪問の皆様方へ周知したく、コラムへ掲載しております。
 「その子の内側の体験の世界」の子どもさんには、いろいろな特性があります。
 発達障害であるかどうかということではなく、また、それが何だかんだではなく、その子を理解してあげることが重要なのです。
 そのかかわりは胎児から始まります。

 前回のコラムをもう一度掲載します。

 「その子の内側の体験の世界」のキーワードは、「その子を知る」「その子にはたらきかける」「その子を見守る」でした。
  その子の特性を理解し、その子が社会に積極的にかかわることをサポートするという意味です。

 その子の特性つまり「その子の内側の体験の世界」を理解し、その子が社会に積極的にかかわることが子育てですと解説しました。
 では、それはどういうことなのかを皆様方が知りたがっていることなのでしょう。
 それは、その子に「楽しく心地よい刺激と運動」を与えることなのです。
 胎児や乳児、幼児(3歳児まで)は「心地よい刺激」です。幼児(4歳以上)以上は「楽しい運動」です。4歳以上の幼児には「心地良い刺激」は並行して内在します。 

 これが、私の研究における、育児方法であり、「子どもの心身の発達」及び「子どもの心身の伸びしろ値の向上」です。
 この取り組みは、すべて脳科学を基にするものです。
 また、テニス指導においても同様です。よって、テニス指導においては、他のスポーツ指導者とはすべて異なるものです。
 また、この画期的な指導法は「脳を育てること」につながるものです。

 「楽しく、心地よい」身体運動と刺激が、脳をつくるは、別にしてコラム掲載しています。
 また、脳をつくることが「子育て」ですと、別にしてコラム掲載しています。
 どれもこれも、子育てにつながり、またその子の特性を理解しながら、社会へとつなげていけるのです。
 
 「脳を育てること」が「子育て」ですので、皆様ももう一度、最新の脳科学における「運動と脳」の新常識をご理解ください。
 前に解説していることを再度述べるかもしれませんが、子育ての皆様が「子どもの脳のことを理解しながら、「子育て」をこれからもお願いいたします。

 ご注意申し上げますが、脳というと大人の皆様方は「知識脳」つまり「暗記脳」と早合点しますが、「知識脳」ではありません。
 お分かりにならないとは思うますが、子育てに積極的に使うのは「運動脳」です。
 もう一つ大事なのは、勝ち負けだけの「運動脳」を使うのではなく、「自分の伸びしろ値」を上げる「運動脳」を使うことです。

 子育てにとても重要なことを述べました。
 皆様方であれば、どのような「心地よい刺激」や「楽しい運動」を子どもへ提供していただけるのでしょうか?
 「心地よい刺激」は、養育者が積極的にかかわることが重要です。
 「楽しい運動」は、この子には何が「楽しい運動」なのか見つけてあげることが重要です。
 前回は「脳を育てる」を再掲し、皆様方へ「子育て」のご理解を促しました。
 今回のコラムは「楽しく、身体を動かす」です。
 これも、「子育て」にとてもたいせつなものです。


