子育てには「心地よい刺激と楽しい運動」を64
子育てとは、「その子の内側の体験の世界」に「楽しく心地よい刺激と運動」を加えることです。
この子育て論を訪問の皆様方へ周知したく、コラムへ掲載しております。
「その子の内側の体験の世界」の子どもさんには、いろいろな特性があります。
発達障害であるかどうかということではなく、また、それが何だかんだではなく、その子を理解してあげることが重要なのです。
そのかかわりは胎児から始まります。
前回のコラムをもう一度掲載します。
「その子の内側の体験の世界」のキーワードは、「その子を知る」「その子にはたらきかける」「その子を見守る」でした。
その子の特性を理解し、その子が社会に積極的にかかわることをサポートするという意味です。
その子の特性つまり「その子の内側の体験の世界」を理解し、その子が社会に積極的にかかわることが子育てですと解説しました。
では、それはどういうことなのかを皆様方が知りたがっていることなのでしょう。
それは、その子に「楽しく心地よい刺激と運動」を与えることなのです。
胎児や乳児、幼児(3歳児まで)は「心地よい刺激」です。幼児(4歳以上)以上は「楽しい運動」です。4歳以上の幼児には「心地良い刺激」は並行して内在します。
これが、私の研究における、育児方法であり、「子どもの心身の発達」及び「子どもの心身の伸びしろ値の向上」です。
この取り組みは、すべて脳科学を基にするものです。
また、テニス指導においても同様です。よって、テニス指導においては、他のスポーツ指導者とはすべて異なるものです。
また、この画期的な指導法は「脳を育てること」につながるものです。
「楽しく、心地よい」身体運動と刺激が、脳をつくるは、別にしてコラム掲載しています。
また、脳をつくることが「子育て」ですと、別にしてコラム掲載しています。
どれもこれも、子育てにつながり、またその子の特性を理解しながら、社会へとつなげていけるのです。
「脳を育てること」が「子育て」ですので、皆様ももう一度、最新の脳科学における「運動と脳」の新常識をご理解ください。
前に解説していることを再度述べるかもしれませんが、子育ての皆様が「子どもの脳のことを理解しながら、「子育て」をこれからもお願いいたします。
ご注意申し上げますが、脳というと大人の皆様方は「知識脳」つまり「暗記脳」と早合点しますが、「知識脳」ではありません。
お分かりにならないとは思うますが、子育てに積極的に使うのは「運動脳」です。
もう一つ大事なのは、勝ち負けだけの「運動脳」を使うのではなく、「自分の伸びしろ値」を上げる「運動脳」を使うことです。
子育てにとても重要なことを述べました。
皆様方であれば、どのような「心地よい刺激」や「楽しい運動」を子どもへ提供していただけるのでしょうか?
「心地よい刺激」は、養育者が積極的にかかわることが重要です。
「楽しい運動」は、この子には何が「楽しい運動」なのか見つけてあげることが重要です。
前回は「脳を育てる」を再掲し、皆様方へ「子育て」のご理解を促しました。
今回のコラムは「楽しく、身体を動かす」です。
これも、「子育て」にとてもたいせつなものです。
「運動脳」の解説37
子育て、保育、教育とは、脳を育てること
これまで、脳からみた子どもの心身の発達を述べてきました。
子どもの心身の行動を促しているのは、心つまり脳です。脳が行動を派生させているのです。脳の神経回路は、環境の刺激によって変化します。環境の刺激とは、子育て、保育、教育などです。つまり、子育て、保育、教育などは、子どもの脳を育てているということになります。
子どもが、環境に適合する行動を学習したり,欲求を満足させるために環境に働きかけてそれを変化させる努力をしたりする適応行動をするために、脳では神経伝達物質のコントロールやシナプスのネットワーク形成が重要で不可欠になります。
脳の成熟のプロセスからみて、0~3歳頃までの環境づくりがたいせつです。最適は8歳から10歳頃までに、遅くても15歳頃までに、その後の人生を豊かに過ごすための基礎をつくることが望ましいとされています。その後を過ぎると、カウンセリングや発達臨床の対象となっていきます。
脳が育つためには、神経伝達物質の分泌量を適量に確保することが必要です。例えば、ドーパミンの量が少なければ、パーキンソン病のような症状を出します。ドーパミンの量が多すぎれば、統合失調症のような症状を出しやすくなります。神経伝達物質は、基本的には、神経細胞(ニューロン)が細胞体の核にある遺伝子の命令によって生み出されますが、精神的な環境や食生活によっても大きく左右されます。それゆえ、赤ちゃんの時からスキンシップによりセロトニンの量を適量に確保することや楽しく、心地よいときにはドーパミンの量を適量に確保することが必要です。つまり、脳のシナプスにこのような神経伝達物質が伝達されるようなネットワークをつくることが必要なのです。
次に、神経伝達物質が伝達されるためには、神経細胞(ニューロン)と神経細胞(ニューロン)の接点であるシナプスを増やすことが必要です。神経細胞(ニューロン)は、脳全体で約1000億個あり、大脳新皮質で140億個あるといわれています。乳幼児期から20歳頃までは、この数はあまり変わりませんが、20歳を過ぎると一日10万個程度は滅します。
幼児に比べて、大人の方がより複雑な行動ができるのは、神経細胞(ニューロン)の数の多少ではなく、大人になるに従い、神経細胞(ニューロン)間のシナプスが増えていくことによります。これを脳のネットワークをつくるといいます。
シナプスは生後間もない頃から急激に増え、生後数カ月で最大になります。
シナプスの数は、幼児期(8歳頃)を経ると減少傾向をたどります。これは、活用されるシナプスは強められて生き残り、活用されないシナプスは滅します。
これを「シナプスの刈り込み」といいます。
ただし、もちろんシナプスの数は減少しますが、1つの神経細胞(ニューロン)に接続するシナプスの数は逆に増えるのです。
二つの神経細胞が出会っても、必ずシナプスをつくれるわけではありません。神経細胞(ニューロン)の軸索や樹状突起が伸びたときに、ターゲットになる神経細胞(ニューロン)が出す神経栄養因子がなければ、誘導してもらえずにシナプスはつくれないのです。つくれない場合は、軸索や樹状突起を伸ばした方の神経細胞(ニューロン)は滅します。
ここに、「脳を育てることは、子どもの心身の発達のケア」のヒントが隠されています。つまり、ケアとは、私の私見ですが、
1 シナプスの刈り込み前にケアをする。8歳頃がピークですが、15歳頃までにケアをする。
2 神経細胞(ニューロン)と神経細胞(ニューロン)の接点であるシナプスを増やす。脳のネットワークを増やす。15歳までにケアをする。
3 神経栄養因子をつくる。15歳までにケアをする。
ケアについては、前回までにコラムで説明させていただきました。
保護者の皆さま、保育に、教育に携わっていらっしゃる方々の皆さまへ、このように、子どもの心身の発達のケアは、脳からみますと早急に行う必要があります。子どもがどうしたら「楽しく、心地よい運動」ができるか、子どもの優越性追求からの「方向付けの取り組み」を早急にお願いいたします。
次回に続きます。



