「知恵づき」の時期
「その子の内側の体験の世界」第37回目を解説します。
キーワードは、「その子を知る」「その子にはたらきかける」「その子を見守る」です。
また、今まで解説してきたことと重複するかもしれませんので、今までのコラムも再読していただければ幸いです。
「その子を知る」36
○男根期
3歳から6歳の時期です。男根期の有無、つまり男女の性別の違いに目が開かれる時期です。
この時期の子どもは、男である父親、女である母親、そして自分といういわば「三角関係」をどうクリアするかという発達課題にぶつかるとフロイトは考え、これを極めて重視しました。
この時期になると、男の子にはオチンチンがあり、女の子にはない事実に子どもは気づくようになります。
男の子にとってオチンチンは何かしら誇らしいもので、それだけに男の子は「もしオチンチンを取られてしまったらどうしよう」という不安を抱きます。一方、女の子は「自分もオチンチンがあれば男のように威張れるのに」とうらやみます。
性別の気づきとともに男の子は母親への性愛的な愛着を深め、父親を押しのけてでも母親をひとり占めできたらという願いを意識するようになります。
が、一方で父親とも愛着の絆をもっていますから、この願望は男の子に葛藤をもたらします。お父さんだって好きなのに、父親を邪魔もの扱いするその願いが父親に知れたらどうなるのかと大きな不安を抱きます。
この願望と葛藤と不安とがもつれ合った複雑なこころ模様を、フロイトは「エディプス・コンプレックス」と名付けました。知らぬまま父親を殺害して母親を略奪したギリシャ王の物語です。
女の子は、この裏返しで、母親を押しのけ父親を独占出来たらという願望から、同じく葛藤と不安を抱くことになったギリシャ悲劇のヒロインにちなんで「エレクトラ・コンプレックス」とユングは名付けました。
次回に続きます。