子育てとは、脳を育てること3
私の研究における、「子どもの心身の発達」及び「子どもの心身の伸びしろ値の向上」は、すべて脳科学を基にする取り組みと活動です。また、テニス指導においても同様です。よって、テニス指導においては、他のスポーツ指導者とはすべて異なるものです。
また、この画期的な指導法は「脳を育てること」につながるものです。
「楽しく、心地よい」身体運動と刺激が、脳をつくる
この馴染みのない表題に、皆様方からいささか怪訝そうな顔色が垣間見えてきます。
この表題のシリーズでコラム掲載を短編的に掲載します。
また、「子育てとは、脳を育てること」における、脳を育てることの手段や方策などに関わります。
最新の脳科学における「運動と脳」の新常識を次に述べます。
「運動は記憶をつかさどる」「脳の海馬に影響をおよぼす」1
記憶力が良いなどの言葉は、日常でよく使われる表現です。
記憶とはものごとを忘れずに覚えておくことをいい、記憶力は覚えておくために必要な力を示しています。
<記憶の仕組み>
記憶の過程は、情報を受け取る「記銘」それを保つ「保持」それを必要に応じて呼び出す「想起」の3つから成り立ちます。
生活の中では、膨大な情報が感覚器に飛び込んできます。その情報はひとまず海馬に送られ、海馬周辺の神経回路や大脳皮質の連合野へと伝えられますが、ほとんどは消えてしまいます。
海馬に保持できる時間は、数秒から1分程度でこれを「短期記憶」といいます。短期記憶の保持には限界があるので、繰り返し繰り返したり、口に出したりすることで記憶が形成されます。
「長期記憶」は、数分から年単位あるいは一生涯保持されるもので、陳述記憶と手続き記憶に分けられます。陳述記憶は、暗記した単語や旅行に行った思い出などで、言葉やイメージであらわすことができるものです。手続き記憶は、自転車の乗り方、ピアノの弾き方など身体で覚えたもので、いちど覚えると忘れにくいものです。
さらに「作業記憶(ワーキングメモリ)」もあります。脳のあちらこちらにある情報を集めて、一時的に保存し、それらを整理して、これからどうするかといったことを決めます。
次回に続きます。