岩手大学教育学部附属中学校の訪問学習
積極的に生徒の心身や脳の発達に寄与(私案)
中学校の生徒に、体育を「生涯にわたって運動やスポーツに親しみ,スポーツとの多様な関わり方を場面に応じて選択し,実践することができるように,平成28年12月21日に 「幼稚園,小学校,中学校,高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善及び必要な方策等について、中央教育審議会は答申しました。
改善の内容は、『思考力・判断力・表現力等』及び『学びに向かう力・人間性等』の内容の明確化を図る。また,体力や技能の程度,年齢や性別及び障害の有無等にかかわらず,運動やスポーツの多様な楽しみ方を共有することができるよう配慮する。また、体を動かす楽しさや心地よさを味わうとともに,健康や体力の状況に応じて体力を高める必要性を認識し,運動やスポーツの習慣化につなげる観点から,体つくり運動の内容等について改善を図るなどです。
このことは、現在の生徒たちつまり子どもたちの「からだのおかしさ」である「元気がない」「食欲がない」「不健康そう」「体力がない」などに積極的に働きかけてくれるものになるのです。
そして、何度もコラムに掲載されていますが、「身体を動かす楽しい心地よい運動」は、脳の発達を促します。
「楽しい、心地よい身体運動」という環境とは何でしょうか。それは、自ら、自主的に、自分の意思で、自己決定でなど他の人が指示、命令、指導など関与しない運動が行われる環境です。つまり、学校の「体育」という授業時間です。
「体育」の時間を補うものが部活動です。1回きりではなく、シーズンを通して行われます。これが「経験を増やす」ことつまり、脳の可塑性です。たくさん経験することで脳の神経細胞のネットワークが多様に形成されます。
次に、「体育」に競技スポーツを取り入れることです。そして競技スポーツを「楽しい、心地よい運動」に変換することです。なぜ、競技スポーツなのでしょうか。それは、子どもたちは「優越性の追求」をしたいのです。これが人間の本性であり、自分の劣等感を克服したい気持ちからなのです。もう一つ、忘れがちですが「飽きさせないこと」です。なお、競技スポーツ以外にも、楽しい心地よい運動を実践している、例えば「コオーディネーショントレーニング」も子どもたちにとって取り入れられる運動の一つです。これが一つ目の環境です。
競技スポーツだからといって「勝ち負けに拘らない」こと。“「競技スポーツだから勝敗に拘るのが当たり前だ」「子どもだけでは負けるから」「子どもの負けるところを見たくない」”など勝利至上主義的な昨今でいえば、ブラック部活的な大人のエゴイズムで指導はしないことです。勝つためには手段を択(えら)ばない方が身近にもおります。子どもを自分の都合の手段に利用してはいけません。
競技スポーツを体育に取り入れた場合においても、「勝ち負けに拘らない」つまり、結果を重視しているのではなく、自分でどうしたのかという経過を大切にします。これを有言実行させます。ベンチコーチはありません。大人の介入なしに、「自分の力でどのくらいできるか」を実践できることが重要です。これが二つ目の環境です。
次に、第三者の力を借りずに「自分の力でどのくらいできるか」を実践しますと、子どもたちが自己決定と自己責任でプレーしながら自分の価値を認め、「自分っていいな」と自己肯定感をもってプレーをするようになります。子ども自ら「わかる」「できる」を感じて、物事に率先して取り組む姿勢こそが大切なのです。これが三つ目の環境です。
ここで間違った解釈をしている学校の先生や指導者、保護者など大人の方がおります。「自分の力でどのくらいできるか」を結果だけで判断していることつまり、点数がいいとか勝ったとかで判断している大人です。これは大きな間違いです。
この第一環境の「同じ舞台で」と第二環境の「勝ち負けに拘らない」と第三の環境「自分の力でどのくらいできるか」は、子どもたちの脳の可塑性を促進させます。
子どもを信じて、体育の授業で「楽しい、心地よい身体運動」を追及し、実践することが、今後の中体連の役割だと思っています。
(中体連改革 終)
次回に続きます。