「その子の内側の体験の世界」に「楽しく心地よい刺激と運動」を加える39

吉田洋一

吉田洋一

テーマ:子育てとは

 子育てとは、「その子の内側の体験の世界」に「楽しく心地よい刺激と運動」を加えることです。
 この子育て論を訪問の皆様方へ周知したく、コラムへ掲載しております。
 「その子の内側の体験の世界」の子どもさんには、いろいろな特性があります。
 発達障害であるかどうかということではなく、また、それが何だかんだではなく、その子を理解してあげることが重要なのです。
 そのかかわりは胎児から始まります。

 前回のコラムをもう一度掲載します。

 「その子の内側の体験の世界」のキーワードは、「その子を知る」「その子にはたらきかける」「その子を見守る」でした。
  その子の特性を理解し、その子が社会に積極的にかかわることをサポートするという意味です。

 その子の特性つまり「その子の内側の体験の世界」を理解し、その子が社会に積極的にかかわることが子育てですと解説しました。
 では、それはどういうことなのかを皆様方が知りたがっていることなのでしょう。
 それは、その子に「楽しく心地よい刺激と運動」を与えることなのです。
 胎児や乳児、幼児(3歳児まで)は「心地よい刺激」です。幼児(4歳以上)以上は「楽しい運動」です。4歳以上の幼児には「心地良い刺激」は並行して内在します。 

 これが、私の研究における、育児方法であり、「子どもの心身の発達」及び「子どもの心身の伸びしろ値の向上」です。
 この取り組みは、すべて脳科学を基にするものです。
 また、テニス指導においても同様です。よって、テニス指導においては、他のスポーツ指導者とはすべて異なるものです。
 また、この画期的な指導法は「脳を育てること」につながるものです。

 「楽しく、心地よい」身体運動と刺激が、脳をつくるは、別にしてコラム掲載しています。
 また、脳をつくることが「子育て」ですと、別にしてコラム掲載しています。
 どれもこれも、子育てにつながり、またその子の特性を理解しながら、社会へとつなげていけるのです。
 
 「脳を育てること」が「子育て」ですので、皆様ももう一度、最新の脳科学における「運動と脳」の新常識をご理解ください。
 前に解説していることを再度述べるかもしれませんが、子育ての皆様が「子どもの脳のことを理解しながら、「子育て」をこれからもお願いいたします。

 ご注意申し上げますが、脳というと大人の皆様方は「知識脳」つまり「暗記脳」と早合点しますが、「知識脳」ではありません。
 お分かりにならないとは思うますが、子育てに積極的に使うのは「運動脳」です。
 もう一つ大事なのは、勝ち負けだけの「運動脳」を使うのではなく、「自分の伸びしろ値」を上げる「運動脳」を使うことです。

 子育てにとても重要なことを述べました。
 皆様方であれば、どのような「心地よい刺激」や「楽しい運動」を子どもへ提供していただけるのでしょうか?
 「心地よい刺激」は、養育者が積極的にかかわることが重要です。
 「楽しい運動」は、この子には何が「楽しい運動」なのか見つけてあげることが重要です。
 前回は「脳を育てる」を再掲し、皆様方へ「子育て」のご理解を促しました。
 今回のコラムは「楽しく、身体を動かす」です。
 これも、「子育て」にとてもたいせつなものです。


 「運動脳」の解説36

 脳からみた、子どもの心身の発達

 前回は、「楽しい、心地よい運動」は、「優越性追求の方向付け」であり、「生きる力」なのです。を紹介しました。
 さて、また脳についてお話いたします。なぜ、私が脳について訪問の皆さまに紹介しているかですが、「脳の発達と子どもの心身の発達が連動している」からに他なりません。子どもたちにテニスを教えて40数年経ちました。近年、脳科学の進歩で解らなかったことが解るようになりました。また、やはり、そうだったんだということもたくさん証明されてきました。
 訪問の皆さまへ一番にお伝えしたいのは、子どもを見た目つまり表面の表情や態度、発する言葉以外の内面の心つまり脳についてもご理解いただきたいと思い、コラムで述べさせていただいております。
 私は、脳科学者や脳外科医ではありませんので、実際に脳のこの部位をこうすればこうなる施術的なことはお話できません。が、脳科学の研究により「楽しい、心地よい運動」が脳に効果的な刺激を与えていることや子どもの心身の発達に深く関わっていることが実証されました。このことが発表されたときは、やはり、そうだったんだ。間違いなかったんだ。と、今までの自分の教え方で良かったんだと安堵したのでした。この経験から、子どもの心身の発達でお悩みの皆様方へお伝えしようとの思いでコラムを書いております。
 子どもの心身の発達でお悩みの方や子どものからだのおかしさにお気づきの方や子どもが神経発達症(発達障害)と診断された保護者の方に、このコラムで述べていることをもう一度簡単にご説明いたします。
 事例をお話しします。過去に、継父(離別)から虐待を受けたそしてきょうだいへの虐待を見た子がいます。精神病院へも入院しました。アスペルガー症候群の症状があります。その子が数年前から私のスクールに通っています。その子は、とてもテニスが好きなようです。「この子には大好きなものがある」という発見でした。それも「全身でボールを打っている」ときでした。そして、この時は、テニスで「みんなと同じことを一緒にできる」のでした。
 つまり、その子には、「生きる力」の優越性の追求があることに気付きました。私のテニス指導は全身の身体運動を伴ったもので、子どもたちには「楽しい、心地よい運動」として捉えられています。その子は、学校での大役や行事などで重荷の負荷から、触覚過敏や聴覚過敏を起こすことがありますが、その子の日々の生活は、大好きなテニスを通して、安定して過ごしています。その子の保護者も「どこに症状があるのか、わからないくらいです。」と明るい表情で語ります。
 また、その子は精神病院へも入院しましたが、精神の諸症状はみられません。当時の嫌なことは脳に記憶されているといいますが、その記憶の度合いを細くすることができます。これが、脳の仕組みです。つまり、テニスという「楽しい、心地よい運動」という脳の仕組みを増幅させると、脳のシナプスの可塑性により、新しい脳のネットワークをつくり出すことができるのです。使わない嫌な記憶のネットワークを細くすることができるのです。
 その子は、「楽しい、心地よい運動」により、脳に「新しいシナプスのネットワーク」を構築し続けていると考えています。
 また、「Jr-Open」についても、同様の思いで活動しています。
 SNSや科学雑誌等では、これら脳科学の研究の成果がたくさん報告されています。脳からみた子どもの心身の発達を今後とも皆様へご紹介したいと思います。
 
次回に続きます。

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吉田洋一
専門家

吉田洋一(心身発達の心理士)

一般社団法人JSTC

子どもがテニスを通じて、身体の動かし方や潜在的な能力を引き出し、運動の基礎づくりをサポート。さらに子どもが主体的に取り組む大会を企画開催し、その中で対話的な深い学びを習得し、自律性を高める指導を行う。

吉田洋一プロはIBC岩手放送が厳正なる審査をした登録専門家です

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