子育てとは、脳を育てること4
私の研究における、「子どもの心身の発達」及び「子どもの心身の伸びしろ値の向上」は、すべて脳科学を基にする取り組みと活動です。また、テニス指導においても同様です。よって、テニス指導においては、他のスポーツ指導者とはすべて異なるものです。
また、この画期的な指導法は「脳を育てること」につながるものです。
「楽しく、心地よい」身体運動と刺激が、脳をつくる
この馴染みのない表題に、皆様方からいささか怪訝そうな顔色が垣間見えてきます。
この表題のシリーズでコラム掲載を短編的に掲載します。
また、「子育てとは、脳を育てること」における、脳を育てることの手段や方策などに関わります。
最新の脳科学における「運動と脳」の新常識を次に述べます。
「運動すると脳の機能を高める神経栄養因子(BDNF)が増加する」
中枢神経系に広く存在している脳由来神経栄養因子(BDNF)は神経栄養因子の一つであり、TrKB受容体と結合し細胞内シグナルを活性化することで、細胞の生存や成長、シナプスの可塑性などに有益な作用をもたらしています。
運動が脳におけるBDNF発現を増強することは、1995年にNeeperらによって最初に報告されました。その後、運動によるBDNF発現増強は、様々な脳領域(大脳皮質、海馬、線条体、小脳)や脊髄で起こることが、様々な研究で報告されています。
つまり、運動は多様な領域で神経栄養因子の発現を増強し、神経新生や回路機能の強化、神経保護作用など神経機能の維持や可塑性の誘導にはたらくと考えられています。
ちなみに、これらげっ歯を対象とした基礎研究では、運動効果の検証にトレッドミルや回し車による有酸素運動がしばしば用いられますが、ヒトにおいても自転車エルゴメーターなどの有酸素運動をした後に、血中BDNF濃度が増加することが示されています。
ただし、運動といっても第三者からの指示や強制などを伴ったものでは、効果はなかったのです。
次回に続きます。