その子の内側の体験の世界35
その子の内側の体験の世界」第52回目を解説します。
キーワードは、「その子を知る」「その子にはたらきかける」「その子を見守る」です。
また、今まで解説してきたことと重複するかもしれませんので、今までのコラムも再読していただければ幸いです。
次は、「その子にはたらきかける」です。
親は、わが子が5歳になるまでに積極的にかかわることがとてもたいせつになります。
これは、子育ては「脳を育てること」で詳細に解説しました。
もう一度、読み直しましょう。
「その子にはたらきかける」10
クーイングに応答しバブリングが生じる
乳児の発声は啼泣で始まりますが、生後1から2か月くらいから啼泣以外の発声が出てきます。「アーアー」「クークー」といった単音節のシンプルな発声で、「クーイング」と呼ばれます。
啼泣が不快への反応なのに対して、こちらは心地よいときに出てくる発声です。
クーイングは、自然に生じる生理的な発声であり、対人的な意味や役割はないと考えられています。乳児は一人きりでクーイングをします。
が、子どもをすでに自分たちと同じ存在、こころをもつ存在として思い入れている親や大人は、これを決して無意味な生理的発声だとは思いません。わが子のおしゃべり、語り掛けとしてとらえて、喜んで返事をしたり声をかけるなど応答的なかかわりをはじめます。
そうするうちに、クーイングは「ダァーダァー」「バブバブ」といったより複雑な音節からの発声へと変わっていきます。その発声を「バブリング」と呼びます。日本語で「喃語」と呼ばれている赤ちゃんしゃべりです。
クーイングは自然発生的な生理現象ですが、バブリングはそうではありません。クーイングを子どもからの語りかけと扱って、周りがそれに言葉を返すことによって、はじめてバブリングが生じてきます。
次回に続きます。