「その子の内側の体験の世界」に「楽しく心地よい刺激と運動」を加える12

吉田洋一

吉田洋一

テーマ:子育てとは

 子育てとは、「その子の内側の体験の世界」に「楽しく心地よい刺激と運動」を加えることです。
 この子育て論を訪問の皆様方へ周知したく、コラムへ掲載しております。
 「その子の内側の体験の世界」の子どもさんには、いろいろな特性があります。
 発達障害であるかどうかということではなく、また、それが何だかんだではなく、その子を理解してあげることが重要なのです。
 そのかかわりは胎児から始まります。

 前回のコラムをもう一度掲載します。

 「その子の内側の体験の世界」のキーワードは、「その子を知る」「その子にはたらきかける」「その子を見守る」でした。
  その子の特性を理解し、その子が社会に積極的にかかわることをサポートするという意味です。

 その子の特性つまり「その子の内側の体験の世界」を理解し、その子が社会に積極的にかかわることが子育てですと解説しました。
 では、それはどういうことなのかを皆様方が知りたがっていることなのでしょう。
 それは、その子に「楽しく心地よい刺激と運動」を与えることなのです。
 胎児や乳児、幼児(3歳児まで)は「心地よい刺激」です。幼児(4歳以上)以上は「楽しい運動」です。4最上の幼児には「心地良い刺激」は並行して内在します。 

 これが、私の研究における、育児方法であり、「子どもの心身の発達」及び「子どもの心身の伸びしろ値の向上」です。
 この取り組みは、すべて脳科学を基にするものです。
 また、テニス指導においても同様です。よって、テニス指導においては、他のスポーツ指導者とはすべて異なるものです。
 また、この画期的な指導法は「脳を育てること」につながるものです。

 「楽しく、心地よい」身体運動と刺激が、脳をつくるは、別にしてコラム掲載しています。
 また、脳をつくることが「子育て」ですと、別にしてコラム掲載しています。
 どれもこれも、子育てにつながり、またその子の特性を理解しながら、社会へとつなげていけるのです。
 
 「脳を育てること」が「子育て」ですので、皆様ももう一度、最新の脳科学における「運動と脳」の新常識をご理解ください。
 前に解説していることを再度述べるかもしれませんが、子育ての皆様が「子どもの脳のことを理解しながら、「子育て」をこれからもお願いいたします。

 ご注意申し上げますが、脳というと大人の皆様方は「知識脳」つまり「暗記脳」と早合点しますが、「知識脳」ではありません。
 お分かりにならないとは思うますが、子育てに積極的に使うのは「運動脳」です。
 もう一つ大事なのは、勝ち負けだけの「運動脳」を使うのではなく、「自分の伸びしろ値」を上げる「運動脳」を使うことです。

 子育てにとても重要なことを述べました。
 皆様方であれば、どのような「心地よい刺激」や「楽しい運動」を子どもへ提供していただけるのでしょうか?
 「心地よい刺激」は、養育者が積極的にかかわることが重要です。
 「楽しい運動」は、この子には何が「楽しい運動」なのか見つけてあげることが重要です。
 前回は「脳を育てる」を再掲し、皆様方へ「子育て」のご理解を促しました。
 今回のコラム「脳の可塑性」も「子育て」にとてもたいせつなものですので解説します。


 「運動脳」の解説9

 脳の可塑性

 前回、発達障害のケアには、脳を育てることが必要であることを説明しました。早期に「脳の神経回路を変化させる」ことが、ケアにつながるといわれてもどうすればいいかわからないのが当たり前です。脳についてご理解いただくためにもう少し詳しく説明いたします。
 説明の前にこの二つの用語を覚えてください。「脳は変化し、その変化は保持される」「使われないシナプスは衰退し、使われるシナプスは強化される」です。
 これを脳の可塑性といいます。脳は経験によって変化し、その変化が長く残る特徴をもっています。このような特徴を「脳の可塑性」と呼んでいます。可塑性とは、一般に個体に外力を加えて変形させ、力を取り去っても元に戻らない性質、変化し、その結果が残るような性質のことをいいます。
 コンピュータと私たちの脳を比べてみると、脳の「可塑性」がよくわかります。現在、私たちが使用しているコンピュータはいろいろと複雑な機能をこなしますが、機械・装置としての物理的な構成要素であるハードウェアは使用しても変化することはありません。コンピュータからいろいろな機能をこなすことができるのは、ソフトウェアの働きによります。例えば、インターネットにアクセスするときに使用するブラウザーの働きは、使うと学習しユーザーに合わせて「賢く」なりますが、この機能もソフトウェアの中に書き込まれた機能です。一方、脳は神経組織の配線が変化して「賢く」なります。言い換えれば、ハードウェアが変化して賢くなる特徴をもっています。これが脳の可塑性です。(「脳の教科書」三上章允著 講談社 p103,104)
 では、脳では、どこがどのように変化して可塑性を成しているのでしょうか。
 脳では、脳の変化はシナプスで起きています。脳では、よく使われたシナプスの伝達効率が高まります。その結果、活動しやすい神経細胞のネットワークが強化されます。このように脳の変化が保持されたものが、記憶や学習です。
 シナプスでの伝達効率の変化は、シナプス棘の形成やシナプス発芽として現れます。シナプス棘は英語でとげという意味のスパインといいます。神経細胞(ニューロン)の樹状突起の表面に棘状に多数存在し、この棘にシナプスが付着します。棘あることによって樹状突起の表面積が増加し、より多くのシナプスが接続できます。また、棘の形が変化することによってシナプスで発生した電位の伝達効率が変化し、シナプスの伝達効率の変化に寄与すると考えられています。これを「シナプスの可塑性」といいます。

 次回に続きます。

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吉田洋一
専門家

吉田洋一(心身発達の心理士)

一般社団法人JSTC

子どもがテニスを通じて、身体の動かし方や潜在的な能力を引き出し、運動の基礎づくりをサポート。さらに子どもが主体的に取り組む大会を企画開催し、その中で対話的な深い学びを習得し、自律性を高める指導を行う。

吉田洋一プロはIBC岩手放送が厳正なる審査をした登録専門家です

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