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幼児の発達の症状の特徴60

吉田洋一

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テーマ:子育てをめぐる問題

18 まとめ
 以上、幼児や乳児の家族や保育園や幼稚園などという、つまり外側からとらえた通常とか普通とかからのずれ(disorder)を解説しました。
 当然ながら、今まで説明してきたことは、外側から観察した子どもの行動の特徴です。
 このような客観的な把握がたいせつなことはもちろんですが、とはいえ私たち人間は、行動を生きているわけではありません。
 外側から「行動」と観察されるものは、本人の内側からすれば「体験」であり、私たちは「体験」の世界を生きているのです。
 つまり、子どもも同様であって、子どもを理解するとは、その体験を理解することなのです。
 例えば、外からの目にはAくんがいつも落ち着きがなく乱暴だということと、Aくんの目には外がどう映り、何をどう感じているのかということは、関係がないわけではありませんが、別のことなのです。
 「多動で衝動的だからADHDである」とは、外側からみたAくんの行動の理解であって、Aくん自身の体験の理解ではありません。
また、10番で解説した「運動が苦手」においても、保育園や幼稚園で、他の子どもたちと一緒に運動ができないとか同じようにできないだけで、外からは、ぎこちない動きとか、バランス感覚がない動きに見えるかもしれませんが、本人としては「運動をしている」ことには間違いはないのです。
 本人の内側からみれば、みんなと同じように「○○している」のです。
 また、コラムの冒頭で説明しました。「誤解のないように申し添えますが、ここで述べているから即発達障害だということではありません。経過観察も必要ですし、年齢が上がるほどその特徴がなくなることが大半です。発達障害は発達の異常ではありません。発達の定型(平均)からのずれ(orderからのずれ)が生じているだけなのです。」
 本人の内側から、みんなと同じようにしているその体験をその子の「得意な、特異な、こだわり、特別な、特殊な、スペシャルな、オタク的な」などその子の基本的人権である発達や学習の「その子らしさ」を理解し、尊重しなければなりません。
 過去の教育や保育でも、一斉にみんなが同じことをできるようなやりかたでした。同じくできないものを差別区別してきたのです。
 しかし、これからの教育や保育が「個別最適な学びと協動的な学び」に変わりました。
 一斉に同じことをやれるようなあるいはそれを評価する時代ではないのです。
 これは、「その子らしさ」の基本的人権を保障し、尊重し、理解して学びに対処しなければなりません。
 子育てにおいても、「その子らしさ」を尊重し、理解していただきたいと思います。
 また、「発達障害」かどうかではなく、その似たような行動や振る舞いも「その子らしさ」であることを理解しましょう。
 
 次回のコラムから「小学生の発達の症状」を解説しますが、前述をご理解の上、子どもたちと関わっていきましょう。

 次回に続きます。

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吉田洋一
専門家

吉田洋一(心身発達の心理士)

一般社団法人JSTC

子どもがテニスを通じて、身体の動かし方や潜在的な能力を引き出し、運動の基礎づくりをサポート。さらに子どもが主体的に取り組む大会を企画開催し、その中で対話的な深い学びを習得し、自律性を高める指導を行う。

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