JACOT
<3歳から6歳> 力関係と自己認識
この時期の仕事は、いかにして力を持つか、自分が何者なのかを決定することです。これはしばしば、要求をはねつけたり、他の人に偉そうにしたり、ひどく反抗的な態度に出るといった形をとることもあります。
人が使う力には様々な種類があります。
「身体的な力」
自分の欲しいものをとる。叩く。自分の欲しいものを手に入れるために自分の身体の大きさや力を使う。
「操作する力」
ずるい手段で他人の弱みにつけ込む。「ぼくに本をくれないなら、ママにきみがぶったって言いつけるから」
「受動的な力」
自分の気に入らない言い方や要求を受け入れることを故意に断る。
「無気力に振る舞う」
悲しげにしたり、床にうずまったり、できないとぐずる。
「能動的な反抗」
真正面からぶつかる態度で、正しいことや要求されたことを意識的に行う(又は拒否する)。「無理にさせようとしてもだめだよ」とか「きみはぼくのボスじゃない」など。
「きりのない交渉」
親が決めた条件で物事を実行するときに、いつも何かと取引しようとしたり、条件を変えようとする。
「協力的な力」
両者の要求に合うような解決方法を探す。
親の仕事は、子どもへ力について何を知ってほしいかを決めることです。次の例で、親が示した二つの違ったタイプの力をみていきます。
例1
Aさんの息子のBくんは、妹が彼に本を貸してくれないからと、妹を叩きました。Aさんは、その行動は受け入れないものだとBくんに理解してほしかったので、妹を叩いたBくんを叩きました。
例2
Cさんの娘Dちゃんは、夕食前にクッキーを食べたがりましたが、Cさんは娘がお菓子で食欲を満たすことを望みませんでした。そこでCさんは、Dちゃんと口論するのではなく、こう言いました。「あなたは今クッキーを食べたがっている。ママは、あなたが夕食の時に食欲がなくなるのが心配なの。ママなら夕食が終わってからクッキーを食べるけど、あなたはおなかがすいているのね。あなたとママの二人が満足するにはどうしたらいい?」
この例では、AさんはBくんを叩くことで、身体的な力を示しています。さらに、子ども同士が叩くのはよくありませんが、大人が子どもを叩くことは是認したのです。
Cさんは、問題解決と交渉を使うことでDちゃんと力を分かち合いました。彼女は問題を明確にし、Dちゃんに両者の基準に合った解決方法を求めたのです。
次回に続きます。