「その子の内側の体験の世界」に「楽しく心地よい刺激と運動」を加える7

吉田洋一

吉田洋一

テーマ:子育てとは

子育てとは、「その子の内側の体験の世界」に「楽しく心地よい刺激と運動」を加えることです。
 この子育て論を訪問の皆様方へ周知したく、コラムへ掲載しております。
 「その子の内側の体験の世界」の子どもさんには、いろいろな特性があります。
 発達障害であるかどうかということではなく、また、それが何だかんだではなく、その子を理解してあげることが重要なのです。
 そのかかわりは胎児から始まります。

 前回のコラムをもう一度掲載します。

 「その子の内側の体験の世界」のキーワードは、「その子を知る」「その子にはたらきかける」「その子を見守る」でした。
  その子の特性を理解し、その子が社会に積極的にかかわることをサポートするという意味です。

 その子の特性つまり「その子の内側の体験の世界」を理解し、その子が社会に積極的にかかわることが子育てですと解説しました。
 では、それはどういうことなのかを皆様方が知りたがっていることなのでしょう。
 それは、その子に「楽しく心地よい刺激と運動」を与えることなのです。
 胎児や乳児、幼児(3歳児まで)は「心地よい刺激」です。幼児(4歳以上)以上は「楽しい運動」です。4最上の幼児には「心地良い刺激」は並行して内在します。 

 これが、私の研究における、育児方法であり、「子どもの心身の発達」及び「子どもの心身の伸びしろ値の向上」です。
 この取り組みは、すべて脳科学を基にするものです。
 また、テニス指導においても同様です。よって、テニス指導においては、他のスポーツ指導者とはすべて異なるものです。
 また、この画期的な指導法は「脳を育てること」につながるものです。

 「楽しく、心地よい」身体運動と刺激が、脳をつくるは、別にしてコラム掲載しています。
 また、脳をつくることが「子育て」ですと、別にしてコラム掲載しています。
 どれもこれも、子育てにつながり、またその子の特性を理解しながら、社会へとつなげていけるのです。
 
 「脳を育てること」が「子育て」ですので、皆様ももう一度、最新の脳科学における「運動と脳」の新常識をご理解ください。
 前に解説していることを再度述べるかもしれませんが、子育ての皆様が「子どもの脳のことを理解しながら、「子育て」をこれからもお願いいたします。

 ご注意申し上げますが、脳というと大人の皆様方は「知識脳」つまり「暗記脳」と早合点しますが、「知識脳」ではありません。
 お分かりにならないとは思うますが、子育てに積極的に使うのは「運動脳」です。
 もう一つ大事なのは、勝ち負けだけの「運動脳」を使うのではなく、「自分の伸びしろ値」を上げる「運動脳」を使うことです。

 子育てにとても重要なことを述べました。
 皆様方であれば、どのような「心地よい刺激」や「楽しい運動」を子どもへ提供していただけるのでしょうか?


 「運動脳」の解説4

 <運動は海馬を刺激する2>
 前回、BDNF(脳由来神経栄養因子)を増やすためには「自発的に運動する」ことや「環境の富化」が必要です。と述べました。つまり、ここでも私が説く「楽しく、心地よい運動」が実証されました。

 それでは、どのような「自発的に運動する」ことや「環境の富化」が効果的なのでしょうか。アメリカの医学博士ジョンJ.レイティ著「脳を鍛えるには運動しかない」NHK出版を参照にして、ご紹介したいと思います。
 心血管系と脳を同時に使うスポーツ、例えばテニスをするか、あるいは10分ほど有酸素運動でウォーミングアップをしたのちにロッククライミングやバランスの訓練といった酸素消費量が少なく技能を必要とする運動をするやり方です。有酸素運動が神経伝達物質を増やし、成長因子を送り込む新しい血管を作り、新しい細胞を生み出す。一方で複雑な動きは、ネットワークを強く広くして、それらをうまく使えるようにする。動きが複雑であればあるほど、シナプスの結びつきは複雑になる。また、こうしたネットワークは運動を通して作られたものではあっても、ほかの領域に動員され、思考にも使われる。ピアノを習っている子どもが算数を習得しやすいのはそのためだ。前頭前野は、難しい動きをするために必要な知的能力を、ほかの状況にも応用しているらしい。
 ヨガのポーズ、バレエのポジション、体操の技、フィギュアスケートの基本、ピラティスの姿勢―これらすべての練習には、脳全体のニューロンがかかわっている。そして例えば、ダンサーを対象とするいくつかの研究によれば、規則的なリズムに合わせた動きよりも、不規則なリズムに合わせた動きの方が脳の可塑性が向上するという。なぜなら、普段とはまったく違う動きをすることで、脳が学習をしていくからだ。ヘップのラットが賢くなり、グリーノーのラットのシナプスが増えたのと同じ理屈だ。
 歩く以上に複雑な運動技能はすべて、学ばなければ身につかないため、どれも脳を刺激する。始めは少々ぎこちなくて格好悪くても、小脳と大脳基底核と前頭前野をつないでいる回路がスムーズに流れるようになるにつれて、動きは正確になっていく。何度も繰り返すことでニューロンの軸索の周りの髄鞘も厚くなっていき、信号の質や伝達速度が向上し、回路はより効率的になる。空手を例に挙げれば、ある型を習得すると、より複雑な動きにそれを組み入れられるようになり、じきに状況に応じた反応も洗練されてくる。同じことがタンゴのレッスンにも言える。パートナーの動きに合わせなければならないため、注意力や判断力、的確な動きへの要求はますます高まり、状況は飛躍的に複雑になっていく。楽しさと社交的要素が加わると、脳と筋肉の組織全体が活性化する。そうすると次の課題に取り組む準備が整う。それが大切なことなのだ。

 次回に続きます。

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Mybestpro Members

吉田洋一
専門家

吉田洋一(心身発達の心理士)

一般社団法人JSTC

子どもがテニスを通じて、身体の動かし方や潜在的な能力を引き出し、運動の基礎づくりをサポート。さらに子どもが主体的に取り組む大会を企画開催し、その中で対話的な深い学びを習得し、自律性を高める指導を行う。

吉田洋一プロはIBC岩手放送が厳正なる審査をした登録専門家です

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