その子の内側の体験の世界32
その子の内側の体験の世界」第46回目を解説します。
キーワードは、「その子を知る」「その子にはたらきかける」「その子を見守る」です。
また、今まで解説してきたことと重複するかもしれませんので、今までのコラムも再読していただければ幸いです。
次は、「その子にはたらきかける」です。
親が5歳になるまでに積極的にかかわることがとてもたいせつになります。
これは、子育ては「脳を育てること」で詳細に解説しました。
もう一度、読み直しましょう。
「その子にはたらきかける」6
マザリングを引き出す力
赤ちゃんは運動能力が限られています。
自分の方から親に接近することができません。
そこで、生存が脅かされたときには、啼泣によって親の接近を求めます。
その意味では、啼泣もアタッチメント行動にとらえることができます。
そこから引き出される親の接近的アプローチがマザリングです。
このように赤ちゃんのアタッチメントは、他の動物とは違い、子からの一方的には成り立たず、親も接近的に応える双方向性によってはじめて成立します。
赤ちゃんのアタッチメント行動が生存的な安全を求めるだけのものであれば、親も泣けばミルクを与え、おむつを替え、寒すぎず暑すぎないよう体温調整をするなど、生存を守る身体管理で応えれば必要十分に思えます。
が、親はそれでは済みません。そのたびに抱っこしたり、撫でてやったり、頬ずりをしたり、子どもの甘えを満たす愛撫的なかかわり(フロイトの言葉では、小児性愛的なかかわり)もおこなうのがマザリングです。
これによって、マザリングは生存を護るだけではなく、関係の発達を促すはたらきももつことになるのです。
次回に続きます。