 「運動脳」の解説38

 脳を育てるとは「認識の発達と関係の発達」を相互に育んでいくこと

 脳を育てるとか脳をよくするとかよく耳に目にする言葉ですが、そのほとんどの理解は、「暗記力」や「知識」が豊富なことだと思っている方だと思います。
 「暗記力」や「知識」だけで人間社会を生きていけるのでしょうか。このことだけではなく、「暗記力」や「知識」は、周りの人たちが、歴史的に社会的に文化的につくり上げて、共有している「意味」や「約束」からなる、物事に関して抱く、主観的な考えである観念の世界として「認識」していかなければならないと思うのです。
 以前にコラムで述べましたように、今までの教育は、知識は伝達したが、子ども自身がその知識を自分なりに使うことができない知識伝達型の偏重でした。また、ともすれば、計算ができるとか漢字が書けるとかの技能の習熟的な無感動な事務的作業を押し付ける教育でした。また、序列や境界線を作るための評価であり、自己満足の自己評価、人間関係に左右される相互評価、価値観を押し付ける教師評価でした。只々偏差値の高い高校や大学へ入れるための教育ではなかったでしょうか。これでは、子どもの何の力を育てるのか、今までの「生きる力」が何なのか、また中心は誰なのか明確ではなかった。と解説しました。
 2015年、OECD(経済協力機構)は、社会の発展及び個人のwell-beingにつながるような、人間が持つ様々な能力とその教育に関するレポートを発表しました。その中で、「非認知的能力の状態は、その後の認知的能力の状態を予測する」。すなわち、高い非認知的能力を備えている個人は、その後にも高い認知的能力を持つことが予想されると報告しました。が、その反対の「認知的能力の状態が、後の非認知的能力の状態を予測はしなかったと報告しています。
 ご存じかと思いますが、「非認知的能力」が「関係の発達」であり、「認知的能力」が「認識の発達」です。
 つまり、学力や知識、学習などのIQ、学力テスト、学業達成などに秀でても、社会性がある、意欲的である、創造性がある、忍耐力があるなど人として社会で生き抜く能力にはつながらないという結果が出たのです。また、知識などは修得したが、これを何のために使うのか学んでこなかった結果です。この結果は、日本の企業でも顕著に現れました。知識などを豊富に持っている学生を採用したが、その知識などを企業に活かすことは無かった人材でした。日本は国際競争力が低下してしまいました。
 この現状は、学校教育に大きな影響を与えました。新しい学習指導要領(新しい学習指導要領(2020~2023))に「生きる力」がつくられました。「生きる力」は、これまでの学校教育で育まれるものとは異なるため、現状の子どもたちが抱える課題を踏まえたうえで、学校教育(2008(H20)から取り組んでいる)で育成を目指す「生きる力」を改めて捉え直す必要が出てきました。つまり、何のために学ぶのかを定義付けしました。
 こういった背景は、子どもたちがこれから社会を創り出していくためや社会や世界の状況を幅広く視野に入れ、そして向き合い関わり合いながら、自らの人生を切り拓いていくために必要だからに他なりません。つまり、ただモノとしてある環境世界に物質的に関わることではなく、周りの人たちと対人関係的に社会的に関わっていく「関係の発達」を学校教育にも委ねたのです。
 学校は、子どもが「よりよい学校教育を通じて、よりよい社会を創るという目標を共有し、社会と連携・協働しながら、未来の創り手となるために必要な資質・能力を育む」ために「関係の発達」と「認識の発達」を相互的に育んでいくことが求められます。
 また、保護者の方や保育に携わっている方にも、より多くのスキンシップや安心や関心の共有をしていただくことを望みます。
 そして、子どもにとっての理解や判断という「認識の発達」を人と交流したり分かち合う体験「関係の発達」の中から育むこともできます。つまり、非認知的能力を使いながら、認知的能力を引き出すことができるのです。

 前回の同様のものを提示します。
 「脳を育てることは、認識の発達と関係の発達を相互に育むこと」であり、これが「子どもの心身の発達のケア」になります。あくまでも、私見です。
 1 シナプスの刈り込み前にケアをする。8歳頃がピークですが、15歳頃までにケアをする。
 2 神経細胞(ニューロン)と神経細胞(ニューロン)の接点であるシナプスを増やす。脳のネットワークを増やす。15歳までにケアをする。
 3 神経栄養因子をつくる。15歳までにケアをする。

 ケアについては、前々回までにコラムで説明させていただきました。
 保護者の皆さま、保育に、教育に携わっていらっしゃる方々の皆さまへ、このように、子どもの心身の発達のケアは、脳からみますと早急に行う必要があります。

 次回に続きます。 

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吉田洋一
専門家

吉田洋一(心身発達の心理士)

一般社団法人JSTC

子どもがテニスを通じて、身体の動かし方や潜在的な能力を引き出し、運動の基礎づくりをサポート。さらに子どもが主体的に取り組む大会を企画開催し、その中で対話的な深い学びを習得し、自律性を高める指導を行う。

吉田洋一プロはIBC岩手放送が厳正なる審査をした登録専門家です

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