その子の内側の体験の世界12
「その子の内側の体験の世界」第16回目を解説します。
キーワードは、「その子を知る」「その子にはたらきかける」「その子を見守る」です。
また、今まで解説してきたことと重複するかもしれませんので、今までのコラムも再読していただければ幸いです。
「その子を知る」15
○知性の発達(ピアジェ)
知性の発達もこの「同化と調節」すなわち均衡化のしくみによって推し進められるとピアジェは考えました。
「知性」も樹木やミミズやウサギと同じく生物なのですか?と問う方もいらっしゃると思います。
知性とは人間という生物の生存を支える上で、根本的なはたらきを担っており、人間にとって知性の活動こそが生存活動だと考えれば、想定がつくだろうと考えました。つまい、人間とは、そういう条件を与えられた生物なのだとピアジェは考えました。
人間存在の本源または精神の本源を「知性」において、合理性や論理性ことが精神の本質的なものとする考えを「主知主義」といいます。
ピアジェはこの意味で主知主義に徹しています。人間をあくまで理性的・合理的存在とみなす近代的人間観を貫けばこのような主知主義に到達します。
それがピアジェの人間観でした。当然ながら、ピアジェの業績は、精神医学においては、正統精神医学の流れの中に受け入れられます。
つまり、ピアジェの精神発達論は、知性のはたらきがより高い論理性や合理性を備えたものへとステップアップしていく「知性を中心におく近代的人間観」として推し進められることになるのです。
次回に続きます。